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02/23/2008
GDC 2008 GOTY - 忘れないで初心
・4gamer
/ 開発者達が選ぶゲーム賞「Game Developers Choice Awards」のGame of the Yearは意外な作品が受賞
・Game
Watch / Game Developers Choice Awards、“革新性”で「Portal」が最優秀に
・毎日新聞
/ “ゲームのアカデミー賞”「ポータル」3冠 日本勢は「ゼルダの伝説」のみ
・Itmedia
/ 日本勢はノミネートも少なく――「Game Developers Choice Awards」最優秀は「Portal」に決定
ゲームクリエイター達が選んだGOTYは“Portal”だった。
プレイヤーから見ても、全く意外ではない受賞。選択した対象者がクリエイターなら、もはや当然というべき結果だ。
Portalが選ばれた理由は、Preyがやろうとしていたアイデアをうまく昇華させたこと、主観視点のパズルゲームという新機軸性とその完成度の高さにあることはもちろんだが、リリースされるまでの経緯も加味されているのだろうと思う。
Portalの前身となっているのはNarbacular Dropというパズルゲームだ。これはDigiPen工科大学の生徒(Nuclear Monkey Softwareチーム)が製作したもので、2006年のIndependent Gamesにもノミネートされ、高い評価を得ている。
その評判を聞いたValveがNuclear Monkey Softwareの面々を招待し、プレゼンする機会を与えた。確かに面白いアイデアを備えたゲームだったことからValveは彼らを斡旋する。DigiPen工科大学の生徒だった彼らは一夜にして、憧れのゲームクリエイター(しかもトップ企業の)となった。そしてNarbacular Dropの続編を製作する話が決まり、それが後のPortalとなる。
まるで夢のようなシンデレラストーリー。
ここがゲームクリエイター達の琴線に触れたのではないだろうか。経済社会の荒波に気が付けば飲まれてしまい、ゲーム業界に入る前に持っていた夢や希望はいつしか失われていく。売上不振による恐怖や焦りによる圧力に押し潰され、冒険の出来ない手堅いゲーム、悪く言えば安全牌狙いの金の臭いしかしないゲームを作ることを強制され、逆に悪循環を生んでいる停滞した状況。市場には上辺だけで着飾るゲームの氾濫が止まない。
ゲームのことなんてまるで知らないアホダヌキ共に振り回されている、ゲームクリエイター達がPortalが生まれるまでの軌跡、シンデレラストーリーに希望や羨望を抱いたとしても不思議ではない。
Portalの成功は数々の奇跡によって支えられている。もちろん足がかりとなる実力をNuclear Monkey Softwareチームが備えていたことが第一だが、Valveが彼らに目を付けたこと、そしてサポートしたことがなにより大きい。自由な環境でやりたいことを伸び伸びとやれ、Valveが長年培ってきた技術や経験によって膨らんだアイデアは実現に繋がった。
Valveの持っている恵まれた環境とDigipen生徒達のハングリー精神が合わさることによって生まれたPortal。それが結果的に新しいものを求めている市場のニーズと合致し、多大なる評価を得ることが出来たのだろう。
PortalがGDCのGOTYに選ばれたのは、そんな理想と現実の壁を乗り越えた夢のような生い立ちにあると思うのです。
Portal 2の開発が正式に確認。謎の解明、少しやり足りなさを感じたパズルの充実を期待したい。