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01/04/2009

Far Cry 2 - 狩りという名の遠足

 昨日のエントリーで言いたい事は書き散らかしましたが、このゲームが抱える欠点を冷静に見つめ、自分なりの遊び方を見つけたことで楽しく味わえています。面白さの曲線としてはある意味S.T.A.L.K.E.R.的と言えるかもしれません。全体像を把握した所でようやく面白みが出てくるような作り。そこに至るまでがいささか長すぎる感は否めません。閑話休題。



  PC版はどこでもセーブが可能になっていますが、この仕様はFar Cry 2の面白みの一部を奪っているように感じます。恐らく家庭用ゲーム機版でのセーブはセーフハウスで休んだ時、バスで移動した時、フロッピーディスクのボックスがある場所でしか行えず(PC版でもその名残は残ったまま)、セーブが限定的な仕様のようです。故に家庭用ゲーム機版ではミッション中や移動時は終始、緊張感を孕んだサバイバルゲームと化し、セーブポイントに帰還するまでハラハラドキドキとした体験が持続する。帰るまでが遠足のごとく、バギーの奇襲に戦々恐々とさせられることでしょう。

  一方、PC版ではどこでもセーブ&ロードが可能でリトライが容易にできてしまい、そのようなサバイバル感は薄れます。逐次セーブしておけば失敗がすぐにやり直せるため、ミッションの帰り道に巡回している敵と遭遇しても恐ろしいとは感じられません。その“敵を脅威と感じられなくなること”が作業感に繋がってしまう可能性もあるでしょう。

  また、容易にやり直せてしまう点がバディの救出システムやセーフハウスの存在意義さえも希薄にしています。死にそうになればクイックロードしてしまえばいいのですから、バディにわざわざ救出してもらう必要なんてありません。セーブポイントが限られている家庭用ゲーム機ではその点がしっかり機能しているのだと思われます。

  もちろん、どこでもセーブができないとPC業界では不満が挙がる可能性があるため(Far Cryがそうでした) 、このような仕様に変更されているのでしょうし、全面的に否定する気はありません。ただ、Far Cry2はFar Cryのようなシビアなバランスではありませんし、家庭用ゲーム機では限定的なセーブ仕様で成立しているのですから、その仕様のままでPC版も通してよかったのではと個人的には思う次第です。

  このセーブの問題について、カプコンかどこかのメーカーの言葉を思い出しました。「なぜ、御社のゲームはセーブポイントが過剰に制限されているのか?」という問いに対して、「我々はセーブの活用もゲームプレイの一部と考えている」と返答したことを。その言葉を聞いてなるほどと納得したものです。レジデントイービルやサイレントヒル、フェイタルフレームなどのサバイバルを全面に押し出したゲームは確かにセーブの使用が攻略の一部になっています。制限を逆転の発想で利用しているところに感心させられました。