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05/13/2008

素直に納得させて

Death to Spiesは試行錯誤を必要とするゲームであるが、HitmanやIGIとは違ってセーブ&ロードが気兼ねなく行えるため、ストレスはさほど感じない。セーブ&ロードが行えないが故の緊張、ワンテイクに賭ける葛藤の楽しさは理解できるものの、それを強制するのはやはり問題がある。

ワンテイクプレイの場合、クリア出来た時の達成感は人一倍強く得られるだろうが、それまでのストレスは尋常(度合いにもよるが)ではないだろうし、プレイアビリティは必然的に低下さぜるを得ない。セーブ&ロードはプレイヤー側で管理出来るのが望ましい。

ただし、失敗すれば一からやり直しでも、許されるゲームはいくつか存在する。例えばマリオはどうだろう。死ねばステージの初めからプレイすることになるが、だからといって「途中からやり直せないからクソ!」と言う批判は聞かない。他にはローグライクなどもそうだ。死ねばデータが上書きされて一からやり直し。ワンテイクこそがローグライクの要と言ってもいい。

なぜ、同じゲームなのに両者には差があるのだろう。私が考えるに、マリオの場合は費やす時間の短さ、やり直しが容易いからではないかと思う。マリオのステージは大抵10分そこら(最近のシリーズは知らない)でクリアできる構成。基本的に短時間のプレイ故に失敗したとしてもそれほど落胆せず、やり直しする気力も失われない。ただし、コンボイの謎のような明らかにクソバランスの場合は別だろうが。

HitmanやIGIの場合は小一時間近く必要とする長いステージ構成に加え、目標が複雑で一回のプレイではクリアできない罠が仕掛けられている。試行錯誤を必要とする内容にも拘らず、ワンテイクでやり直しが容易ではない。1の罠を超えたとしても、2の罠で失敗したら、また1の罠からやり直し。このプロセスがマリオとは違って長すぎる為にストレスが溜まり、作業感を感じてしまうのだろう。1の罠はこちらとしてはもうクリアした過去の出来事としておきたいのに、その先で失敗すると何度も何度も振出しから戻らなければならない。個人的にトゥームレイダーなどでも、こういった面に不満を感じる。



この連鎖を解決したのがプリンスオブペルシャ時の砂だ。これは数秒だけ時間を巻き戻せる能力によって、穴に落ちたとしてもそこで失敗ではなく、数秒間の頑張り次第では挽回が可能になるシステム。失敗には必ず成功に変わるチャンスが用意されており、プレイヤーが自発的に行うことだからズルをしているようには感じさせない。ゲームを継続させる理由付けとして時の砂はうってつけの文句と言えよう。

同じように継続させる手続きとしてPreyやBio Shockのようなタイプもあるが、これらはプレイヤーが継続手段を自発的に使うのではなく、開発者が無理矢理継続させようとしているからズルをしているような気分にさせ、プレイ中の緊張感も台無しにしていく。セーブ&ロード、そしてやり直しは開発者が無理矢理やらせるのではなく、プレイヤーの決断によって行われるべきではないだろうか。

少し、脱線したがワンテイクで許されるゲームの話。ローグライクは一回のプレイが長時間に亘り、マリオのように手軽にはやり直せない。だがワンテイクのプレイが許されているのは何故か。

それはローグライクのゲームプレイが不定形だからだろう。ローグライクでは同じ状況が起こることは二度とない。一回一回のプレイが完全に別物なのだ。一階で強い装備が入手できることもあれば、一階でモンスターハウスでリンチなんてことも起こり得る。つまり、ローグライクでは再プレイするのがアクションゲームで言う“やり直し”ではなく、新規プレイに当たる。毎回、違う体験が用意されているから複数回のプレイも繰り返しとはならず、作業にも感じない。ワンテイクでも許せてしまう。

で、ここからが本題。

Suzieさんはマルチエンディングは嗜好に合わないと仰った。これに私も同意した。ラスト手前でセーブを取って、そこからロードして全てのエンディングを回収するのは後ろ髪を引かれる思いを抱かざるを得ない。ワンテイクのプレイには一つのエンディングだけが用意され、すっきりと終わってくれた方が望ましい。だが、ラスト手前でしかエンディングが分岐しないのなら、初めからやり直すのは正直面倒だし、作業然としている。

そこで自分なりに考えて「良いマルチエンディング」の例を挙げてみたつもりだったが、なかなか良い例が思いつかなかった。これを書いていて気付いた。ローグライクが一番の例ではないだろうか。ローグライクのワンテイクは文字通り一回こっきりの人生だ。同じダンジョンで同じ体験を再度繰り返すことは完全に不可能。

トルゥーエンドが最下層に眠る財宝を持ち帰り、無事に生還することならばバッドエンドは無数に存在する。人によっては「落とし穴に落ちた後、空腹で餓死」かもしれないし、「ビホルダーアイに混乱させられ、ドラゴンの炎で焼死」かもしれない。ローグライクこそ本当の意味でのマルチエンディングゲームなのではないかと思う。



久々に脱線しまくったが、反省はしていない。