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02/27/2009

Wizardry 8 - 理想を現実にした果て

  日本におけるWizardryのイメージと言えば、諸姉はなにを思い浮かべるであろうか。モノクロワイヤーフレームダンジョン・コマンド式ターン制戦闘・4方向移動・ハック&スラッシュ(冗長なレベリング)・ハイファンタジー世界の印象があると思う。今なお名前と見た目だけを挿げ替えただけのWizardryクローン(1 - 3のMOD、コピー商品)が日夜量産されていることからも分かるように、上記に挙げた要素が日本に多大な影響を及ぼしている。

  しかし、Wizardry後期作品はそれらの要素とは異なった方向を進んでおり、保守的で進歩の欠片もない老人共には評判がすこぶる悪い。特に正統なWizardryシリーズ最終作品である8では従来作品と相反している点が顕著である。



  まず、マス目式のダンジョンはなくなり、マップは普通の3D空間になった。マス目を気にすることなく、自由にマップ上を歩き回れる。操作方法は一般的なFPSを強襲しており、マウスルックに対応。視点が上下左右と自由に変えられ、ストレイフ移動が可能である。これまでの作品では街からダンジョンの移動は瞬時に行えたが、Wizardry 8では移動も自分達で行わなければならない。それゆえ冒険している感じがひしひしと感じられるようになっている。

  これにより暗いだけのダンジョンを4方向移動で進むWizardryとは全くの別物と化している。マシンスペックの制約上の問題だったモノクロワイヤーフレームのダンジョンを「自分の想像力で補え」と言い聞かせる必要がなくなり、文章で表示していた状況も3Dのグラフィックで堪能できるのだ。マシンスペックが上昇したことによって、開発者の思い描いた世界がしっかりと画面上に表現されている。

  完全な3D化を「改悪だ!」という初期作品信者がいるが、これはもともとWizardryが目指していた結果である。3Dで表現されたマップをグリグリと視点を変えながら移動したかったが、当時は技術力の問題で再現できなかった。妥協の産物としてモノクロワイヤーフレームダンジョンが考案されたわけだ。

  もちろん、妥協や制約によって良いアイデアが構築されることはよくあるし、別にモノクロワイヤーフレームダンジョンは悪いとは思わない。だが、最初から完全な3D化を目指していたのだから、3D化したことを「改悪だ!」と騒ぎ立てるのはお門違いである。アイデアを改変していたのはむしろモノクロワイヤーフレームダンジョンの方だったのではないか。6→7→8は当初夢見ていたアイデアを実現したに過ぎない。改悪ではなく、正統な進化である。



  また、戦闘のエンカウントシステムも変更されており、敵に気付かれるか、自分が臨戦態勢に入るとコマンド戦闘に切り替わるようになっている。敵はマップ内をうろうろと移動しており、気付かれなければスルーすることもできるし、うまく不意を突けば先制攻撃を与えられる。

  いつどこで戦闘を起こすかがプレイヤーに委ねられており、索敵が戦術の要である。逆に敵に先に発見されてしまうと、まずーい状況に陥ることもしばしばある。だらだらと戦闘していると左右や後ろから他の敵が現れ、いつのまにか四方八方を敵に囲まれているなんて状況もありえるのだ。


・敵がアニメーションしながら攻撃と移動を行う。戦闘はこれまでにない臨場感がある。ただし、一回の戦闘時間が長いのが玉にキズ。

  従来の作品では前衛・後衛しかフォーメーションがなかったがWizardry 8では前後左右真ん中の5ヶ所に分かれている。これまでは前衛に戦士タイプ、後衛に魔法使いタイプを配置しておくのがマストであったが、Wizardry 8では360度から敵に襲われるため、確実なフォーメーションは存在しない。臨機応変に対応しておくことと戦う場所を工夫することの方が大切である。敵に回りこまれるのが嫌なら、壁を背にして戦えば少なくとも後ろから襲われる心配はない。

  そして、Wizardry 8では距離も重要になった。敵と密接していなければ近接攻撃は行えない。離れている場合は弓やスリングショット、魔法や銃で攻撃するしかないのだ。1ターンを消費すれば移動が行えるが、必ずしも距離が詰められるわけではない。 そのため、戦士タイプのキャラクターでも弓のスキルを上げておいた方が万能に戦える。なぜなら、なかには遠距離攻撃しかしてこない敵も居るからだ。

  ざっと従来作品との比較をしてみたがどうだろうか。Wizardryシリーズは後期作品ほど賛否両論が分かれるが、私はSir-techの歩んだ道を支持している。初期に確立したシステムをかなぐり捨ててまで、理想のRPGを目指すべく改良を加えていった職人気質には賞賛を与えたい。それに出来上がった作品自体も悪い出来ではない。むしろ、戦術的深みを大幅に増した戦闘システム、未知の世界を旅している独特なプレイ感覚によって傑作だと思っている。



  とことで、今回のパーティメンバーを紹介。キャラクターメイキングで結構な時間をつぶしてしまった。一人作るのでも迷ってしまうのだから、六人も作成するのは大変である。

  名前が昔風なのはキャラクターをサムライから作ってしまった流れ。ポートレートがニャンコさんとドラゴンばっかりなのは人間タイプの絵がアレなのが多いから。もとより、私がケモノ好きなのもある。

・Tokisada  ファイター

剣と弓を器用に扱う特攻隊長

・Munetaka  サムライ

カタナと剣の二刀流で複数回攻撃を繰り出すダメーディディーラー

・Taki  ガジェッター

銃とスリングショットで遠距離から敵を仕留める

・Wataya  バード

歌を主力に戦う異色の戦士

・Seimu  プリースト

回復と補助を主に行い、パーティを援護

・Xaya  ビショップ

攻撃呪文で敵を一掃する魔術師