Dark Souls – 虚無からの脱却(1)

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なぜここにいるのだろう。なんのためにここに来たのだろう。いつからここにいるのだろう。鍵の掛かった薄暗い牢屋の中で私は自問自答を繰り返す。なにかを見つけに来た気もする。なにかを追って来た気もする。そして、牢屋に閉じ込められた気もする。しかし、もはやすべてがどうでもいい。私に残された手段はこの地獄が終わるのをひたすら待つのみ。目を瞑り、再び忘却へと身を委ねる。

すぐそばで鈍い衝撃音が聞こえ、床が微かに振動する。私は急に忘却から引き戻され、目を開く。目の前には見知らぬミイラが横たわっていた。

天井を見上げると四角い穴が開いており、そこから騎士が覗き込んでいた。彼がこのミイラを落とした張本人だろうか。そして、騎士はなにも言わず、その場を立ち去った。四角い穴から見えるのは憂鬱な曇空。黒い雲に覆われ、ぼんやりとした色の空はまるで今の私の気分のようだ。

好奇心に駆られた私は重い腰を上げる。久しぶりに立ったせいで足取りが危うい。思わず転けそうになるが踏みとどまった。最後に歩いたのはいつになるだろうか。

ミイラに近寄り、体をまさぐると古びた鍵を見つけた。もしかしてこれは牢屋の鍵ではないだろうか。僅かな希望を胸に鍵穴へと差し込む。鍵穴がカチリと音を立て、錆びついた扉が軋みながら開いた。目の前には廊下が続き、松明の僅かな明かりが周囲をぼんやりと照らしている。どうせここで朽ち果てるのも、外で命を落とすのも一緒だ。牢屋に落ちていた折れた剣を拾い上げ、まだ見ぬ外の世界を想像しながら、廊下へと足を踏み出した。

暗闇から亡者が現れる。亡者は虚空に向かって祈りを捧げていた。その場を通りすぎようとすると亡者は突然襲いかかってきた。とっさに横っ飛びで避け、右手に握りしめた剣で亡者へと斬りかかる。なにも見に着けていない亡者はその攻撃をモロに受け、生き絶えた。思わぬ不意打ちに戸惑いを隠せない。この世界では情け容赦は無用ということか。

廊下を進むと右手の方から鈍い音が断続的に聞こえてくる。思わずその方向に目をやると、そこには醜い巨体の怪物がいた。やつがここの主だろうか。幸いにも怪物はまだこちらに気が付いていないようだ。私はなるべく足音を立てないようにしながら廊下を進む。

真っ暗の廊下を進んでいくと、下水道のような場所へと出た。奥には上の階へと続く梯子が設置されている。汚濁した水に浸かり、梯子へと歩を進める。

梯子を登った先には篝火(かがりび)が用意されていた。ここがこの建物の休憩所だったのかもしれない。地面に突き刺さった剣に向かって手を広げると、剣の周囲に炎が帯びる。久しぶりの篝火の炎を浴び、私の身体は活気で満たされていく。ここで下水で濡れた体も乾かすとしよう。

篝火の先には巨大な扉がある。これが外へと通じる扉だったらいいのに。だが、もし扉の奥に危険が広がっていたらどうしよう。心に希望と不安が入り交じる。しかし、悩んでいてはなにも解決しない。私は心を決め、巨大な扉に両手をかけた。

巨大な扉の先は空っぽの建物。なにもないことに安心しながらも、肩透かしを感じ、複雑な気分だ。建物の奥にはまた扉がある。私はその扉へと歩き出した。

突如、目の前にあの怪物が現れた。先程は暗くてよく分からなかったが、凶暴そうな見た目やその大きさに全身が震える。怪物はゴツゴツした巨大な鈍器を握りしめ、一歩一歩と歩み寄ってきた。あれで殴られたら一溜りもなさそうだ。

ふと背後の扉のことを思い出し、振り返ったものの、扉は閉ざされていた。これも怪物の力なのか。それならば応戦するしかない。怪物へと近付き、攻撃を誘う。案の定、怪物は鈍器を振り上げようとする。私は後ろへと飛び退き、攻撃に備える。目の前で鈍器が振り下ろされた。その横を通り、一気に怪物へと接近し、折れた剣で斬りかかる。

しかし、硬い鱗で覆われた怪物の身体には攻撃が通用していない。怪物は何事も無かったかのように反撃を仕掛けてくる。やはりこの剣では無理があったようだ。鈍器の一撃を横っ飛びでかろうじて避け、再び距離を取った。これでは為す術がない。

なにか方法が無いものかと周囲を見渡すと、左側に抜け道を発見。しかも、門は開いたままだ。怪物と間合いを取りながら抜け道へと近付き、そこへ飛び込んだ。すると門が勝手に閉じる。これなら怪物はやってこれない。

その先には篝火が用意されていた。私は再び篝火に火を灯す。これからもこんな旅が続くのだろうか。想像すると気が遠くなる。その反面、好奇心をそそられているのもまた事実だ。


ダークソウル物語ハジマタ/(^o^)\。ダークソウルは簡単に言えば、一度は都会へ憧れ、田舎から上京したものの数ヶ月で夢破れ、実家で自堕落的な生活を送っていた引き篭もりニートの主人公がふと気が付いたら両親がお亡くなりになっていて、家が廃墟と化し、自分で稼ぐしかない状態に陥り、仕方なく外へ出ると絶望やら狂気にもみくちゃにされるが、その中でアイデンティティや愛や希望を掴みとっていくという物語です。今回、記述したのは序盤の中でも序盤であり、プレイすればすぐ終わる場面です。無駄に記述しすぎました。今回もネタバレ気味になると思うので、未プレイの方は注意して下さい。

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