The Void – 無より生まれて無に帰す(1)

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死亡した主人公の魂はThe Voidへと迷い込んだ。ここには数人の美しいシスターとそれを監視するブラザーが存在し、主人公がThe Voidから抜け出すにはシスターの協力が必要。主人公は敵と闘いながらシスターと親交を深め、The Voidからの脱出を目指す。幻想的な世界観と刺激的な体験満載の主観視点ADV。

物語は名無しのシスターのChamberで主人公が目覚めるところから始まる。The Voidには鉱山や庭園などのChamberがあり、他のシスターや番人のKeeper(ブラザー)、Lymphaという物質が存在する。基本はThe Voidで主人公の駒を動かして、各Chamberに入る仕組み。The Voidにいる間は常にサイクル(時間)が経過していく。Ctrlでカラーパレットを開くと一時停止状態になる。

Lymphaとは7つのColorの総称で、あらゆる力の根源となるものであり、何をするにも必須となる。主人公はColorがないとThe Voidで生きられないし、魔法を使うのにも必要。ゲーム的にいうとヘルスやマナ、ステータスやお金にあたるものだ。

主人公の体には心臓の器があり、ここにLympha(Color)を入れることで生きていられるが、心臓がカラになると魂は消滅してしまう。The Void(全体マップ)にいる間は体内のLymphaがNerve(神経)へと変換されていくため、常に残量を考えながら行動しなければならない。

Nerveへと変換されたColorはGripf(魔法)や敵への攻撃、シスターのプレゼントとして使用できる。ゲームが進むごとに体内の器(肩・脚)が増えていき、効率的にNerveへ変換できるようになるが、心臓以外の器はカラッぽでも生きていられるので、Lymphaを温存したい時は心臓だけにいれておき、Nerveが必要な時は他の器にも入れて大量変換、などの工夫が必要。

Lymphaは鉱山や庭園のChamberに生えていたり、埋まっている。すべて採取しても一定時間すると、また生えてくる。また、枯れ木にNerve(Color)を塗って、しばらくするとその木にLympha(Color)が実る。

ただし、大抵のChamberにはPredatorというクリーチャーが徘徊しており、主人公の邪魔をする。PredatorはNerveで倒せるが、倒してもなにも得られないので無視できるようなら無視した方がいい。

シスターには二種類の好きなColorがあり、それ以外のColorは受け付けない。シスターにColorをプレゼントして親交を深めるとColorの保存量が増加し、他のChamberへアクセスできるようになり、シスターの体の周りを覆っている霧というかジェリコの壁が消えていく。乳首のポッチをポリゴンで突起させているゲームは初めて見たような気がする。

シスターと仲良くなるといいことづくめなので、ついつい無け無しのColorをプレゼントしたくなってしまうが、調子に乗って使い込むと敵と戦えないし、枯れ木に花も咲かせられなくなる。どこぞのローンのごとく、計画的なご利用が重要だ。

しかし、シスターと親密になりすぎるとブラザーが「うちのかわいい妹になにしてケツかんどんねん!」と怒り、主人公を襲うようだ。ブラザーはどいつもこいつも禍々しい強烈なデザイン。クーロンズゲートの妄人やサイレントヒルのクリーチャー、鉄男なんかに胸キュンするような人なら楽しめること請け合いだ。

既存のゲーム的なテンプレートとは異なった独特の用語や概念が出てくる為、とっつきにくさはあるが、ほとんどの事柄がColorすべてに集約されているのでシステム自体は一見難解そうに見えて難しくはない。音声とビデオによるチュートリアルも用意されており、名無しのシスターが適時ヒントをくれるので前作のPathologicよりも分かりやすくなっている。

Lymphaの管理はなかなかシビア。序盤に尽きてゲームオーバーを二度味わった。昨今の生ぬるい風潮とは違い、リトライを必要とする難易度に調整されており、挑戦的な作りにやる気が沸く。なによりThe Voidの奇妙な世界観が素敵だ。Chamber毎に異なるBGMも印象的である。

ロシアのFPSのプレイ感は、地に足がついていないとか、ジャンプがふわふわするような感じがあり、このゲームもその傾向が否めないが、このゲームに関して言えばその違和感が主人公が人間ではない何かという感じを与え、作風とプレイ感がマッチしているように思う。マップの作りは一つ一つ見応えがあるし、Real Mystなんかが好きだった人にも合うんじゃないだろうか。

コメント

  1. 敢えて公式サイトの難易度低下パッチを使わないプレイをオススメします。
    慣れると案外簡単ですし。

  2. パッチは使わずにプレイしています。
    シスターにカラーを大量プレゼントしたところで竹馬男に襲われ、なす術もなくやられてしまい、少し前のセーブからやり直すハメになりました。
    細かくセーブしといた方がよさそうですね。

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