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09/16/2008

S.T.A.L.K.E.R.: Clear Sky - だが貧乏な私は夢を見るしかなかった

  クリア。Limanskからはリニアな進行で補給するところがなく、弾薬不足に悩まされることになった。最後はやっつけ感漂う銃撃戦に終始し、前作のようにモノリス兵の大軍に苦しめられることになる。嫌らしい登場の仕方をしてくるのでクイックセーブは必須だ。

  今作はShadow of Chernobylの前日譚ということで、ラストでそれらしい描写がされるところで終わっている。前作では二重エンドを味わったので、今作でも一捻りくらいは入れてくるかと思ったが、テンプレート的な予想通りの終わり方にいささか拍子抜けした感は否めない。良い意味での裏切りが欲しかった。前作で言えばホログラムエンド的な。今回のエンディングは途中で分岐しそうなところはなかったし、多分一つだけだろう。

  話半分程度しか聞いていないので強くは言い難いが、今作のメインストーリーの内容も前作に比べると魅力に欠ける。ストレックとは一体何者なのか、願望機は本当に存在するのか、ゾーンの存在とは…。前作は様々な謎が散りばめられ、エンディングにしても色々と考えさせられる仕掛けに富んでいた。

  メインミッション、サブミッション共に単純なお使いが多く、探究心をくすぐられ、恐怖心を煽られるような展開が少ない。前作で言えば地下研究所のような変化がもう少し欲しかったところだ。ロケーションは使い回しが多いが、建造物やオブジェクトが追加されていることにより、結構印象が異なる。S.T.A.L.K.E.R.は複数回のプレイに耐えるゲームゆえに「焼き直しだろ、クソが」とは感じない。焼き直しは焼き直しでも悪くない焼き直し。


  派閥に加入できるようになり、仲間と共闘が可能になった点は新鮮味がある。派閥機能により、前作とは違った銃撃戦が味わえるようになったのは良い。「拠点を守ろうとしたが敵に押されて、もうダメぽ」という事態に仲間の部隊が駆けつけてくれた時の嬉しさは前作では味わえなかった。必ずこのようなシチュエーションに出会えるわけではないが、その偶発的なところに真のドラマがある。Shadow of Chernobylの頃に掲げていたA-Lifeにはまだまだ遠いが、夢に向かって前進していると感じられた。

  AIの動きはよりアグレッシブに賢く立ち回るようになり、苦労させられることだろう。AIが手榴弾を投げられるようになり、キャンプしていると場所を追われるようになったのはいいが、投擲が正確すぎて凶悪すぎるのは頂けない点だ。飛んできた手榴弾が頭上で爆発し、即死したのには苦笑してしまった。これはHLの海兵隊を彷彿とさせる鬼畜さ。もう少し、人間的なアバウトさを望む。

  AIにアニメーションが追加されて、見栄えがよいアクションを行えるようになったのは良い。オブジェクトがあると認識して、物を飛び越えたり、カバーポジションからブラインドファイアを行うのには驚かされた。また、プレイヤーのアニメーションもプラスアルファされており、前よりも動きがスムーズになっている。銃のサウンドがこもった音に変更されているところは好みの分かれるところか。

  装備の改造は楽しい要素だ。お気に入りの装備に余計に愛着が持てる。修理ができるようになったお陰で、武器が消耗に蝕まれて使い物にならないという悲しい出来事も起こらなくなった。しかも、改造や修理によって金の使い道ができて、金銭が上手く回るようになっている。前作のような10万RU以上貯まり、アイウォントゥビーリッチなことにならなくて済む。

  拡張パック的な内容で、作りこみが前作に比べると浅い。ただ、Clear Sky発売までのスパンを考慮すれば納得できる出来。約1年半の間で、よくやったと思う。1回では遊びつくせない奥深さは今回もしっかり持っている。S.T.A.L.K.E.R.のゲームプレイに惚れた人なら楽しめるだろう。今回から追加された機能は概ね良い方向に働いている。出来ればこのシステムを搭載したShadow of Chernobylを遊んでみたいものだ。これからMODも登場することだろうし、今後の展開も楽しみ。感想にまとめるのは何度かリプレイした後にしようか考え中。