Archangel Saga – 大刀とマイケル(1)

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みんな大好きMetropolis SoftwareのアクションRPG「Archangel Saga」をプレイするよ。

主人公は現代世界で平凡に暮らしていたマイケル。ある夜、車を運転していた彼は不注意でトラックと正面衝突し、意識を失う。彼が再び目覚めると、そこは見知らぬ修道院だった。修道僧の話によるとマイケルは選ばれし者で、闇に支配されたこの世界を救える唯一の人間らしい。マイケルは修道院長や光の神に促されるまま、課せられた使命に立ち向かっていくことになる。

マイケルは死んだのか、それとも生きているのか。この世界は一体どこなのか。闇の勢力を倒したらどうなるのか。以上の疑問点は序盤ではあやふやな表現となっていて、謎として残されている。今後の展開、伏線の回収が気になるところだ。

製品パッケージ裏にはファンタジーとSFが融合した世界がどうたらこうたらと書いてあり、純粋なファンタジーものではない。具体的にはファンタジー、現代、未来の三つの舞台を旅することになる。でんせつのめいさくダイカターナのごとく、ゲームプレイに変化があって楽しめそうだ。


操作感はTPSのものに近い。たとえばGothicUltima IX: Ascensionなどは攻撃時に一瞬スキができる(アクションが一挙手一投足になっている)のだが、このゲームでは常時移動しながら武器をブンブン振り回せる。防御は用意されていないため、敵の攻撃はWASD移動で華麗に回避するしかない。

ただし、主人公の後退速度が極端に遅いし、大半の敵は攻撃後にスキがない。反撃をくらわないコツは斜め移動を繰り返しながら剣先が敵に掠るような感じで攻撃すること。戦闘はアクション性が強く、ちょっとしたミスでダメージをバカスカくらう可能性がある。

広い空間なら上記の戦法は通用する。しかし、問題は家の中などの狭い場所だ。ほとんど身動きができない場所では回避のしようもないからダメージを受けざるを得ない。これには閉口。攻撃は最大の防御理論のごとく、攻撃される前に敵を倒せということなのだろうか。

敵は一度倒すとリスポーンしない。経験値やアイテムは有限なので敵はなるべく殲滅させた方がいいだろう。ちなみにお金はなく、物々交換などもできない。

レベルアップやステータスアップの概念はなし。経験値はスキル取得&強化にのみ使用できる。スキルは暗視・回復・フォーム強化・催眠・耐性強化などが用意されている。まずは回復を取得した方がいいだろう。このゲームでは体力が自動的に回復しない。体力を回復するためにはアイテムか、あるいはスキルを使う必要がある。回復アイテムは前述したように限りがあるのであまり消費するわけにはいかない。ゆえに体力回復はスキル頼みとなる。スキルを使用すると精神力を消費してしまうが、精神力は自動的に回復する。精神力の回復は若干時間がかかるが、回復スキルは大変便利だ。一戦毎に回復スキルで全快するのがベターだろう。

マイケルは光の神からフォームを授けられる。フォームは二種類(ウォーリア・ゴースト)存在し、どちらかしか選べない。ウォーリアは戦士タイプ、ゴーストは魔法使いタイプとなっている。

フォームは精神力を消費することで一時的に使用できる。ただし、変身するのに時間が結構かかるので、敵が近い状態でフォームするとリンチに遭う可能性大だ。このゲームの敵はどこぞの変身ヒーローもののように変身するまで、おりこうさんにしてくれないのだから。敵と遭遇する前にフォームしていると最高なのだが、フォームはすぐ解けてしまうため、なかなか使いどころが難しい。スキル強化するとフォーム時間が長くなるようだが・・・。

ちなみに私はゴーストフォームを選んだ。ゴーストフォームは敵に見つかりにくく、範囲攻撃が可能で一度に複数の敵を倒せる。しかしながら、複数の敵に囲まれることが少ないし、もし囲まれたとしたら変身するスキなんてない。基本はタイマン勝負なのだからウォーリアフォームの方がよかったかもしれない。

フォームの外見は光というより闇に近い。アークエンジェル(大天使)よりもファーレンエンジェル(堕天使)的だ。どう見てもイービルとかデビルといった風貌をしている。そうすると実はマイケルは堕天使で、闇の勢力を倒すことで大天使へとアセンションできるとか、そういったストーリー展開なんだろうかと予想したり。

