Batman: Arkham Asylum – 僕が恋したバットマン(1)

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バットマンを主人公にしたアクションアドベンチャー。アーカムアサイラム精神病院を舞台に、バットマンの活躍が楽しめる。個人的にはまったく期待していなかったが、良い意味で裏切られた。世間で絶賛されている理由も頷ける良作だ。

変態蝙蝠男登場

物語はジョーカーをアーカムアサイラム精神病院に収容するところから始まる。しかし、物事がそんなにうまくいくわけがなく、ジョーカーはまんまと逃走。おまけにアーカムアサイラム精神病院を掌握し、患者(囚人といった方がいいのか)を解放してしまう。バットマンは一癖も二癖もあるキチガイ共を相手に孤軍奮闘することになる。Arkham Asylumはバットマンさんの受難、日頃の大変さが身に染みて実感できるゲームなのだ。

なお、本作のストーリーはアニメ版バットマンを主に手掛けてきたPaul Diniが担当。バットマンらしいダークでおどろおどろしい雰囲気を持ちつつ、ジョーカー・ハーレークイン・ポイズンアイビー・スケアクロウなどの人気キャラが登場し、娯楽性に富んだ展開される。各ヴィランは永年続いているシリーズで活躍しているキャラだけあって、一ゲームに登場するだけの脇役キャラとは年季や存在感がさすがに違う。やはり、こういうところは版権ゲームの強みといえるだろう。

ジョーカーさんステキです

また、原作の美味しいところやネタをうまく取り入れており、バットマン好きなら堪能できるストーリー&演出に仕上がっている。特にスケアクロウ戦はいかにも彼らしいケレン味のある演出。PhysXをONにして大仰な物理演算を楽しんで欲しい。ここにはブルースのトラウマシーンも取り入れており、原作ファンなら思わずニヤリとしてしまうだろう。

しかし、コミックも読んだこともないし、それどころかアニメや映画さえ一度も見たことないという人には辛いかもしれない。各キャラクターについて解説ページが用意されているものの簡素なものに過ぎないし、物語はバットマンがジョーカーを連行するところからいきなり始まる。一からバットマンの生い立ちを説明してくれない。

このゲームのストーリーを楽しむのなら、せめてバットマンやジョーカーはどういう存在なのかくらいは知っておいた方がいい。バットマンのことを一切知らないと頭にハテナがたくさん浮かぶことだろう。「なぜ全身スーツの猫耳変態おやじが人助けしているの?」とか「正装ピエロはどうして精神病院で暴れているの?」という風に。

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ゲームの舞台はタイトル通りアーカムアサイラム精神病院のみ。ゴッサムシティは出てこない(今のところ)。しかし、アーカムアサイラム精神病院はいくつかのエリアに分かれており、精神病院にしてはバリエーションに富んでいる方だ。ガチムチ囚人が厳重にガードしているところもあれば、マジキチな人がお化け屋敷的な演出で楽しませてくる狂気的な場所もある。

ゲーム進行は一本道ではなく、他のエリアに寄り道したりもできる(メインの進行によって行けないようになっているところもあるが)。色々な場所を探索しながら進んでいく風になっており、 アドベンチャーゲームの趣が強い。あっちに行ったり、こっちに行ったりと右往左往することもあるが、本作はプレイヤーを迷わせないようにする工夫に長けている。

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たとえば、ディテクティブモードにすると赤外線カメラのような表示になり、何かある場所はハイライト+解説で表示される。この視点だと敵の位置も把握しやすくなり、ステルスの戦略が組み易い。

また、ディテクティブモードは困ったときに使用できるヒントのような存在なのも重要な点である。初めからオブジェクトがピカピカ光っていたり、「ここのバルブ捻って、ここでアイテムを使って・・・」といちいち説明していたりするとやらされているようなイヤな感じがある。しかし、本作の場合は「答えが分からないからディテクティブモードを使う」→「ハイライトでオブジェクトが光ってる」→「これだ!」→「答えを発見した俺つおい!」のような流れになり、まるで自力で何から何まで解決したような爽快な気分を味わわせてくる。ガジェットを使いこなす俺様かっこいい!という気分に浸らせてくれるのだ。

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昇ったり、ワイヤーで移動できる場所は「このキーを押したら○○できるよ」というアイコン説明が表示されることにより、アクセスできる所が一目瞭然で分かる。いちいちキーを押してこの場所はワイヤー使えないのか・・・と無駄な確認をしなくてもいい。周囲の環境を活かしたアクションが可能なゲームなので、こういう情報は必要不可欠。「いま何が出来るか」をプレイヤーに分かりやすく伝えることで気持ち良いゲームプレイを生み、テンポを崩さない。それに加えてメインミッションの目的地はマップ上に記されているので迷うこともない。

アドベンチャーゲームでストレスを溜めやすいのは「問題の意味さえも理解していない時」だ。これはもはやパズル以前の問題である。本作はなるべくそういう事態に陥らぬように「何が出来て何が出来ないか」を提示することでプレイヤーにストレスを与えない作りになっている。

