Doom IIのMODにBrutal Wolfenstein 3Dというのがあったが本作はその方向性に近い。Wolfenstein 3Dの問題点をつぶし、遊びやすく、快楽性を高めたFPSに仕上がっている。
工夫が凝らされたレベルデザイン
垂直方向の移動はなく、移動は平面方向だけ。上下を見ることはできないし、マップの構造は平べったい作りになっている。
キーを探し、扉を開けていく繰り返しになるが敵の配置や組み合わせが考えられており、テキトーに配置した感が少ない。一つのマップが長すぎず、5分以下で終わる。マップの雰囲気はレベル毎に変化がある。昔のFPSにありがちな「同じ風景を行ったり来たり」が少なく、飽きさせない作りだ。
各レベルにはシークレットがいくつか用意されている。壁に分かりやすい模様が描かれているところもあれば何の変哲もないところもあったりする。Doomのシークレットのごとく、壁に向かってスペースキー(インタラクトキー)を連打する作業を強いられる。昔風のFPSでありながら遊びやすいというのが本作の特徴なのだがシークレット探しに関しては意地悪。
ゴール地点の近くに行くと勝手にゴールとなり、次のレベルに進んでしまうのは頂けない。シークレットを探し終わっていないのに誤ってゴールしてしまうことがあり、不親切だ。なぜここは昔風にしなかった?(スイッチを押したらゴール方式)
快楽性の高い戦闘
武器の種類が多く、アップグレードも含めると数十種類に及ぶ。どの武器も連射が効き、威力も強めで爽快感が高い。
敵の攻撃は目視で回避できるのが大半で、即着弾の攻撃をしてくるものは少ない。こういうところからも「わかっている感」が伝わってくる。
敵は被弾すると怯んで攻撃をキャンセルしたり、ノックバックしたりと基本的な部分がしっかりと作られており、爽快感につながっている。敵のアニメーションパターンも細かく丁寧。 敵の種類もエピソード毎に一変し、数が多い。この部分は90年代前半のFPSとは比べ物にならないほどよくできている。
各レベルの最後にはボス戦が用意されているが攻撃方法が地味で周りの雑魚の方が厄介。ボスとやりあっている感が少なく、盛り上がらないのが惜しい。
レトロ風FPSの中では上位クラス
昨今、レトロ風やオールドスクール風と謳ったFPSがインディーゲームメーカーからよくリリースされている。しかし、完成度はいまいちなものが多い。本作は敵の配置方法や攻撃方法など、FPSの基礎がしっかりできており、戦闘が楽しい。レトロなFPSの良い部分をうまく吸い上げて煮詰めた内容と言っていい。戦闘狂にオススメできるFPSだ。