« 幻も覚めやらぬうちに | トップページ | Crysis - プレイしていると微熱を帯びる、愛すべきPCゲーム »
11/30/2007
Crysis - 主人公がかないみか声じゃない件について
ということでCrysis。待ちに待った今年一番の期待作。PCゲーマーがこれ買わずしてなにを買う。
Crytekには特別な感情、すなわちライクじゃなくて、ラブ的な感情を抱いているのは諸兄もご存知の通り。今年と同じく、大作揃いの年と呼ばれた2004年で一番輝いていたのは、紛れもなくFar
Cry(もしくはPainkiller)。当時CrytekがPCゲームを始めた頃のようなセンスオブワンダーを思い出させてくれたのは今も強く覚えている。
攻略し甲斐のある箱庭で、自分だけのゲリラ戦を繰り広げる面白さ。幅広いプレイスタイルを構築出来るゲーム性は、2004年の中でも一際目立った存在であった。だが中には、イージー難易度で乱暴なプレイをしてAIの頭が悪いとか(難易度でAIのルーチンが変わる)、すぐに殺されるからクソと、ゲーム性を把握もせずに批判するFPSゲーマーを気取ったゆとりが居たのも事実。それ故に、不遇な評価を与えられたゲームである。
ただし、Far
Cryの場合はしっかりゲーム中でレクチャーしているわけで、これを理解しようとしないプレイする方に問題が多分にあるが、結果的にアホの子には把握出来ないゲームになってしまっていた事は否定できない。頭の良い子よりも、アホの子を満足に遊ばせる事が出来ないとハーフなんとか2のような提灯点数は取れないのがエンターテイメントの世界である。コアなユーザーより、ライトな層を満足させた方が、点数もよくなり、売り上げも上がるのはどの世界も一緒なのだ。
個人的に、Far
Cryで気に入っている点は、神経がチリチリする感覚を味わえる所にある。抽象的で理解出来ないと思うので、どこでこういう感覚を味わえるかというと、草むらに伏せて発見インジケーターが上下する時である。
Far
Cryの本来のゲーム性を味わおうとするとベテラン難易度でやらなければならず、この場合だと敵の放つ一発が致命傷になるシビアなバランスになる。ライフは回復キットを拾って回復する形式であり、自動回復形式のように無尽蔵にあるわけではない。故に、一発の致命傷を負うか負うまいかの緊張にゲーム中終始襲われる形になり、敵に発見されまいと茂みでスニーク行動している時に、神経がチリチリする感覚に襲われる。
神経をすり減らしながら、苦労してチャプターをクリアした時に味わえる達成感、疲労感、カタルシスは他のゲームの非ではなく、私にとって非常に心地良いゲームであった。(これはDelta
Forceでも味わえるのだが、Delta Forceはややアーケード向け。Far Cryはよりタクティカルな方面へと先鋭化している)
まぁ、長々と書いたが、私がどれだけValveを嫌っていて、どれだけCrytekを愛しているかは一見さんにも理解出来たと思うので、それを前提に進めていく。つまり、Crytekのゲームに対してはどれだけスカトロだろうと、ベタ褒めしてしまうということ。いつもよりアテにならない雑感を承知して欲しいということである。
日本語の出来は流石EAJと言うべきか、今回もグッジョブ。声優さんの演技はしっかりしており、いかにもそこらの社員が当てたというものはない。マイクロソフト的翻訳と言えば、理解して頂けると思う。
ただし、スーツの声だけは別。英語だとカッコイイ「マキシマムなんたら」が、日本語だと口に何かを含みながら話しているような声質で思わず噴く。女性のスーツの声はそれを上回り、やる気なさげな事務員ダウナー声で脱力。ここまで新規に録音する必要ないと思うのだがどうか。
それなら「最大出力!」とか「最高速!」とか、日本語化を徹底するべきと言おうと思ったが、止めておく。(イベントシーン含めFrapsで録画しておいたのだが、いつの間にか音声だけが録れなくなってしまっていた。だから動画が上げられない状態である。申し訳ない)
日本語化されていることで、やはり没入度やゲームへの引き込まれ方は英語と違って雲泥の差。何を言ってるのかサッパリでやる時とはプレイフィールが全く違う。字幕のみならず、音声まで日本語化されているお陰で状況理解力も格段に上がる。見ているだけの映画ならまだしも、画面見ながらキーボードカチャカチャ操作して、字幕を追うのは低脳の私には難しい。しかし、音声ならば自然に台詞が吸収出来る。自国語でゲームをプレイ出来るというのは喜ばしい事だ。
難易度リアリスティックでステージ3まで進んだが、プレイフィールはデモと変わらず、「ライトユーザーにも理解できるFar
Cryのリベンジ」という感じが強い。ただ、スーツの効果もあって、Far Cryの頃よりもゲーム進行が漠然とした印象を受ける。Far
Cryでは、どうしても銃撃戦をしなければ抜けられないところが幾つかあった。Crysisでは、マキシマムスピードで駆け抜け、マキシマムストレングスで崖を登り、クロークで避け、自動回復なのでダメージを気にせずに突っ込める…という攻略の幅を広げた結果、ゲームの伝えたい部分が明確に与えられなくなっている。スーツの機能を最大限に利用してしまうと、あまりに自由に攻略出来過ぎて、ゲームの魅力が万人に伝えきらないのではないかと懸念が浮かぶ。
自分のプレイスタイルを構築できるのがCrytekのゲームの魅力であるが、スーツの機能は攻略の幅が広がる一方、悪いプレイスタイルの幅も広げてしまっているように思えてならない。スピードとストレングスで、銃撃戦を一切せずにマラソンするユーザーにはとてもつまらないゲームになりそうである。プレイスタイルがギチギチに定まっていないゲームは(CoDとは正反対)、プレイヤーのやる気によっても大きく評価にも差が出てきてしまう。今回もFar
Cry同様、万人には理解されにくいのではないだろうか。
私は2度、3度やりこむつもりである。ちなみにFar
Cryは5回近く遊んでいる。