Vampire: the Masquerade – Bloodlines – ワルプルギスの夜を往く(1)

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TRPG「Vampire:The Masquerade」をベースにしたアクションRPG。主人公は行きずりの異性によってヴァンパイアにされてしまい、闇の世界で生活せざるを得なくなり、やがて氏族による勢力争いに巻き込まれていく。自由度の高いキャラクター育成システムとヴァンパイアの生活を体験できるフリーローミング系の世界が特徴となっている。

プレイヤーキャラのステータスは自由に設定できる。クランは7つ用意されており、それぞれ得意分野が異なり、腕っ節の強いものや魔術が得意なものなどに分かれ、ゲームプレイに大きな影響を及ぼす。アトリビュート、スキルなどを合わせると25項目にも及び、どのスキルを重視していくかでプレイスタイルも異なってくる。なんでもかんでも戦闘でゴリ押してもいいし、あるいは交渉でなるべく争いを回避することも可能。組み合わせによるバリエーションは膨大でリプレイ性は期待できそうだ。

クエストをクリアすると経験値を獲得し、それでスキルを上げることができる。D&Dとは違い、初期値で失敗したとしても後から取り返しがつくようになっている。単に敵を倒すだけでは経験値が入らない為、マンチキンな人はサブクエストも隅から隅までクリアしていくことになるだろう。苦労に対してちゃんとした見返りが用意されていて、ミッション重視型のRPGとしては理想的なバランスかもしれない。

クエストはヴァンパイアのテーマに沿いつつ、バラエティーに富んだ内容になっている。ハンター追跡や仲の悪い姉妹のクエストは展開が二転三転し、意表をつかれた。中でも廃ホテルのお化け屋敷演出はDoom3やFEAR並に凝っていて、怖いもの見たさの好奇心をくすぐられた。新聞記事を使いながら廃墟になったいきさつを語るストーリーテリングは見事だ。

お化け屋敷演出はリアルタイムで体験していなかったのが悔やまれる。演出ゲーはグラフィックが命であり、外見が前時代的になってしまうと魅力が半減する。Source Engineを採用しているといってもグラフィックはHalf Life 2と比べると見劣りし、ところどころアマチュアっぽい部分も見られ、そもそもの質も高いというわけでもない。

見た目で褒められるところは顔の表情、おっぱいやスカートの動きだろう。ダイアログが多いゲームなだけに顔の表情が凝っていることによって会話がさらに楽しいものになっており、おっぱいがたゆんたゆんしていたり、スカートがヒラヒラしていると目の保養になる。

ゲーム進行はフリーローミングタイプで、メインクエストをクリアしていくと移動できるエリアが増えていく。フリーローミングといってもGTA 3のような広大なフィールドが舞台ではなく、Deus Ex: Invisible Warのようなこじんまりとしたロケーションの集合体に近い。ゲームに登場する建物は入出可能なものが多く、広さよりも密度を重視している。

マップ内にはいくつかの仕掛けが用意されており、ブレーカーを落として敵を誘い出したり、柵を壊してそこを通り抜けるなど、戦闘やスニーク以外の解決方法がある。解錠やハッキングを駆使すれば、さらに有利に立ち振るまえる。戦闘以外のスキルも重要であり、スキルのバランスは割とうまくいっている。

街では多数のNPCが存在するが、主人公のために存在しているような感じで生活味に乏しい。プレイヤーが手を出さない限り、イベントなどを除いて、NPC同士が勝手に争ったりはしない。

景色はずっと夜のままで朝は訪れない。ワールドオブダークネスでノワールなのはVampire: the Masqueradeの作風なのでいいとして、暗くて見づらいのが気になった。懐中電灯やナイトビジョンなどもなく、暗すぎて進行方向がわからなくなることがある。また、どこが明るくてどこが暗いのかの外見的な線引きが曖昧だが、明度をゲージと数字で表すことにより、ちゃんとスニークが狙えるようになっている。

ヴァンパイアにとっての血はマナのようなもので、血を消費することで魔法が使える。魔法は一時的な能力上昇、攻撃魔法、混乱、状態異常など、強力なものが多く、活路を切り開くキーアイテムとなっている。その代わり、血は有限であり、一度に乱発はできない。血が少なくなると暴走して、人間を見境なく襲ってしまう可能性がある。血を補給するには輸血パックを使うか、あるいは生物から吸血するしかない。

しかしながら、罪もない一般市民を見境なく吸血したり、ヴァンパイアであることが世間に知れ渡るのはご法度。この世界のヴァンパイアは人間社会に溶けこみ、共存を目指す、規律正しい種族だ。主人公にはヒューマニティーとマスカレードのステータスがあり、外道的な行為を行うと値が下がっていく。仮面舞踏会の掟から外れたものにはキツイペナルティーが待っているようだ。

血の安全な補給方法は下水道でネズミを捕まえたり、暗闇で浮浪者を襲うこと。特に下水道は誰にもバレることはないので気軽に吸血できる。一度にネズミから吸血できる量は少ないが、ネズミ算のごとくたくさん沸くので数には困らない。

