トトリのアトリエ ~アーランドの錬金術士2~ DX – トトリは人生(クリア)

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アトリエ初見には厳しい

本編ノーマルクリア。25時間。パッと見は前作のロロナのアトリエと似通ったゲームのように見えるがプレイフィールは別物。目的が明確で戦闘が簡単だったロロナとは違い、トトリは目的が漠然としていて、戦闘も厳しい。

これは方向性の違いであって、どちらが上か下かの問題ではない。どちらが好きか、苦手か。合うか、合わないかの話だ。初めてプレイする人はロロナのアトリエの方がチュートリアルが充実していて入りやすいのではないだろうか。

相変わらずおとぼけのロロナ。少しお姉さんになっていいゾ~これ。

母を探す冒険

見習い錬金術士のトトリが行方不明の母親を探すために冒険者を目指すところから始まる。前作の主人公だったロロナはトトリの師匠として登場し、話が繋がっている。主人公のトトリ目線でイベントは進むものの、前作のキャラクターが数多く登場する為、ロロナをプレイしておいた方がより楽しめるだろう。

アトリエシリーズの特徴と言えばほんわかしたファンタジー世界である。今作もキャラクターの掛け合いが楽しい。ロロナは錬金術の先生になったものの、相変わらずのマイペース。シリアスになりがちな雰囲気を良い意味でぶち壊してくれる。

前作メンバー

しかし、母親探しというテーマ上、シリアスな場面が前作よりも増えた。家族の関係性が深く描かれているところもロロナのアトリエと異なる部分だ。前作でもロロナの両親は出てきたものの、存在感はほとんど無かった。それに対して今回は家族を通じて生死の問題に踏み込んでいる。

個人的には前作のギャグ強めの掛け合いも好きだったが、今回のシリアスな場面の導入も差別化という意味ではうまくできているのではないかと思う。シリアスといってもアトリエらしいほんわかした雰囲気や日常描写が基調となっており、シリアスになりすぎず、悲劇と喜劇のバランスが保たれている。

家族想いの姉ツェツィ。

洗練されていないシステム

ロロナのアトリエは何度かリメイクされていることもあってか、UI(ユーザーインターフェース)が洗練されていた。トトリでもそれと同じか、あれ以上のUIを期待していたものの、どうやら古い仕様のままで改良されておらず、ロロナのアトリエよりも使いづらい。

アイテムがページ毎に分かれておらず、ソートやフィルタ機能も最低限という形でアイテム選びが面倒。コンテナの容量もロロナは1999個で、トトリは999個までとなっている。

アイテムを選択する際に軽いディレイがかかっており、動作がワンテンポ遅れ、軽快さに欠けるのもつらい部分だ。私はロロナのアトリエDXからプレイし、その使いやすさに慣れてしまった為、余計にストレスに感じてしまった。

使いづらいアイテム欄

自由だが漠然とした目標

ロロナのアトリエでは3ヶ月毎に目標が設定され、行ける範囲やできることが順番に増えていき、段階を踏んで一つずつ覚えていく形だった。なにをやればいいかが明確になっており、初心者にも分かりやすい。

しかし、逆にやらなければいけないことが細かく決まっていたので窮屈さを感じるところでもあった。

トトリのアトリエでは行方不明の母親探し、3年間で冒険者レベルを一定まで上げる以外の目標は設定されていない。どういう手段で冒険者レベルを上げるかは個人に任されており、自由度は上がったといえる。

しかし、どのくらいの依頼や冒険をすればそのレベルまで上がるのかが分からず、見通しは立たない。母親探しの目標も不明瞭だ。

行動に応じて冒険者レベルが上がる

そのうえ、戦闘のバランスがロロナと比べて厳しい。特に装備やアイテムが整わない序盤~中盤は雑魚戦ですら苦戦し、簡単に全滅する。ロロナが物理でゴリ押しできた前作とは大違いだ。

雑魚戦ですら苦戦することも

ロロナのアトリエでは街から各マップへ直接移動する形式だったが今回はすごろくのような形式となっており、冒険している感じが強調された。各ダンジョンには階層がない代わりに一つのエリアが細かく作り込まれている。

ロロナのアトリエでは後半のダンジョンの階層が多く、探索に時間がかかりすぎる部分があったがそこが解消された。ただし、ここに関しても良いか悪いかの問題ではなく、どちらのスタイルが好きか、嫌いかによる。

マップ移動がすごろく形式に

採集や戦闘による時間経過の要素が追加されており、素材を採集する毎に半日、戦闘はターン数に応じて時間を消費する形式となった。ロロナのアトリエでは時間消費が無かったのであるものは全部拾い、出てくるモンスターを全部倒して経験値稼ぎもできた。

今回は無駄な時間消費を防ぐ為、必要なもの以外は取らない。必要のない戦闘はやらないことが攻略の鍵となる。そのためお金は参考書を買うのにカツカツで、見通しが立たず、経験値稼ぎがやりづらいので余計に戦闘がつらいという悪循環に陥る。

時間節約の為、無駄なことはしない

自由でも初心者は自由に振る舞えない

アトリエ ~アーランドの錬金術士1・2・3~ DXを購入し、その順番にプレイしているのだがパッと見は同じように見えていても、実際にプレイしてみると印象が大きく異なる作品だった。続編ものというと前作プラスアルファという作品が多い中で、トトリのアトリエはしっかりと差別化が図られている。

ロロナのアトリエよりも自由度は高いものの、見通しの立たない目標があり、採集や戦闘の時間消費も相まって漠然とした不安感に襲われるデザインだ。ロロナがノルマに追われる社員だとすると、トトリは人生の縮図ともいえるかもしれない。ある意味、現代社会の再現でもある。

我々は自由なように見えて、実は自由に振る舞っていないことは多々ある。既存のルール、考え方、周りの環境に影響され、漠然とした将来の不安を抱えながら大きな選択をできずに同じ場所に留まり、視野を狭窄して命を絶つことさえある。

しかし、勇気を出して一歩を踏み出せば新しい世界が見えてくるかもしれない。この世界はあなたに可能性をもたらしている。だが、自分で選択するということはそこに責任が伴うということだ。あなたにその一歩が踏み出せるか。ということをトトリのアトリエは言いたいのかもしれない。多分、そういう意図は100%ないと思う。

防御力の低いメルお姉ちゃん

コメント

  1. うのうんさんのアトリエのレビュー好きです。

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