Kane & Lynch 2 :: Dog Days – フェイクドキュメンタリー風B級上海ノワール(クリア)

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セールで5ドルで売られていたので購入。3時間弱でシングルをクリアした。せっかくなので少しだけ感想を書いておく。

物語は上海で裏稼業を営んでいるリンチがケインに協力を仰ぐところから始まり、ゴタゴタに巻き込まれて、上海マフィアや警察に狙われる身になってしまうというもの。場当たり的なシーンが多く、ドラマティックなシーンは前作と比べて少ない。

舞台は上海のみ。裏路地や繁華街など、猥雑で低俗的な中国の雰囲気を見事に再現している。看板や細かなオブジェクトの造り込みまで素晴らしい。ガイジンのステロタイプな思い込みで作ったような感じではなく、みっちりロケハンしたような真実味がある。

これは個人的ではあるが、Ghost in the Shellやイノセンス、ジョン・ウー映画(香港ノワール)を彷彿とさせるシチュエーションが多数見られ、それらのファンである私は魅了されてしまった。安くて、泥臭くて、いかがわしい中国の再現度はこれまでのゲームの中でも随一であると思う。

さらにそのいかがわしい雰囲気を高めるのが低画質動画風のエフェクト。カメラの動きは基本的にブレていて、人間がビデオカメラで撮影したような表現になっている。リンチが走るとさらにブレが激しくなり、画面全体のディティールが潰れてボヤけ、臨場感を高める。カメラの揺れはオプションでオフにすることもできる。強い光がある場所ではスミア(光の筋)やハレーションが発生し、まさに素人撮影風の映像に仕上がっている。

これらの演出によりフェイクドキュメンタリーやPOVのような真実味を与え、動画投稿サイトでいかがわしい動画を見ているような気分を味わわせてくれる。ストーリー展開が場当たり的なのも、それを意図してのことだろう。

マフィアや警察以外にも一般市民も登場するが数が少ないのが残念だった。フィルムノワールを意識してか、ほとんど夜であり、警察が封鎖網を敷いていることが多いので一般市民の数が少ないのは理解できるものの、Hitman:Blood Moneyや前作では大量のNPCが入り乱れるシーンがあり、人ごみの喧騒とした雰囲気をうまく演出していた為、今回もそういうシーンがあれば中国ぽさをより高められたのではないかと思う。

今回の主役はリンチ。ケインは相棒として付いてくるが、指示は出せない。前作のFreedom Fightersを簡略化したような部隊指揮要素は無くなり、ラン&ガンスタイルのカバーシューターに変わっている。

追跡シーンやヘリでの戦闘、NPCを防衛するミッションが少し用意されているが、大半はドンパチが占めており、延々と同じような銃撃戦が続き、単調な感は否めない。

前作のカバーは壁に近寄ると勝手に発動する形式だったが、今回はCキーを押すことでカバーするようになった為、誤作動しない。Xキーを押すと武器の持ち方を変えることができ、カバーをしなくても左持ちで構えて銃撃戦ができるのは便利だ。

敵に弾が命中するとその箇所にバツ印が付き、ヒット感がある。ショットガンは複数ヒットしているのが分かり、爽快感に繋がっている。敵をヘッドショットすると頭にモザイク処理が入る。単純にグロテスクな表現をするよりもよっぽどインパクトがあり、嫌な想像力が働いて余計に残虐に感じさせる。

瀕死になると尻餅をついた状態になり、それからさらにダメージを受けると死亡となる。尻餅をついた状態で銃撃をしたり、そのまま足を引きずりながら移動することも可能となっているので、まずは周りの敵を片付けてから遮蔽物へと移動し、立ち上がるのが無難だ。地べたを這って戦う姿は、生に対して貪欲なリンチの生き様を現していて、頑張り次第で再起可能なシステムが銃撃戦の駆け引き性を高めている。

シューティング自体には面白さは得られなかったが(私がシューティングゲームに飽きているというのもある)、映像表現がユニークで上海の再現度が高く、その雰囲気に呑まれて最後までプレイしてしまった。5ドル分の価値は十分あった。香港ノワール映画やシロマサ原作の押井映画が好きな人は楽しめると思う。

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