視点はFPS/TPSに切り替え可能。近接戦闘時は強制的にTPSとなる。アクションゲームとしての出来は安っぽい仕上がりで当たり判定や攻撃の感触もイマイチ。ガチンコのFPS/TPSに比べると厳しい。あくまでこれはRPGという前提でプレイするべきだろう。スキルによってダメージや命中率が変わるので主観/客観視点のRPGとしてプレイするのが無難だ。

ヴァンパイアを題材にしたゲームはLegacy of Kain、From Dusk Till Dawn、BloodRayneなどがあるが、ヴァンパイアの生活まで密着したゲームとなると意外に少ない。闇の眷属になりきってロールプレイしたい人やオーソドックスなファンタジーRPGに飽きている人にはうってつけのゲームと言えるのではないだろうか。ヴァンパイアの闇社会を題材にしたアングラな臭いはこのゲームの大きな特徴だ。

コメント

  1. これは僕も楽しんでプレーしましたが、後半はダイアログを読解するのが面倒で飛ばし読みしました。
    例の姉妹のミッションですが、最終的にどっちになりました?
    僕は妹のほうにばっかり贔屓していたので、そうなりましたが、やっぱり姉にそうすると、最後もそうなるんですかね?
    吸血は最初は浮浪者とねずみ(苦そうw)で苦労しましたが、交渉能力や見てくれを上げると異性から合法的に吸い上げれます。
    それで事足りたので、立ちんぼしている娼婦の存在意義がわからなかったのですが、これって金を渡して暗闇で吸い上げるのでしょうかね。

    ちなみにUnkさん、どのクランでいきました?
    僕は敵を混乱させる魔法を使える奴で、シューティングスキルを最大まで上げて銃火器で戦いましたが、
    おっしゃるとおり、爽快感も集弾性もイマイチなので接近戦でなぎ倒していくプレーが効率はいいかもしれません。

  2. 姉が依頼者でしたし、姉の言う通りに従いましたが、次に妹から絵画ぶっこわしのクエストをもらったのでそれを達成しました。
    最後の交渉戦では妹の言い分が正しく感じたので妹側に付いてしまいました。
    しかし、あの姉妹の正体にはまんまと騙されました。恥ずかしながらまったく気付かなかったです。
    そんなわけで18禁な展開にはならなかったですね。
     
    クランは画像のとおり、Gangrelで行きました。本当はメガネのお姉ちゃんがよかったのですが、彼女は知性重視だったので諦め。
    Gangrelは腕力重視な上に相当タフで、いまのところ正面から殴りあいした方が手っ取り早いですね。
    一応、スニークできるところはスニークしていますけど、正直言って時間の無駄に近いです。
    Firearmを3まで上げましたがまったく使っていません。リボルバーやショットガンは使い物になりませんし、初めはMeleeを上げた方が良かったかなと後悔しています。

  3. いや驚き、Unkさんも最後はジャネットでしたか…
    僕もラストの舌戦で妹側についたので、ああいう形に終わりましたが、多分姉側につくと、変わるのでしょうね。
    正体は僕もわからない…というか、あの部屋のでかい絵画に双子の姉妹があるので普通は騙されるかとw
    ちなみに18禁的展開は後からできますよ。
    自宅のPCを確認すると彼女からメールが来ているので、その後に行けばOK。

    銃火器で進めるなら、最優先Firearmはマックスまで上げて下さい。
    それでもリボルバーやショットガンは、銃自体が欠陥品で使い物になりません。
    SMGとオートマチックピストルから何とか接近戦に使える武器になります。
    殴り合いは雑魚敵には有効でしたが、後半はどうなんだろう…

  4. Gangrelはproteanを最大まで上げると、狼男に変身可能で、fortitudeとの組み合わせで戦えば、
    接近戦ではほぼ敵なしの状態になれます。
    ただprotean状態では、素手による戦闘のみになりますので、meleeではなくbrawlを上げたほうが良いですよ。

    銃火器については、序盤は使えない代物ばかりですが、hollywoodあたりから強力な物(uzi,spas15,colt anaconda)が増えます。また、後半の一部ボス戦では、物理的に接近戦がほぼ不可能な固体が存在するので、firearmはそこそこ上げておいた方が吉です。

  5. arcanumやTOEEのtroika gamesのゲームですか
    興味あるんですが敵を倒してもEXP無しというのはS.T.A.L.K.E.Rやprecursorのようにitemの入手とかはアリなんでしょうか
    それともmass effect2のような感じで何も無しですか?

  6. >>Z.O.Eさん
    見た目は姉がドンピシャなんですけど(眼鏡付けてますし)、性格に難があるのはちょっと・・・。
     
    >>nameless oneさん
    なるほど。頃合いを見てFirearmも上げておきます。
     
    >>nosferatuさん
    敵を倒すと装備していた武器を落とします。死体はすぐに消えますし、ルートもできません。
    同じ武器は一つしか所持できず、敵がナイフを落としてもすでにナイフを持っていた場合は拾うことはできません。銃の場合は弾薬が増えます。
    STALKERみたいに武器を一杯集めて、それを売って、お金儲けするようなことはできませんし、そもそも購入できるアイテムの種類はそれほど多くありません。

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