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03/14/2008
ツール選びよりも素材作りが先だろJK
先日、購入した「人間の手がまだ触れない」。キリが良いので一遍ずつ読んでいるんだが、これが奇妙なトンデモ話ばかりで大変面白い。日本でいうと「幻想ミッドナイト」、「コールドスリープ」、「Ifもしも」辺りが近いと言えば、なんとなく想像頂けると思う。というか飯田譲治が得意そうだよね、こういう題材。
著者のロバート・シュクリイはSF
absurdist(SF不条理作家)なんて呼ばれているらしいが、実に言い得て妙な呼び名だ。本作ではSFの手法を用いて、奇妙な話をしながら社会風刺を内包しており、現実社会での問題を切実に描き出している。話の舞台は現実とは似ても似つかぬ世界なのだが、話の根幹は現実でもあり得る内容で、そのアンバランス感が巧妙。オチがいずれも教訓めいていて、奇妙なだけで終わらせていない。そこに社会風刺的な色合いを強く感じるのだろう。ネタバレになってしまうので説明はしない。
私は人間の手がまだ触れないを読んでいて、不条理SFに目覚めてしまった。なるほど。三面記事をSFで比喩すると、こんなにも面白くなってしまうのかと目から鱗が落ちた。もちろん登場するブッ飛んだ世界観も魅力的なのだが、こういう手法もあるのだという驚きを一番感じた。
そこで、性懲りもなくサウンドノベルを作りたくなったわけで。色々とツールを選別してみたわけです。サウンドノベルに使えるエンジンと言えば、吉里吉里、Nscripter、Live
Makerが代表格でしょう。この三つは昔に少し触れたことがあるので、作り方もなんとなく理解できます。
吉里吉里は汎用ノベル用スクリプトKagとノベル以外の用途にも使える強力な言語TJSにより、サウンドノベルの枠を超えた拡張性が魅力的。Nscripterはサウンドノベルを作るには十分なスクリプトが用意されており、覚え易いスクリプトの構造でハードルが低い。Live
MakerはGUIを用意しており、スクリプトなにそれな初心者でも安心。GUIがあるお陰で視覚的にフローを組むことができ、またアニメーション効果にも強い。
私が選んだツールはNscripter。スクリプトの流れ、仕様が一番肌に合うんですよね。GUIがあった方が管理し易いんでしょうけど、Live
Makerはいま一つ練られていなくて不満が残りますし、コンパイルした時に容量がやたらと大きくなるのも気になります。別に演出に凝りたいわけでなく、あくまでお話を書きたいだけなのでNscripterの基本的な命令だけで事足りてしまうわけです。
テーマとしては、昨今賑わしている時事問題を取り上げて、それをなんたら星人に置き換え、皮肉ってみようかと。基本のプロットはできているので、あとは無茶に話を広げていけるのが不条理SFのよいところ。結構、筆が進んでます。自分でも驚きだぜ。しかし、SFをあまり読まない人に対して、どこまで親切にしようかというのが目下悩みの種。
SFなんだからテクニカルタームばんばん使ってもいいんでしょうけど、それだとSFを読まない人は置いてけぼりにしてしまう可能性無きにしもあらずで難しい。「人間の手にまだ触れない」だと、説明なしにバンバン飛ばしていくところがあるだけに不条理SFはこれでもイイのかなぁと思いつつ、流石に最低限は説明すべきでしょうという意思も捨てきれない。ただ、今書いてる内容があまりにも説明的すぎて、これもクドクドやり過ぎてどうなのよ的な内容故に揺れている。ここらへんの塩梅は難しい。いっそのこと願望機みたいに簡潔極まりなくするのも一つの手かもしれない。