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01/03/2008

Deus Ex - 伝わらない想い

ベスが娘の二コレットに宛てたログで涙腺が緩む。ドラマや映画だと、ベタでありがちなシチュエーションだが、FPSでこういうことやられると思わずグッと来るものがある。おまけに隠しコンピュータのパスワードが“nico_angel”なんて泣かせるじゃないか。

ベスの残したログはベッドの裏、絵画の隠し戸に隠されていて、ゲーム上は別に探さなくても進む。Deus Exには、他にもそういった情報が至る所に用意されている。新聞、ターミナル装置、本、メール…ゲーム進行には必要ないものだが、小さな情報の積み重ねがDeus Exの舞台を形成するのに一役買い、世界設定を深く掘り下げる効果を果たしているのは確かだ。これらはプレイヤーが自発的に拾い集めていくことで得られる。シナリオを理解する上での情報は過不足なく寸劇で強制的に知らされるが、「プレイヤーがもっとゲーム世界について知りたい!」と望めばその欲求に対して、しっかり応えてくれるというわけだ。

なかなかこういった気配りのあるゲームは少なく、得てしてゲームというものは情報過多か情報不足に陥りがちだ。どうでもいいような戯言をお金をかけたであろうムービーシーンでくっちゃっべったり、プレイヤーを無視してシナリオライターの頭だけで話が完結していることも少なくない。その点、Deus Exはさじ加減を絶妙なバランスで保ち、引き際を弁えている。必要以上の情報を得るか否かはあくまで自分次第。もし、あなたが好奇心旺盛ならば、情報を色んな手段で掴み取っていけばいいのだ。

J( 'ー`)し だけどカーチャンネタだけは卑怯だよね。龍牙剣でジェノサイドの殺伐としたゲームなのにズルイよね。でも、それがサイバーパンクなんだ。表面的なハイテクギミックだけ真似てサイバーパンクというのは似非。ハイテクギミックを用いて、一人一人の人間を描き出すのがほんとのサイバーパンク。殺伐として、インモラルで、理不尽で、未来は決して明るくないけど、みんな必死で生きている。そういったアウトロー達の哀愁にきゅんとなるわけ。生身はどんどん捨て去って、機械部品で身体を強化したりするんだけど、記憶や思い出を大切にしたり…そんな人間の根源的な部分を垣間見て安堵する。