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01/28/2008

願望機 - 本質ってどこにあるの

思い描いている願望が必ずしも本質であるとは限らない。たとえ「病気の姉を治して下さい」という願いを持っていたとしても、心の奥底に眠っている願望は正反対のものかもしれず、願望機はその本質を見極めて具現化してしまう。願望機に願いを叶えてもらうには清廉潔白な真人間でなければならないが、そもそもそのようなものにすがりつくような人間が真っ当である可能性は低い。

信じていた自身の想いが偽善だと露にされる恐怖。もし願望機が願ってもいなかったはずの後ろ暗い願望を叶えてしまった時の絶望は計り知れないものがある。想像しえない一端が現れてしまうのではないか…そんなところに恐ろしさを感じずにはいられない。

人間には後ろめたいところが一つや二つ必ずあるはず。映画ストーカーと同じく、内なる本質に対する畏怖が教授や作家の言葉から読み取れる。私はストルガツキイが描いた人間臭さ、人間らしい汚さに安堵してしまった。



「どこかのあほうに、くそみそにけなされて、傷つく。べつのあほうにほめられて、これまた傷つく…ぼくがなにを書こうと、連中にとっちゃどうせ同じことだ!やつらはなんだって貪欲に食っちまうんだ!魂を打ちこめば魂を、心をかたむけ全力をつくせば、心臓を食いつくしてしまうだけさ。魂から汚らわしいものを抜き取れば、汚らわしいものを食う……連中にしてみればどうせ同じことなんだよ、なにを食おうが。どいつもこいつも人並みに読み書きができ、みんな感覚に飢えを感じているんだ……やつらはぼくのまわりで、べちゃくちゃうるさく騒ぎ立てるーー新聞記者、編集者、批評家、ひっきりなしにまくしたてる女みたいなもんだ……しかも、彼女たちは、私が一夜をともにすることを承知したといって、男どもを自慢するしまつだ!連中はなんだって要求する。さあ、書け、書け、とせっつく!そういわれて書きはするけれど、胸糞悪くなる。わたしはとっくのむかしに作家じゃなくなってしまった……書くことを憎んでいるとしたら、私にとって書くことが苦痛で、恥ずべき不愉快な仕事、なにか病的な生理的作用のようなものだとしたら、とてもじゃないが作家とは言えない……」

- 願望機 P56

辛らつでいて重い言葉。


・STALKERをプレイしていたら無性にBoiling Pointがしたくなる。

当時はメモリ不足(1GB以上にすると途端にスムーズになる)で重かったり、強制終了が多かったせいでクリアする前に寝かしてしまったわけだが、今こそ掘り出して吟味する価値があると思い立った。Boiling Pointはイイ線を行っていたゲームだ。ただ、いかんせん完成度が恐ろしく低かったのが問題だったのだろう。

ノンリニアと言っても同じ風景が延々と続くだけで移動が苦痛極まりなく、やたらとフィールドが広い癖に街が少ない。ミッションのほとんどが皆殺し系でバラエティに乏しく、アーノルドボスルーが娘を救出するシナリオも面白いとは言い難い。面白そうな要素は混在しているがそれらがうまく噛み合っていなかった。ここがSTALKERと明暗を分けた点。STALKERも完成度は高いとは言い難いものの、散らばっているかのように見える要素が見事にガッチリハマっていた。

ただ、Boiling Pointはネタゲーとして面白い部分が沢山あって、ジャングルを彷徨ってると唐突にジャガーが襲ってきたり、車を運転しているとババァが手榴弾投げてきたり、リボルバーがなぜかジャム起こしたり、戦闘時の音楽が情熱に満ち溢れていて妙に熱かったり、キャミソールを着た男がやたらと多かったり、と「さすがコロンビアだぜ」的な魅力というか価値観を崩壊させるセンスオブワンダーが潜んでいたりするのだ!

ということでパッケージを探すわけだが案の定見つからない。またか。必要な時に限って見つからないのが自然の摂理。探しても見つからない自分のめがね。ということでIFGさんで注文する。お安い良心的な価格で有り難い。再入荷待ちということなのでまったり待とう。

当時はなにこのダメゲーと投げてしまったが、今度はじっくり吟味して真価を問う。ちゃんと隅々まで味わえば、Boiling PointはStalkerに優るゲームかもしれないのだからッ!面白さに気付く前に止めてしまった、面白みを探そうとしなかったあの頃の自分を悔やみたい。