The Longest Journey – 不朽の名作たりえるか(1)

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科学の発展した世界スタークで暮らす、美大生のエイプリルはある晩、悪夢にうなされた。おとぎ話のような世界で白いドラゴンに出会い、ドラゴンは世界に危機が迫っていることを伝えるのであった。

悪夢から覚めたエイプリルがアパートを出ると、コルテスという男が話しかけてきた。コルテスは夢のことを知っているようだ。真実を知りたいエイプリルは問い詰めようとするが、彼は抽象的な言葉ではぐらかし、要領を得ない。その晩、友人たちと一緒にテレビを見ていると再びあのおとぎ話の世界が現れ、気が付いたらベッドの上だった。

夢が現実に侵食していることを確信したエイプリルはコルテスの元へと向かう。そして、コルテスはあの世界への扉を開ける。そこでエイプリルは科学世界スタークと魔法世界アルカディアの調和が乱れていることを知り、元に戻すためのThe Longest Journey(もっとも長い旅)が始まるのだった。

科学世界スタークと魔法世界アルカディア。この二つの世界の旅が本作のテーマとなっている。序盤は現代世界のスタークでの活動が中心で、ここではエイプリルの交友関係や生活などが細かく描かれ、主人公への理解を深める。会話量は結構多く、たまに選択肢も現れ、選択によって後の展開が若干異なってくる。一度に表示される文章は3行程度だが、ポーズをかけられないようなので集中して読む必要があるだろう。世界観とストーリーを重視しているだけに、会話を読もうとしないとまるで楽しめない。それに話を聞いていないと何をするべきかも分からず、総当たりせざるを得なくなる。

システムは定点カメラのポイント&クリックタイプ。背景はプリレンダの2Dで、キャラのモデルは3Dという形式だ。地面をクリックするとエイプリルがそこに移動する。怪しいポイントにカーソルを合わせるとカーソルが変化したり、文字が表示され、そこをクリックするとエイプリルがリアクションを行う。時にはアイテムを組み合わせて利用する場合もあり、怪しいポイントに正しいアイテムを合わせると点滅して知らせてくれる。ADVゲームとしては非常にオーソドックスなシステムと言っていいだろう。それ以外の目新しい要素は特になく、覚える必要もない。マウスだけでもプレイ可能だ。

調べられるポイントは豊富でエイプリルのリアクションは多彩。可愛らしい反応をするので、ついつい色んなところを調べたくなってしまう。パズルは見落としやすい箇所があり、アイテムもたまに突拍子の無い使い方をするところが見られる。マップを行き来して、アイテムを集め、それを組み合わせてパズルを解決することが多いため、一つ見落とすと総当りで調べ直さなければならず、ADVゲームに慣れていない人は苦労する場面があるかもしれない。

エイプリルは何かしらのヒントをくれるが、どこでそのアイテムが得られるかは自分で捜す必要がある。何気ない背景や小道具も何かしらの理由があってそこにあるはずであり、とりわけADVゲームはその傾向が強い。作者の想いを感じとることがパズルの解決に役立つだろう。

アイテムはたまに突拍子の無い使い方をすると書いたが、その分ユニークに富んでいる。帽子とサルのおもちゃを使った影絵のトリックは思わずニヤリとしてしまった。登場人物たちはそれぞれキャラが立っていて、嫌なやつもいるがなんだか憎めない。

解像度は640×480固定。3Dのキャラモデルはさすがに時代を感じるが、2DのプリレンダCGは独特の味わいがある。当時は最先端の美麗なCGと謳われていたようだが、時代を経てもその輝きは色褪せていない。ゲーム中でコルテスも言っているように、テクニックは必要だが、それらをうまく利用し、何を表現するかが一番大事。最先端だけがウリの魂のこもっていないものは後世に残らない。

と、ここまで書いたのはいいですが、この後の日記はどうするべきか迷っています。システムがオーソドックスでストーリー重視のADVは、ストーリーに言及する他ないわけで。他の物事をむりやり絡めながらコラムのように書いていくべきなのか、それともストーリー展開に対して感想やツッコミを入れていくべきなのか。日記や感想の書き方について模索する必要がありそうです。

コメント

  1. ストーリーは小出しにして頂いた方がありがたいです。
    肝心な所やサプライズ的な所はぼかしていく方式、折衷案(?)という所で。
    私の個人的な意見ですけど。

    電源はSS-660KMにしてみましたが、音はほぼ無音です。
    例えて言えば PCケースの前面ファンがノートPC並み(?)の駆動音といった感じで(何)

  2. 私はUNKさんのレビュースタイルでは、Fort Zombieのプレイレビューのような、手記っぽい独白形式が好きですね

    独白形式ですと肝心な部分を上手くはぐらかしつつ、全体の描写を行うのは最適ですし
    画像を見れば一目瞭然のことも、テキストだけでは判然としないとか、
    あるいはその逆の演出も取れますし、ネタバレのコントロールに長けていると思いますので

  3. 助言、ありがとうございます。
    どうしたらそのゲームに興味を持ってもらえるか、面白さが伝わるか、その人にとって美味しいか不味いか判別できるか、というのを常日頃から考えていまして、こうして色んな意見を頂けるのは有り難い次第です。
     
    >>TECさん
    やはり、ある程度ストーリーは追っていった方が興味を持ちやすいですかね。
     
    >>TiKuWaさん
    ロールプレイ風の独白形式は自由度の高いRPGやSIMでしかやらないようにしているのですが(ストーリーに縛りがないからこそ独自の物語が書けるため)、
    ADVゲームに適用できるかどうかは検討してみます。

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