ボーレタリア王城で自信を喪失した私はストーンファング坑道を攻略することに決めた。嫌なことを先送りしているような感じだが、実際そうなのだから否定はしない。生きていれば苦難が訪れることが幾度もある。そういう場合、何度も挑戦するのも大事だが、時には諦めが新たな解決を生むこともある・・・のだと思いたい。そう言い聞かせたい。挫折を味わうことで人間はまたひとつ成長するのだと。
ストーンファング坑道は夕日に照らされた美しい場所だ。こんな時ではなければゆっくり風景を楽しめたことだろう。通路を上がっていくと、さっそく敵と遭遇した。いや、敵というよりも岩石に遭遇したと言った方がいいかもしれない。上から何者かが巨大な岩石をガンガン放り投げている。これも冒険者を阻む罠なのか。それとも劣悪な待遇に嫌気が差した採掘者の暴力的な抗議活動なのか。真相は定かではないが、とりあえずあそこを通り抜けなければ先へと進めない。慎重にタイミングを見計らい、塔の中へと飛び込んだ。
坑道内には作業者が未だに採掘を続けていた。デーモンに支配されてもなお奴隷のように扱われる。なんとも悲惨な末路だ。ここは私が息の根を止めてやるしかない。背後からそっと近付き、槍を突き刺す。槍の強烈な一撃で作業者は息絶えた。
さらに奥へと進むと道化師のようなおかしな格好をした男に出会う。恰幅が良くて、手にムチを持っていることから、作業者たちをこき使う管理者ではないだろうか。彼はこちらの姿を発見すると不気味な笑い声を上げながら、火の魔法を繰り出した。盾でとっさに防いだから良かったものの、まともにくらっていたら致命傷では済まないだろう。
ひとまず物陰に隠れ、隙を窺う。魔法を放った瞬間を狙い、連撃する。しかし、彼は怯まずに反撃を繰り出してくる。強烈な一撃をくらい、大きなダメージを負ってしまう。深追いは厳禁、ヒット&アウェイが有効といったところか。今度は欲張らずに一回攻撃しては回避という戦法でカタをつけた。非常に頑丈だし、見た目も不気味であまり相手にしたくない敵だ。
紅蓮のようなトカゲが壁に張り付いているのを発見し、思わずその美しさに魅了される。よく見てみようと近付いてみたら、トカゲが状況を察知し、襲いかかってきた。思ったより機敏ではないが、体に炎をまとっているため、こちらに燃え移る危険性がある。槍のリーチを活かして、ギリギリの距離から突いて、片付けた。それにしても見事な美しさだった。
さらに坑道を進んでいくと、トンネルの向こうから火の玉が飛んでくる。とっさに回避したが、すぐさま次の火の玉が飛んできて被弾。トンネルに隠れる場所はなく、来た場所は魔力によって阻まれ、もはや進むしか道はない。火の玉を間一髪で避け、トンネルの奥を目指す。そこには巨大な蜘蛛が待ち構えていた。こいつが火の玉の正体だろう。蜘蛛の巣を張っている張本人が巣を燃やしかねない炎を扱っているのには違和感を覚えざるを得ないが、きっと坑道に長年住み続けてデーモンの力を得た結果、炎に耐える蜘蛛の糸を作り出せる特異体質に変化したのだと解釈したい。
蜘蛛の近くまで行くと火の玉連射は終わったが、今度は長い脚を利用した薙ぎ払いと巨躯による押しつぶし、そして炎の息を吐きかける。炎の息は盾で少しなら防げるものの、時間が長いため、その間にスタミナが切れ、少しだけ体が炎で焼かれる。いまのところこれしか効率的な防ぎようが考えつかなかったため、薬草のゴリ押しで乗り切るしかない。
蜘蛛は押しつぶし攻撃をした後に少し隙を見せるので、そこを槍で突き刺す。ほんの少しだけダメージは与えているようだ。しかし、これは長期戦に陥らざるを得ない。手持ちの薬草が残り少なくなってきた時、ようやく決着が着いた。槍の攻撃力が心もとないせいで持久戦になってしまったが、物量ゴリ押し作戦が見事に効いた。そして、蜘蛛の強力なソウルを吸収し、再び肉体を取り戻した。この肉体とはどれだけお付き合いできるだろうか。ダンジョンに出かけて5分で肉体喪失。この世界ではそんなタチの悪いジョークのような出来事が頻繁に繰り返される。
ストーンファング坑道は難易度が低めで初心者向けのダンジョン。ここでは記載していませんが、道中で数回死んだものの、タカアシ鎧蜘蛛は初見で倒すことができ、ものすごい快感を味わいました。デモンズは「俺TUEEE!」じゃなくて、「こんな難関をクリアできる俺SUGEEE!」感を味わえるゲームです。何度も苦労して困難を克服していくのも楽しいですが、一発で強敵をねじ伏せれると大変爽快ですね。ちなみに重量はステータス依存で、頑強を上げれば保管庫のごとくアイテムを持ち運べるため、制限はそれほど厳しくなく、RPG的な物量作戦も可能です。ただし、序盤のアイテム調達は苦労するかもしれません。