マップはこじんまりとした作り。それぞれのマップは繋がっていて、行ったり来たりできる。視界は濃霧に覆われており、遠くは見渡せない。これはTurokなどと同じで描画負荷を低下させるための方法なのだろう。

視界の悪い景色、くすんだ色の地形、嵐のような空模様が陰鬱な雰囲気を醸し出しており、気分が落ち込んでいる時にプレイすると最高にマッチする。人物の造形は2002年の作品にしては出来がよろしくないが、不気味な感じを増幅させるのに寄与しており、良い方向に働いていると思う。敵と戦っている時より、村人と会話している時の方が恐ろしい。

地図や看板などは一切ないため、目的地を言われても何処に行けばいいのか分かりづらい。マップ内にそれほど分岐があるわけではないのでしらみ潰しに行けばなんとかなるものの不親切な感は否めない。地図機能を搭載しなかった理由はマーカーに指示されるままに動くのではなく、自分で異世界を探索して見つけ出して欲しいという意図なのだろうか。それとも単純にリリースまでに地図機能を作る時間がなかったからなのか。それともテストプレイは開発者の内輪のみで行っており、自分たちを基準にしてゲームデザインしてしまい、目的地くらい大抵のプレイヤーはすぐ分かるよねと判断したためなのか。開発元のMetropolis Software(Infernal、オーロラウォッチング)は開発者本位でバランシングしたようなゲームが多いことから、あながち一番後者の例が当たっているような気がする。

地図がなくて困るのが洞窟の中だ。いま、洞窟の中の複数のアイテムを探せというクエスト中なのだが、目的のアイテムがなかなか見つからない。洞窟内は似たり寄ったりの構造で迷いやすい上に、目的のアイテムがシークレットエリアのようなところに隠されていて、アイテム探しがしんどい。洞窟の中は薄暗いし、余計に疲れる。開発者は自分たちがマップを作ったのだからすぐにアイテムを発見できるだろうが、プレイヤーはそういうわけにはいかない。空間把握力ゼロ、方向音痴を舐めないで頂きたい!

せめて自分の居場所くらいは分かるようにしておくべきだっただろう。どこかに看板でも置いておくとか、それかマップ切り替えロードが終わったらテロップを出すとか。自分の居場所を知る唯一の方法は、一度セーブしてロード画面のメッセージで知るしか方法がないのだから呆れてしまう。親切なのか、不親切なのか、どっちかにして頂きたい。私の心を弄ばないで頂きたい!

異形のモンスター(主にボス)には普通の剣が効かず、光の剣でしか倒せないようになっている。しかし、そのモンスターが異形の者なのかを判別しづらく、普通の剣で攻撃した時と光の剣で攻撃した時の違いがないので効いているのかさえ分からないという有様。せめてダメージエフェクトを変えるとか、違ったサウンドがなったりすると分かりやすいのだが、そういう工夫が一切ない。

また、光の剣を使用するには精神力を消耗しなければならないため、連続攻撃ができないようになっており、再び攻撃するには精神力が回復するまで待たなければならず、ボス戦はなんともカッコ悪い戦闘になりがちである。それに光の剣が精神力を使用するものだからスキルもあまり乱用できない。なんでもかんでも精神力で一括消費にしているのはバランスが悪く感じる。スキルはそれぞれリチャージ式にした方が色々と戦術に工夫ができたのではないか。

日本語化はサンソフトが手がけている。きちんと意味の通った会話に訳されており、今のところ問題なし。キャラクターによって口調を変えたりするなどの工夫も見られる。ただ、修道僧の「~ないです。~いるです。~くるです。」の口調は頭の弱い萌えキャラみたいで違和感を覚える。

かなりネチネチと嫌らしいことを綴ったが、私はこのゲームの雰囲気が気に入っている。重々しい空気感がとても好きだ。相変わらずMetropolis Softwareはバランス感覚やゲームデザインがズレてると感じるが、今作はアクションとRPGの中庸を取っており、うまく批判を回避しているような気がする。ゲームが進むに連れて世界観がガラッと変わるそうだから、その点を期待するとしよう。

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