警察官の主人公が息子から届いたメッセージを追ってアパートを探索していたら死体を発見し、殺人事件を捜査することになるというストーリー。ゲームデザインは前作のLayers of FearにSOMAを足したような感じ。サイコなお化け屋敷的演出が盛り沢山で、そこに迷路のようなパズルにステルスかくれんぼが少し。
序盤は現実世界で死体の証拠を探したり、アパートの住民に聞き込みを行ったりと面白い。イノセンスの冒頭のような雰囲気が高品質に再現されており、サイバーパンク世界を堪能できる。
しかし、死体に電脳通信して、他人の追体験をするあたりから不条理でしつこい演出が延々と続き、不快でストレスが溜まる。不快に感じるような要素、ストレスというのはゲームにも必要だと思う。それだけプレイヤーに訴えかけるものがあったり、ゲームの世界に没入している証拠でもあるからだ。
だが、インディーゲームでよくある不条理な演出が何十分も延々と続くとなると話は別だ。小作品だから許される表現がしつこいくらい繰り返されたらどうだろう?演出のレベルは高いし、一つ一つ凝っているとは思う。だけどずーっと同じ調子でサイコな演出をやられるともういいよと言いたくなってくる。
頭がおかしい演出は正常な状態がきちんと用意されているから映えるのであって、頭がおかしいことがさも普通のようにやられると新鮮味がなくなる。映画のマトリックスの映像はすごいがマトリックス リローデッドのようにすごい映像が二時間もずーっとやられるともうどうでもよくなってくるのと同じだ。PKディックの薬中体験のような演出がうんざりするほど続く。
Layers of Fearが合わなかった人は今回も合わないと思う。Layers of Fearよりもしつこく、ビジュアルはよりサイケデリックなのでさらに人を選ぶ作品になっている。空間や方向感覚を狂わせ、色調は乱れ、あちこちから悲鳴や鳴き声が響き、精神的にクる演出がふんだんに用意されているのでそういうサイコでサイケデリックなものが好きな人ならハマるかもしれない。
感心するところはあるが個人的にはやりすぎで疲れるというのが第一印象。普通の捜査パートが中心で少しだけ電脳追体験の方が良かったかな。ビジュアルの品質は非常に高いので最後までやりたいが疲れるのであんまりやりたくないという気持ちもある。