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04/04/2009

Shellshock 2: Blood Trails - 振り上げた拳の所在

  ネガティブな評判を聞いて、期待値を下げ過ぎたせいだろうか。批判する気まんまんだったが、微妙な仕上がりのせいで振り上げた拳を勢いよく振り下ろせない。

  確かに安っぽさを感じるところはあるものの、バリューゲーの雄City Interactiveの作品に比べれば遥かにマシな出来。本家本元のバリューゲーを舐めてもらっちゃ困る。この中途半端な煮え切らない気持ちをどこにぶつけようか。



  舞台はベトナムの紛争地帯。アメリカ軍がWhiteknightと呼ばれる重要機密をカンボジアで紛失したため、それをアメリカの特殊部隊が捜索するというストーリーになっている。

  主人公には弟が存在する。冒頭で弟を発見したものの、弟は発狂してどこかへ去っていってしまう。主人公はWhiteknightと弟を探していく内に、人間ではない何かに襲われて…という展開になるようだ。



  銃撃戦は数年前のFPSを彷彿とさせる時代遅れ感が漂っており、バリューゲームのように安っぽい。敵のAIはたまにスタックしていたり、同じところで延々とキャンプしていたり、いきなり何もない空間からスポーンしてくる。仲間と共闘する場面は一部あるが、基本的には一人でベトコンを薙ぎ倒していく展開が中心だ。

  前作のNam 67と同じく、ゴアの表現はグロテスクな方だろう。ヘッドショットすると頭がはじけたり、たまに腕や足が部位破損することもある。ちなみにヘッドショットすると一撃で敵を倒せるので頭を狙うのがベターだ。



  所々にクイックタイムイベント(キー押し)が用意されており、敵が掴みかかってきたり、ブービートラップにはまった時に発生する。ちなみにブービートラップに関しては回避可能であり、すべて強制的にイベントをやらされるわけではない。一部だけだがプレイヤー次第でクソウザイクイックタイムイベントを避けられる点は好印象である。

  クイックタイムイベント時に要求されるキーは三つ。順序通りにキー(WASDのどれか)を押さなければならない。時間制限は他のゲームのクイックタイムイベントに比べれば長めで余裕がある。ルーズに押しても大丈夫なのでキー位置を覚えてる人はまずミスすることはないだろう。

  ただし、クイックタイムイベントが面白いかと言われれば、個人的には微妙である。それに三つのキーを押すよりも、一つのキーを連打する方がまだ盛り上がると感じる。

  クイックタイムイベントは他のゲームでも採用されていたりするが、私は面白いと感じたことは一度もない。「面倒、やらされている感満載、何度もやり直しウザイ」…これがクイックタイムイベントの全てだ。なぜゲーム開発者たちはこんなつまらないクソシステムを採用し続けるのか疑問である。皆さんはクイックタイムイベントを面白いとお考えだろうか。



  ヘルスは自動回復方式が採用されており、わりとダメージを食らい続けても耐えられる。ダメージを食らっていくと視界が赤く染まっていく。全回復するまでの時間はやや長い。

  しゃがみはできるが、ジャンプはできず、リーンもなし。主人公の体がオブジェクトに引っかかりやすくてイライラする。

  アイアンサイトを覗けるが銃のリコイル(反動)が激しいため、アサルトライフルでのフルオート使用は難しい。アイアンサイトは一発ずつのバースト撃ちで使用するのが無難なところだろう。

  ただし、アイアンサイトを覗いても集弾率が良くなるわけではない。ただのズーム効果だけだ。照準の大きさは固定のため、腰撃ち時としゃがみ時でも集弾率は変わらない。



  マウスルックに微妙にスムージングが掛かっており、視点操作が気持ち悪い。狙った場所にエイミングしづらく、銃撃時に支障をきたしている。

  所持できる武器はメレー枠(ナイフ、マチェット)、プライマリ枠(ライフル、ショットガン、ロケットランチャー)、セカンダリ枠(ピストル)の三種類。それぞれの枠で一つずつ所持できる。同じ枠の武器は捨てて入れ替えるしかない。

  弾薬を一度に持てる数が限られており、数にあまり余裕がない。場所にもよるが無駄撃ちしすぎると弾薬不足に陥る可能性もある。弾薬を拾う際に、毎回Spaceキーを押さなければならず、これは面倒だ。弾薬に近寄ったら自動で拾って欲しい。また、弾薬や手榴弾などのアイテムは小さくて見落としやすい。

  グラフィックの質と比べて動作が重い。30fpsを下回る場所も多く、安定しないゲームプレイが続く。スペックに心配のある方は要注意だ。



  チャプター3辺りまではCity Interactiveに毛が生えた程度の作品という認識であった。だが、チャプター4の夜のマンションから印象が変わってくる。チャプター4では今までチラ見させてきたゾンビ(感染者と表記した方がいいか)と本格的に戦うことになり、ホラー的な表現が強まってくるのだ。

  薄気味悪いマンションを捜索していると、あちらこちらから感染者のうめき声が響いてきて、恐怖感を煽られる。そして、感染者が毎度毎度いやらしい配置をしているせいで不覚にも驚いてしまうこともあった。この心細さはLeft 4 Deadでハブられているような気分である。



  感染者は体が頑丈で頭を潰さないとしつこく襲ってくる。それゆえヘッドショットすることが重要だ。ここでは弾薬が少なく、一発を大切にしたい。感染者はゆっくり近付いてきたかと思えば、急に走り出して接近してくることもあるなど、不規則な行動を取って翻弄してくる。

  ただし、この感染者との戦いもゲームバランスのせいで台無しにされている。主人公は自動回復のため、逃げ続ければ死ぬことはない。それに感染者はナイフで切り続ければ倒せてしまうので銃を撃つ必要性も薄い。ぬるいバランスのせいでせっかくの恐怖感も半減だ。



  思ったよりも悪くはなかったが、微妙な出来なのは間違いない。ベトコンとの戦いはなんら面白みがないため、感染者との戦いに的を絞った方がいいような感じがする。それとも後半は感染者オンパレードが待っていたりするんだろうか。楽しみにしておこう。