Dungeon Siegeの良かった点といえば何が挙げられるだろう。ロードがほとんどないシームレスなゲーム展開、徐々にエリアが変化していく自然な地続き感、アイテム数が豊富で止め時を見つけにくい、操作性がとっつきやすい、キャラクター育成が自由、仲間を自分で管理できて愛着が湧きやすい、主人公が一介の農民で移入しやすい、動作が軽いわりにグラフィックが美麗、エディターが利用できてMODが多い、マルチプレイが容易に行なえた、ミュールたんがかわいい…というところだろうか。
本作はシームレスなゲーム展開と遊びやすさ重視の内容でライトユーザーを中心にヒットしたDungeon Siegeの続編だが、方向性はだいぶん異なっていると言っていい。過去作は複数のキャラクターを同時に操作するリアルタイムタクティクスだったが、今作では主人公だけを操作するアクション性の強いものに変わっている。操作性はパッドに最適化されており、キーボードでも一応操作はできるものの、快適性はパッドに比べると落ちる。
たとえば、キャラの移動がキーボードでは前進後退しかできず、横方向に移動する場合はカメラ自体を回転させる必要があるが、パッドでは8方向移動が可能なのでカメラを回転させる必要がなく、自由に好きな方向に移動できる。キーボードではめまぐるしくカメラを回転させなければならず、まるでメニエールにでもかかったような気分だ。それとこれはキーボードやパッド関係なく生じるのだが、キャラクターが壁に寄り過ぎると画面がズームしすぎる。敵から離れようとしたら突然ズームインしてどこにいるのか分からなくなる。
敵の攻撃力は高めに設定されており、連続でダメージをくらうとHPはみるみる内に減っていく。そのため防御やローリング回避が重要で、基本はヒット&アウェイで戦うことになる。敵にダメージを与えれば少しだけ攻撃を遅らせることができるがゴリ押しは禁物。このバランスのお陰で戦闘には適度に緊張感がある。
通常の動作はキャンセルが効かず、モーションが終わるまで次の動作を受け付けないが、スキルを使用した時だけモーションに割り込むことができ、キャンセルが効く。移動を伴うスキルならそれで強引に回避することも可能だ。ただし、スキルを使うにはゲージを溜める必要があって、これは敵を攻撃するか、敵の落とす回復アイテムを回収しなければならない。ちなみに通常攻撃は三コンボまで続き、軽い敵なら三コンボ目で吹き飛ばせる。
主人公は騎士、精霊、魔法使い、銃使いの四人の中から選ぶことになる。過去作のような外見の変更は行えないし、キャラクター毎のバックグラウンドがきっちり決まっている為、遠い存在のように感じられてしまう。たとえばDS1の場合は農民が敵と闘いながら道中で仲間が段々と増えていって、最終的に悪に立ち向かうという感じだったが、今作は選ばれし騎士の生き残りが各々の使命をかけて戦うという展開で、勝手に物語が進行していく感が強く、移入がしづらい。しかし、それぞれのキャラの自己主張を強めることで会話の選択肢に幅を持たせるているのでここらへんは一長一短か。
ちなみに私は銃使いか精霊で悩んだのだが、最終的に精霊でいくことにした。ここで主人公に選ばれなかったものは仲間として後で登場することになる。仲間には信頼度というのがあって、選択肢で信頼度が増減する。ObsidianのRPGらしく、NWN2やAPほどではないが会話中の選択肢は多い。利益を取るか、それとも人情を優先するか、選択によって展開が若干変化し、獲得できる武勲(称号のようなものでステータスにボーナスを与える)や信頼度が変化する。
こういう選択肢があることで物語への参加感が向上するので、単に会話を読むだけのものよりかは良い。ただし、仲間の信頼度が低くてもバルダーズゲートのように離反することはないと思われ、そういう意味で本作はライト志向=DS的か。
それぞれのキャラは二つのスタイルを持っていて、いつでもボタン一つで変更可能だ。精霊の場合は人間と炎の精のスタイルに分かれており、人間スタイル時は槍で複数の敵を同時攻撃、炎の精スタイル時は魔法で遠距離攻撃を行えるが対象は一匹となっている。そのためグループ戦では人間、タイマン戦では炎の精という風に切り替えて戦っている。スタイル毎に使用可能なスキルが異なるが、序盤はスキル数が少なく、単調になりやすい。二つのスタイルがあると言っても、スキルが少ないので同じような展開に陥らざるを得ない。