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敵を倒したり、隠しアイテムを発見したり、リドラーの写真クイズに正解すると経験値が得られる。経験値が一定に達するとスキルアップ&新スキル獲得ができる。経験値を溜めると強くなるもんだから、ついつい探索してしまうというわけ。

私はメインミッションそっちのけで探索ばかりしている。マップは細かいところまできちんと作りこまれていて、探索しがいがある。きっとメインミッションの進行がストレスを与えない作りになっているから、こういう風な寄り道をする余裕も生まれるのだろうと思う。他のアドベンチャーゲームなら寄り道はエンドオブ眼中して進めているはずだ。

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戦闘はステルスとアクションが半々。銃を持っている相手とは基本的にステルス戦になる。たとえ銃を持っていてもタイマンならバットマンに勝機があるが、大抵の場合はグループを組んで警護している場合が多い。難易度はステルスゲームの中ではあまり高くない。今作のステルスは周囲の環境といくつかのハイテクガジェットを活かして解決していくことになる。

バットマンはグラップルガンでガーゴイルの上を飛び乗って移動できる。鷹のように頭上からしめしめとターゲットを狙うわけだ。敵は頭上を見ない習性があり、頭上は基本的に安全地帯となる。ちょっと違和感があるが、まぁそういうものだと納得しておこう。人間ってのは垂直方向には目がいかないものだし、切羽詰まっている状態ならなおさらだ。

ステルス戦はそういう作りなのでマップは高低差がきちんとある。グラップルガンでびゅーんと頭上に飛んでいったり、高所からマントでざばぁーと飛び降りたりと垂直方向の移動がとても爽快である。グラップルとマントを駆使すれば、走るスピードよりも早く移動できるのでお世話になることが多いだろう。

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銃を持っていない敵とはガチンコの殴り合いになる。左クリックで攻撃、右クリックでカウンターという簡単な操作ながらタイミングよく攻撃を繰り出していくと多彩なコンボが繰り出されていく。流れるようなコンボアクションとバットマンのパワフルなアニメーションが非常に爽快。大したことはやっていないのに自分はまるで格闘ゲームのプロになったような錯覚を味わえる。

このゲームにはコンバットチャレンジモードというのがあり、ここでは純粋に格闘が楽しめるようになっている。私はこの格闘システムが気に入ってしまって、本編を始める前に何戦か挑戦しているくらいだ。

【雑感】

革新的な要素はないものの、丁寧にまとまっている作品。特徴はやはりバットマンらしいアクションとストーリーが楽しめる点だろう。戦闘やステルスはバットマンの設定が活かされているし、強烈なキャラクターたちが物語を盛り上げる。版権ゲームのツボがきちんと押さえられている。

バットマンの信条(不殺、銃禁止)はステルスゲーム向けの設定だね。他のステルスゲームではバランス面で銃の存在がどうしても邪魔な存在になるのだけれど、バットマンは銃を嫌っているから使わない。それで納得してしまう。ほんとうまいことやったなぁと感心する。

バットマンは映画シリーズ全部見ていて、コミックとアニメはチラ見したことがあるのだけど別段好きなわけではなかった。しかし、このゲームをプレイしていると段々バットさんがかっこよく見えてきて、好意を抱いてしまった。

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コメント

  1. 予想以上に素晴らしい出来で感動しました。
    ダークナイト見てからやると尚更楽しめますね。

    今までやったTPSの中で一番良く出来た作品でした。

  2. >>Mopetoさん
    期待せずに購入したのですが、見事に裏切られました。良い意味で。
    とりあえずビギンズを見ればみスケアクロウの演出の意味が分かると思いますよ。
    >>HotCatさん
    本当によく出来ていますよね。
    確かに後半は間延びしているように感じました。ただ、「もう早く終われよー」とは一度も感じませんでしたね。
    これは次回作出すでしょう。売上も好調らしいですし。今度はゴッサムシティを飛び回りたいですねー。オープンワールドにしてしまうとゲーム性の維持が厳しいかもしれませんが・・・。
    いずれにせよ続編が楽しみです。

  3. 原作ファンとして見てもすばらしい出来だと思います。
    バットマンのアクションのかっこよさと魅力的な敵キャラクターを十分に表現できていて、終盤の中だるみとラストのジョーカーを除けば良い作品でした。

    次作が出るのであれば今度は摩天楼をグラップリングガンで移動したりしてみたいですね~

    まだまだ魅力的なヴィランはたくさんいますし、個人的には今作には無かったバットマンと同等の格闘バトルがしたいのでキャットウーマン辺りを出してもらいたい。

  4. Steamセールで買いました
    映画とか全然見ずに、バットマンも金持ちな人がスーパーマンみたいなことしてるくらいの認識しかなかったのですが面白いですね
    ステルスも格闘もそんな大した操作はしてないのにかっこよくて魅入っちゃいますし。
    ちょっと映画のほうも見てみたくなるような作品でした

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