ケレン味のあるニンジャ演出が特徴的なアクションゲーム。カットシーン中にQTEを取り入れ、一体感の高い演出を生み出している。ニンジャとか、パロディとか、B級映画とか、バカゲーが好きな人なら楽しめるかもしれない一作。
舞台は寄生生物アルファワームの感染が広まっている東京。主人公はアルファワームに対して唯一対抗できるニンジャ組織のケン・オガワ。ケンはカタナやニンジュツ、機銃を駆使しながら寄生生物たちと戦っていくことになる。
客観視点のアクションゲームとなっており、パッと見はNINJA GAIDENシリーズに似ている。しかし、NINJA GAIDENがコア向けな作りになっているのに比べると、NINJA BLADEはライト向けでハードルは低い。NINJA BLADEのコンボは連打していくだけで繋がっていき、攻撃のタイミング判定がゆるい。コンボ数はそれほど多くなく、一つ一つのアクションがもっさりとした印象を受ける。
個人的にイラッと感じたのが雑魚のAI。画面に映ってない敵が攻撃を仕掛けてきて、コンボが中断されてしまうことが多々ある。普通、こういうアクションゲームでは「視点に入ってない敵は攻撃してこない」という仕様になっており、戦闘のテンポを崩さないように配慮されているのだが、NINJA BLADEはそういう気配りがなってない。また、雑魚敵の攻撃モーションが地味で、いつ仕掛けてくるのかが分かりづらく、ガードしにくいのも問題だろう。どの雑魚敵の攻撃も不意打ちのように感じられてしまい、ストレスが溜まる。
ケンは三種類のカタナ(スタンダード・大剣・二刀流)を所持しており、敵に応じて使い分けることになる。コウモリなどの素早い敵は二刀流、盾や甲羅を持っている敵は大剣で対処するのがベターだ。
ストーリーが進行していくと三種類の手裏剣(風・炎・雷)を入手する。風は火を吹き飛ばすのに有効、炎は植物を燃やすのに使用、雷は複数の敵を痺れさせる効果がある。戦闘ではこれらの複数の武器を適所適材で使用していくことが重要になってくる。
ケンにはNinja Visionという能力があり、これを使用すると時間がスローになり、重要な場所や敵の弱点が分かるようになる。パワーはすぐに回復するので迷った時は積極的に使っていくといいだろう。
敵を倒すとBloodを落とす。これを集めて、武器のアップグレードが可能だ。上手に敵を倒した方がたくさんのBloodを落とすので、なるべく華麗にキメたくなるというわけ。
探索要素は少なめでボス戦と演出重視になっている。カットシーン中もQTEのボタン押しを要求されることが異常に多く、次から次へと忙しい展開が目白押しだ。むしろQTEを前面に押し出したような作りといった方が適切かもしれない。カットシーン中もケンと一体となってアクションを楽しんで欲しいということなのだろう。
ボタン押しのタイミングは多少シビアだが、何度かやり直せば必ずクリアできる難易度になっている。失敗すると少し前に巻き戻って、すぐにやり直せるのでストレスもあまり感じない。
カットシーンはド派手でケレン味のあるスピーディーなアクションが満載。いかにも日本的というか、アニメ的というか、外国は真似しないような演出に仕上がっている。基本的にアクションはカッコいいのだが、パロディや馬鹿っぽい要素が含まれており、カッコイイだけでなく面白いのも特徴だ。
たとえばDevil May Cryがキザに馬鹿なことやっているのに対して、こちらはシリアスに馬鹿をやっているという感じ。アゴが外れるような無茶苦茶なアクションが繰り広げられていて、とても楽しい。クレーンの金玉をホームランとか、ミサイルの上に乗ってサーフィンとか、最近のニンジャはこういうことができて当たり前の世界なのか。
私はアクションゲームやFPSにちょこっと挿入されるQTE(あってもなくてもどうでもいい内容のもの)がとても嫌いなのだが、このゲームはQTEを前提した作りになっているので許容できている。はじめてQTEも悪くないなと思えた作品かもしれない。その理由はやり直しが容易でストレスを感じにくいのと、演出が「馬鹿カッコイイ」からだろうか。
それと「ここからQTEシーンですよー(QTE前は必ずケンのアップシーンになる)」と区切りが入っていて、用意に備えられる点も重要だろう。他のゲームではいきなりQTEを求められて、対応できずに失敗ということが多々ある。あとはボタン要求に規則性がある点だ。ジャンプなどの足に関係する時はAボタン、攻撃に関係する時はXボタン、トドメや大攻撃はYボタン、特殊な攻撃はBボタンというように、普段のアクションと関連性があり、ある程度の予測を立てられる。
【雑感】
雑魚戦の駆け引きが単調。一ミッションが三十分~一時間ほどかかり、休みどころがなくて疲れる。などの不満点はあるものの、馬鹿カッコイイニンジャアクションが素敵で楽しめている。