虚偽報道をしていることを開き直るNHK

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インボイス制度の中止を求める税理士の会がNHKの消費税の報道に対して公開質問状を送った回答が来たそうです。要約するとNHKは間違った説の方が消費税の解説がしやすかったので間違った説を採用したとのこと。自分たちにとって勝手が良いからと言って事実を無視し、フェイクニュースを報道して人を騙す。こんな報道機関があっていいんでしょうか。

直接税と間接税の定義、課税対象者と納税者が同一なのが直接税、課税対象者と納税者が異なるのが間接税です。間接税には特別徴収義務者が定められ、課税対象者から税金を預かり、代わりに納税することになります。

消費税は事業者に対して課税され、事業者に納税義務がある為、直接税となります。消費税法には消費者や特別徴収義務者の文言は記載されていません。

・定義
直接税 課税対象者と納税者が同一
間接税 課税対象者と納税者が異なる

消費税 事業者に課し、事業者が納税
入湯税 入湯客に課し、経営者が納税
宿泊税 宿泊者に課し、経営者が納税
ゴルフ利用税 利用者に課し、経営者が納税

・消費税法
第四条 国内において事業者が行つた資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三項において同じ。)及び特定仕入れ(事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等をいう。以下この章において同じ。)には、この法律により、消費税を課する
第五条 事業者は、国内において行つた課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三十条第二項及び第三十二条を除き、以下同じ。)及び特定課税仕入れ(課税仕入れのうち特定仕入れに該当するものをいう。以下同じ。)につき、この法律により、消費税を納める義務がある

公開質問状

2023(令和5)年9月21日
日本放送協会 
会長 稲葉延雄 殿
解説委員 岸正浩 殿

インボイス制度の中止を求める税理士の会
インボイス制度に反対する司法書士の有志の会

御社インボイス制度10月スタート どんな制度?課題と対応策は NHK解説委員室(以下「上記サイト」とする)において、正確性を欠く解説がされている。
 消費税とは、基準期間の課税売上が1千万円を超えた場合に、課税売上のうち110分の10を売上に係る消費税として計算した金額を基礎に、事業者が納める消費税を計算するものであり、基準期間の課税売上が1千万円を超えない場合には消費税は認識せず、取引金額の全てを所得税あるいは法人税の所得金額計算の基礎とするものである。
上記サイト内の書きぶりは、消費税は本体価格とは別物だという前提に立っており、この理解の場合、全ての事業者が消費税率分の値上げができることになる。しかし、値上げをできるのは一部の事業者に限られていることから、商取引における価格決定の仕組みを無視した内容であり誤った解説であると評価せざるを得ない。

そこで、下記につき御社に質問をする。


上記サイトの中で、「私たちが払った消費税は店などが代わりに納めています」と解説されているが、これは消費者に納税義務があり、事業者が消費税を消費者から預かって消費者の代わりに納税しているという解説であるのか。そうであれば下記の法律、裁判例及び財務省の説明と異なる解説をしていることになるため、意見を求める。

① 消費税法には「消費者」という言葉は出てこない。したがって消費税法においては事業者に消費税の徴収義務はなく、消費者に納税義務もないことは明らかである。また、消費税額は、消費税法第28条第1項及び第29条並びに地方税法第72条の82及び同条の83の定めに基づき、譲渡対価に110分の10を乗じて得た額として算出される。消費税相当額を価格転嫁しているか否かは無関係であるため、適正価格に消費税相当額10%を上乗せするという仕組みではない。したがって、事業者が消費者から受け取るのは、譲渡対価たる売買代金のみであり、消費税を預かっていないことは消費税法上明らかである。

② 東京地裁(平成2年3月26日判決)は消費税について「…消費者が事業者に対して支払う消費税分はあくまで商品や役務の提供に対する対価の一部としての性格しか有しないから、事業者が、当該消費税分につき過不足なく国庫に納付する義務を消費者との関係で負うものではない」と示した。消費税は商品などの対価の一部であると認めた。

③ 2023年2月10日衆議院内閣委員会で、金子俊平財務大臣政務官は、「預り金的な性格であって預り税ではない」とした答弁した。

④ 上記サイトでは、①消費税法の規定、②東京地裁の裁判例、③国会答弁と異った解説あるいは誤った解説を御社は行ったのではないか。
以上

上記質問に対する回答を2023年9月29日15時までに
info@tnk-tax.or.jpに回答されたい。

NHKの回答

インボイス制度の中止を求める税理士の会 御中
インボイス制度に反対する司法書士の有志の会 御中

平素よりNHK解説委員室の番組などをご覧いただきありがとうございます。
2023年9月21日に会長、岸解説委員宛てにお送りいただきました公開質問状につきまして、NHK解説委員室より回答申し上げます。

「みみより!くらし解説」は、気になるニュースやくらしに密着した耳よりな話題を分かりやすくお伝えすることを大切にしている番組で、
9月5日の放送回では、
10月の開始を前に関心が高まっているインボイス制度について、
仕組みや制度導入の背景、また、相談窓口も紹介するなど
イラストを使いながら、難しい表現はかみ砕き
より分かりやすい解説となるよう心掛けました。

ご指摘の判例や国会答弁は承知しておりますが、
以上のような番組(ホームページ)の趣旨や、
消費税が導入当初から「間接税」として社会一般に理解され、
財務省のホームページでも最終的に消費者が負担し、
納税義務者と実質負担者が異なる「間接税」として紹介されていることなど、
様々な情報をもとに判断し、こうした説明にさせていただきました。

インボイス制度については様々な見方があるところであり、
今回ご指摘いただいた点なども踏まえ、
今後も、制度の課題や反対意見を含めた幅広い視点から情報をお伝えするよう努めて参ります。

NHK解説委員室

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