From Dust – 試される想像力(1)

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寮長先生すなわちゴッドとなり、地形をぐりぐりいじったり、神様パワーを駆使して原住民をゴールまで導くパズルゲーム。目的はあくまでゴールの到達だが、目的を無視して砂場プレイも可能になっている。

ゲームが始まるとマップ上に数人の原住民がいる。まずはこの方たちを最寄りのトーテムまで誘導させなければならない。トーテムをクリックすると原住民はそこへ向かって自動で向かう。RTSのような細かい操作や命令はできないようになっている。原住民がトーテムに集合するとそこは村へと発展し、人数が増える。そして、また次のトーテムへと向かわせ、村を増やし、マップ上のすべてのトーテムを村へと発展させればゴールが現れ、そこへ到達するとクリアとなる。

しかしながら、トーテムやゴールへの道は険しく、大きな山や川に遮られていることがしょっちゅうだ。原住民は立ち往生すると頭上にマークが現れるので、適時助けてあげなければならない。そのため神様であるプレイヤーは土や砂をモリモリと掘ったり、グリグリと穴を埋めたり、水を汲み上げたりしながら原住民が通れるように道を舗装する必要がある。操作はCryエディターやスカルプトモデリングのフィーリングに近く、直感的にプレイ可能。左クリックで掘り、右クリックで埋めるという簡単操作になっている。

トーテムの中には神様パワーを使えるようになるものがあって、水をゼリー状に変えたり、乾燥させて水を干上せたり、掘る量を増幅させたりなど様々なパワーが用意されている。しかし、神様パワーは一定時間しか使えず、リチャージには数十秒かかる。このパワーを駆使しなければクリアが難しい場面もあるので積極的に活用していくといいだろう。

砂で橋を作ったとしても川の勢いで徐々に輪郭が削られていったり、溜池を作ろうとしても少しの水だけでは地面に一瞬で吸収されたり、地形や水の作用は今までのゲームに比べてなかなか本格的な作りで砂場遊びが楽しい。

マップは動ける範囲が決まっていて狭い。ちなみにストーリーモードは全13マップ、その他にチャレンジモードというのが用意されているようだ。基本的に似たような作業の繰り返しになるが、シチュエーションが毎回異なり、解決方法も違うので単調さは感じにくい。

クリアに時間制限はなく、原住民が溺れ死んだり、村が山火事で潰れたりして、全滅しない限りはゲームオーバーになることはない。急いでクリアする必要はないし、クリアそっちのけで砂場遊びに没頭しても問題ない。むしろ、神々のいたずら的なプレイを推奨している節すら感じる。シムシティやポピュラス、レミングスなどに比べると、そうとうゆる~い。まんべくん並にゆるいプレイ感覚だ。

クリア自体は楽勝なので、それ以外の別の楽しみを見い出せる人にこそ本作は向いているのかもしれない。原住民の一人に気持ちを投影させ、次々と巻き起こる天変地異や超常現象に翻弄される人生を噛み締めたり、現実でも神様的な存在がいたずらで地震やツナミを起こしているんじゃなかろうかと夢想したり、意地悪な神様になって原住民を死なない程度に虐めてみたり、人間の行動って環境で100%決まるんじゃねと哲学してみたり、そういう妄想で楽しむのも本作の醍醐味の一つなのかも……しれない?


「わー。波に飲まれたー。タナカさん、もうダメっす。俺もうダメっす」
「生きろ。諦めんなや。マイコちゃんのお腹の中にはお前の子がいるんやでー」

「おーい。でかいのがきたゾー」
「海の舞をおどれ。太鼓をたたけ。神様にいのるんじゃ」

「のどかわいたー。おなかへったー。もう歩けないっす。むりっすよ。村に戻りましょう」
「いや、こっちにトーテムさまがあった。まちがいない。成果上げずに村に戻れるワケないやろ」
「そんなこと言ってワタナベさん。もう飲まず食わずで3日っすよ。なんかいきなり走りだして、ホイホイ付いていったらこのありさま。どうしてくれるんすか」

「旦那さんが旅に出てから、はや3日。心配ですね、奥さん。いつになったら戻られるのやら」
「あの人は旅に出る前、深刻な顔をしてました。この村では肩身のせまいおもいをしていましたから。神様にいのるほかありません」

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