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11/22/2008

Icewind Dale - ツンデレイエティ

  ツンドライエティ。その単語が目に入った瞬間に二律背反な感情の狭間で揺れ動く毛むくじゃらの怪物を想像し、一瞬ドキッとさせられた。ツンドライエティをツンデレイエティへ勝手に脳内変換してしまうおめでたい桃色の頭脳には困ったものだ。

  「あれ、こんなに簡単だったっけ…」と拍子抜けしながら、スムーズな進行で二章へと到着した。初めてBGとIWDに触れた際は難雑そうなD&Dのルールと馴染みが薄いリアルタイム性の戦闘がとっつき難いハードルとなり、一筋縄ではいかない手強さを感じたものだが、システムに慣れた今となってはどちらかといえば簡単という印象が強い。

  D&D系ゲームの一番の難所はプレイに取り掛かるまでだろう。見慣れないものに対して人間は及び腰になってしまうものだ。ACだのTHAC0だの、長ったらしい名前のスペルだの、聞きなれないタームがゲーム中にはしばしば登場して、頭を混乱させられる。

  しかしながら、別にそれらの原理や計算方式を100%理解する必要はなく、ここは数値が低ければ低いほどおk的なスタンスで遊んでも支障はない。メラは炎の魔法、ホイミは回復魔法、その程度のアバウトな認識で構わない。ダメージ量や回復量、その他諸々はプレイしていれば必要な物は後から身に付いてくる。

  簡単とはいえ、戦闘はいつもそれなりに緊張感が伴う展開で楽しい。前衛と後衛キャラの特性を把握し、きちんと操作しなければすぐさま窮地に追いやられるバランスは駆け引き性をしっかり感じられ、毎回手応えを味わえる。ここは某国のRPGに考慮して頂きたい部分だ。Aボタン連打していたら勝利できるような消化戦や下らないレベル上げを押し付けるベルトコンベアー作業は単調以外の何物でもない。

 Black Isle開発だけあって、小説を読んでいるかのようなダイアログは健在で、街で情報収集するだけでも思考が満たされた気分になる。IWDは一本道色が強いが、会話に捻りが利いていることでお使い系のクエストをやりがいのあるものにしている。荷物を運ぶだけのクエストでも、途中に会話による駆け引きが用意されているだけで単調だとは感じさせない。

  他のゲームのお使いクエストが単調に感じさせる理由は「これを目的地にもってけセーラー服→セーラー服もってきました→よくやった褒美をやろう」だからだ。このセーラー服には4000年の歴史があってうんぬんかんぬん…、そしてこのニーソックスに纏わるエピソードはうんぬんかんぬん…といったバックボーンを用意し、それに対する多様なリアクションさえあれば作業感は最低限に抑えることが可能である。

  メインストーリーを練るのは大切だが、それ以外のサブの部分も同様に大切。そこを疎かにすれば世界に奥行きは生まれない。たとえるなら、重要人物は水を得た魚のごとくしゃべくりまわし、幼稚な思想をオナニーするくせに、村人Aは「ハロー、こんにちわ」しか言わないような軽薄さ。少年少女が世界を救うRPGは得てしてそういうことになりがちである。