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08/08/2008
STALKER - マルチストーカー
ドクターと秘密基地で再見し、レッドフォレストに突入。今日はここまでとする。効率的な進行が身に付いているので、明日にはクリアできそうだ。やはりSTALKERは何度やっても面白い。
前々から思っていたが、ドクターと会話して、Strelok(以前)とはどういう人物なのかが気になった。Strelok(以降)と同じような性格なのか、それともまったく異なる人物だったのか。Strelok(以降)はゲーム進行の制約上の理由で仕方ない部分もあるが、寡黙で神経質そうな印象。ゲーム中に挿入されるムービーを見ると、どうもStrelok(以前)は『願望機』や『路傍のピクニック』で、Strelok(以降)は映画『ストーカー』を意識しているように伺える。
この世に発表されたストーカーに関連する作品は全部で3つ存在する。まず、根幹となった『路傍のピクニック(第4章)』。タルコフスキイに依頼されてストルガツキイ兄弟が執筆した数種類の映画用脚本のうちの一つで後に単行本化された『願望機』。ストルガツキイ兄弟の脚本を参考にしながら、大幅に改変を加えたタルコフスキイの映画『ストーカー』。
この中ではいずれもストーカーを生業とする人物が登場するわけだが、ストルガツキイ兄弟とタルコフスキイが思い描いたイメージはかなり異なっている。ストルガツキイ兄弟のストーカーは無骨で人間的にはお世辞にも褒められない人物として、一方タルコフスキイのストーカーは思慮深く少し人間離れした印象がある。その性格の違いにより、『願望機』と映画『ストーカー』では似ているシナリオではあるものの、ラストで『願望機』のストーカーは救済されたようにとれるのに対し、映画『ストーカー』は呪縛から抜け出せない救いがたいストーカーの悲哀を残していて興味深い。映画『ストーカー』は撮影の事情で一度没となり、現在のものは一から作り直したものらしいが、出来ることなら初めのバージョンも見てみたかったものだ。
試写室で『ストーカー』をみせてもらったときは仰天した。なにしろ肝心の主人公の性格がまるで違っているのだ。原作のレドリック・シュハルト(ストーカー)は、映画のようなインテリではない。いくら良心的で人間的な悩みを抱えているとはいえ、ストーカー(<獲物にこっそり忍びよるもの>という意味の英語Stalkerをそのまま使っている。一九七八年に一部を訳したときは<密猟者(ストーカー)という訳語を当てた)という職業は、原作では、まともな人間はけっして近づかない<ゾーン>へ、体をはって入りこみ不可解な得体の知れない代物を運び出してくる、いうなればタフなワルとして描かれている。それが気弱なインテリとして登場しているとは、どうしてこんなに違っているのだろう。だが、『願望機』が発表されたので読んでみると、やはり原作と同じような人物がストーカーとして登場している。読みちがえていたのではないことがはっきりわかって安心した。やはり、タルコフスキイのストーカーは、彼のストーカーであってストルガツキイたちの主人公ではなかったのだ。
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願望機 あとがきより