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01/24/2009
Mirror's Edge - トップを目指せ
クリア。巷で言われているように早ければ5時間、6時間程度で終わってしまうボリューム。どうも腑に落ちないというか、大して満足感が得られないのはおざなりなストーリーに問題があるか。
管理社会だの、情報統制だの言われているが、そんな描写は一切なく、現実味に乏しい。シナリオライターの頭の中だけで完結してしまっている。ライターの頭の中には政府によって管理されている世界が思い描かれているのかもしれないが、そこをきちんと描かなければユーザーには伝わらない。冒頭で情報が検閲・操作されているシーンやフェイスがメッセージを届けるミッションが用意されていれば、まだ実感は湧いたと思うのだがどうか。
ランナー=善玉のようなヒロイックな描かれ方をしているが、私には他人のビルに不法侵入し、器物損壊を行う犯罪者連中にしか見えなかった。政府が情報を操作することで犯罪や悪行を未然に防ぐことができるならばそちらの方が断然良い選択だと思う。大半の市民が情報操作されていることに自覚がなく、幸せに過ごせているのならそれでいいのではないだろうか。わざわざ事を荒立てて、平和を乱す必要はあるまい。
「政府の行いにも一理あるが…」というスタンスなら物語に深みを与えられたかもしれないが、政府=悪というランナー達の思想は至極プロ市民的というか、青臭いアナーキズムが満ちていてシラけてしまう。妹がハメられたのもフェイスの自業自得で救いようがなく、仲間ランナーの言い分の方が正しい。アジア女がヒステリーを一人で起こしているような痛々しさが漂ってしまっている。それゆえ感情移入もできず、テンプレート通りの展開も盛り上がらずに淡々と終わってしまった印象が強い。
私はアクションアドベンチャータイプのゲームは苦手なのだが、最後までストレスを感じずにクリアすることができた。鮮やかな色を使った視線誘導、適度に配置されているリトライポイントなど、なるべくイライラを生ませないように作られている配慮には好感が持てる。
アクション、パズル共に難易度は高くなく、こういうタイプのゲームが得意な人は物足りなさを覚えるかもしれない。しかし、このゲームはアクションの難易度を競うというよりも、どれだけ早くゴールすることができるかという点を中心にしていて、レースゲームのような競争がメインになっている。それはタイムトライアルやスピードランといったゲームモードが用意されているところからも察することができるだろう。
ストーリーモードでは道が分からないこともあって、アクションのテンポの悪さが目に付いたが、タイムトライアルに何度も挑戦していくとテンポ良く進めることができ、次第に爽快感が得られるようになる。タイムトライアルやスピードランの記録はオンライン上で管理されており、他ランナーのゴーストを表示しながら遊ぶことが可能だ。上位ランナーのゴーストを読み込んで競争するのは白熱し、「そんなところにルートがあったのか!」と感心させられたりする。
ただ、オンラインで生身の人間とレースできたりするとなお良かった。あるいはデスマッチ形式の対戦も意外に面白そうだと思う。ビルを飛び移りながら銃を乱射したり、体術を活かして戦ったり…想像するだけでワクワクしませんか?
主観視点によるアクロバティックアクションに真っ向から挑み、無難にまとめた点は評価したいが、内容は古典的なアクションアドベンチャー然としており、もう一押し“何か”が欲しかったのも事実だ。ボリュームは短めだが、レースゲームライクなタイムアタックが好きな人は結構楽しめる作品だと思う。感想はどうしようかなぁ。