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10/12/2008

Brothers in Arms: Hell's Highway - 方向性を喪失した顔のないゲームたち

  まさに改悪のオンパレード。前作、前々作のモチーフを気に入っている人には非難されても致し方ない出来だ。BiAシリーズの特徴はことごとく破壊され、凡百のタイトルと変わらない没個性的なゲーム内容には閉口してしまう。ゲーム開発者としての譲れない部分は保持して欲しかったが、これも時代の流れだろうか。そもそも、これのどこがBiAなんだろう。間違ってGears of Vegasを買ってしまったんじゃないかと疑った。

  Full Spectrum Warriorに近い戦略的要素を含んだWW2シューターとして一風変わっていたBiA。味方に制圧射撃を命令して敵の注意を引き、その間にプレイヤーはサイドやバックを取り、敵の裏を掻いて攻撃していくスタイルは足りない頭を刺激され、夢中になってプレイしたものだ。苦しい状況をどう打開していくか、そしてその状況を打開した時に訪れるカタルシスがBiAの魅力だったと言えよう。だが、今作では分隊指示の要素はあるものの、それが前作ほど活かされてはいない。


これくらいの距離なら余裕で命中わろた

  前作では面と向かった状態だと近い距離でも弾が命中せず、そのため側面を突いて攻撃する必要があった。しかし、今回は一般的なFPSと同じように弾が真正面からでもビシバシ命中するようになったせいで、戦術を練る必要性がなくなり、分隊の要素が希薄になってしまっている。

  アイアンサイトで狙わなくても腰撃ちでバンバン命中し、まるでBiAではない別のゲームをしている気分だ。特にMG42のチートっぷりは半端じゃなく、リコイルは弱いわ、集弾率は高いわで、これを持って突撃すれば一人で敵を殲滅できてしまう。つまり、Brothers in Arms: Hell's Highwayはユーベルメンシュの気分を味わえるゲームなのだ!って、もともとそんなゲームでしたっけ?


MG42強すぎわろた

  今作から、ゆとりカバーシステムが取り入れられている。このお陰で客観視点から全体を眺めることができ、姿を晒さずに安全に仲間へと命令できるのでストラテジー的に考えれば操作性の向上と言えよう。

  しかし、前述したように分隊を指揮しなくても進めるヌルゲーのため、さらにヌルゲー化を強める要因になっている。カバーでは攻撃を全く受けないのに、同じように主観視点で物陰に隠れていると被弾した際は軽くイラッ☆ときた。

  分隊にはアサルトチーム、マシンガンチーム、バズーカチームなどが用意されているが、バズーカチームの火力がこれまたチートのような強さを誇り、ゲームバランスを破壊している。バズーカチームの砲弾は無限のようで、「撃て撃て!」と命令してドカンドカンしていればほとんどの敵は倒せてしまう。

  つまり、プレイヤーは安全な位置でカバーポジションを取りながら、バズーカチーム一人に任せていれば楽々クリアできるというわけだ。今作から一部のオブジェクトが壊れるようになっているが、これのせいでさらにバズーカチームの鬼畜性がアップしている。


バズーカチーム強すぎわろた

  このような改悪が加わったことでBiAシリーズ特有のカタルシスは失われ、安い快楽を得るだけのジャンクフードFPSに変わった。前作とは異なり、弾がバンバン命中するのでその点に爽快感が得られるのは確かだが、方向性をうやむやにしてまでするような事ではないと個人的には思う。

  まだゲームの中盤あたりだと思うので、後半は敵が右から左から攻めてきて、分隊を指揮せざるを得ない状況になることを願う。RtH30のような頭を捻って戦わねばならない知的性が回復してくれればいいのだが…。

  あと、ソロで移動するところはこのゲームには不要。狭い室内を一人で戦って何が面白いのだろう。Vegasとか、Vegasとか、Vegasを意識しているのかもしれないが、目指すところが違うのは明らか。迷走している感が否めない。進化の停滞を打破しようとして、泥沼にはまっている印象だ。

  カットシーンは力が入っていて、見応えのあるものに仕上がっているが長ったらしい。ムービーゲームが嫌いな人はダメかもしれんね。前作に比べて、押し付けがましい。