レベルが上がることでスキルやタレントの強化や追加が行える。スキル毎に二つの強化タイプが用意されていて、燃焼ダメージを追加するか、それともクリティカル発生率を上げるかという風に選択できる。タレントは攻撃力や精神力ボーナスなどのパッシブ効果が付与される。しかし、スキルやタレントは始めからすべての種類にアクセスできるわけではなく、レベルで順番にアンロックされていく。
仲間は主人公と同時にレベルアップし、仲間ののスキルやタレントなどはプレイヤーが自由に選択できる。しかし、行動はAI任せで一切命令を下せず、仲間の数も少ないのでDSファンは不満を感じるかもしれない。
仲間はかなり強めに設定されており、私の場合は騎士のルーカスが仲間になっているのだが、ルーカス任せにしていても大丈夫なくらいだ。序盤の一人旅は一部苦しい場面があったのだが、ルーカスが仲間になってからはサクサクと進められている。それに仲間がいるとHPがなくなっても瀕死扱いになり、蘇生してくれる。二人が同時に瀕死にならない限り、ゲームオーバーになることはなく、多人数相手でも二人で対処することになるので一人旅に比べて難易度が下がる。
エフェクトがやたらと派手で見た目は華やかだが、近接戦闘時はゴチャゴチャしすぎて見にくく、乱戦になりがち。テクスチャの質は低く、会話シーンではアップになる為、低解像度なのが露呈するのが残念なところだ。そのわりにシェーダーやエフェクトのせいなのか、動作が重かったりする。
UIが家庭用ゲーム機仕様なのは仕方ないとしても、ページが切り替わるごとに0.5秒くらいの切り替えアニメーションが毎回発生してストレスが溜まる。これのせいで妙にレスポンスが遅く感じられ、インベントリを確認するのも億劫になってくる。気持ちの良いゲームプレイはまずレスポンスからというのが私の信条で、少なくともDS1はそういう部分を気づかっていたと記憶している。
マップは一本道感が強く、同じ場所を行ったり来たりして、徐々にエリアが開けていく方式。エリアのロードはなく、ここらへんはDSらしさを守っている。クエストはメインとサブがあり、敵は時間が経過するとリスポーンするのでレベル上げやアイテム収集も可能となっている。
修飾語の付いた装備品は健在で、ザクザクと手に入る。装備品には幅広いパラメータが付いていて、これがベスト!というのは少ない。攻撃力が上がっても、精神力や敏捷力が下がったりして、強さを体感できず、素直に喜べるようなアイテムが少ない。また、装備品を変えてもあまり見た目に変化がなく、今のところバリエーションもなさそうに感じる。
DSらしいと言えばらしいところもあり、Obsidianらしさもあるのだが、DSの続編的な内容かと言われれば違うし、Obsidianの十八番である斬新なコンセプトやバグ(バグがないObsidianゲーなんて…)もなく、どの要素もちぐはぐで上手く噛み合っておらず、評価の難しい内容に仕上がっているのは確かだ。ただ、Obsidianといえばマルチシナリオに定評があり、私は世間的には悪評されているAPを高く評価しているので、そこに今回は期待している。
コメント
詳しいレビューで参考になります(^o^)
凄く・・・DSではない何か・・・ですね。
これは悩むレベルですね(^o^)
これじゃない感がすごくあるんですけど、中途半端にDSぽい部分も残っていて、なんとも言えないもどかしい気分になります。
聖剣伝説とかバルダーズゲートダークアライアンス系のアクションRPGとして割りきって遊ぶほうがいいですね。
初めの方はスキルが少ないので単調ですが、徐々に増えてきてプレイスタイルも変化していきますし、私はDaggerdale的なアクションRPGを求めていたので、それにはわりと近かったです。
Steamに体験版がありますし、それでアクションのフィーリングが自分に合ったならロシア価格で購入するのが吉かと。
コーオプのカメラが酷くてゲームにならない。ホストにレベル・アイテム・スキルが保存されるため
クイックゲームの存在が無意味。マルチ目的で購入なら大パッチでも出ない限りやめておいた方が
良い。
ぶっちゃけ、DS1・2のマルチサービスを復活させてもらった方が
よっぽど有難い。
旧作ファンからするとガッカリすぎる出来ですね。
それに予約特典?のDS1/2も当初日本語だったのに、いつの間にか英語版にされてます…なんじゃそら。
これ、DSじゃなくて出せばいいのにと思いました。
トレハンできない、ゲーム短い、アクションあきる…
斜陽気味のスクエニがパブリッシャーだけはある?(苦笑)
相当期待していたので、その分ヘコみ具合も大きいです。
はぁ。
せめてアイテムがもっとランダムで、CO-OPで何度も潜れる仕様ならなあ。
DLCも期待できないので個人的には、完全終了したタイトルです。