・Tom Clancy’s Rainbow Six
ミリタリーFPSの雄Rainbow Sixシリーズの第一作。計画立案に重点を置き、リアリティを重視したゲーム設定が特徴のFPSだ。
処女作にしてコンセプトがきっちり固められており、インドア中心のCQBが見事に実現されている。
まずゲームはブリーフィングから始まる。
ここではミッションの舞台背景や目標が説明される。きちんと目標を把握しなければ、現場で何をすべきか分からずに困ることになるので、内容をしっかり頭に叩き込んでおきたい。
次に隊員の選択。
隊員にはパラメータが用意され、各々で能力が異なる。統率力が高い者も居れば、銃器の扱いに手馴れた者も居て、破壊工作や電子機器のハッキングが上手い者も居るというわけだ。ミッション内容に応じて適切な人材を選択しよう。
次に隊員の装備選択。
突撃向けの装備で固めるか、それとも偵察向けの装備にするか。アサルトライフルを持ってガンガン制圧していくのもアリだし、あるいはサイレンサーで慎重に攻めていってもいいだろう。
次にチームの編成。
チームはBlue、Red、Green、Goldの四つが用意されており、各隊員をチームへ振り分ける。チームの目的に応じた編成をしよう。
次にプランニング。
ここでは各チームの行動を設定する。実際にマップを見ながら進行経路を設定し、目的を決定する。
プランニングのマップには敵の位置は表示されない。そのため「ここに敵が居そうだから進行経路はこうして、警戒レベルは慎重にした方がいいんじゃないか」などの、己の勘が結果を左右することになる。
プランニングが終われば、ようやくミッション開始となる。ちなみにここまでの計画は必ずしも自分で設定する必要はない。デフォルトで用意された計画を使用することも可能だ。
「計画はどうでもいいからミッションを早く始めたい!」という方はそちらを選べばよいだろう。その場合、このゲームの魅力の半分を味わえないことになるが…。
ミッションが始まると、各チームはプランニングに従って行動していく。プレイヤーはBlueチームのリーダーとして行動することになるが、全チームの指揮権も持っている。
ヘルスは低く設定されており、一撃を受けただけで死んでしまうことが多い。プレイヤーが死んだ場合は他の隊員に乗り移って操作できる。死んでしまった隊員は死亡扱いとなり、今後のミッションに参加させられない。つまり、死人続出でミッションを続けていった場合、後半で地獄を見ることになる。
本作の面白い点はFPSの体裁をしていながら、プレイヤーが必ずしも戦闘をする必要はないところだろう。
プレイヤーはスタート地点で待ち、AIのチームにミッションを任せることも可能なのだ。きちんとプランニングを組んでいるなら、行動開始命令だけ出してあげるだけでいい。その場合、すべてはプランニングと現場でのAIの働きに懸かっているわけだ。
いくらプランニング内容が優秀だとしても、仲間のAIが100%理想的な行動ができるとは限らない。仲間や敵の反応、タイミング、そして行動が影響しあい、同じ展開にはなることはないからだ。ダメなプランニングだったとしても、死傷者を出さずに目標を達成できる可能性もある。これが本作のドラマ性である。
そういう意味では本作はFPSというより、CQBシミュレーターの趣が強いのかもしれない。銃をバンバン撃って敵を制圧するよりも、自分で一から計画を練ってその結果を指揮官視点で見つめる…そんな楽しみ方ができるのは本作くらいなものだ。世の中には銃をバンバン撃つだけのゲームが溢れすぎている。
ミッション5まで進んだが、楽しく遊ばせてもらっている。これまでプランニングは面倒なだけの代物だと思っていたが、本作でようやくプランニングの魅力に気付かされた。さすがに一から設定するのは時間が掛かるので、デフォの計画を参考にしながらいじっているが、それでも自分の計画通りに事が進んでいくのは面白く、ミッション成功すると達成感もひとしおだ。
プランニングとAIが織り成すドラマ性、自分でゲーム展開を掌握している感じが好きな人は楽しめるゲームだと思う。
ちょっと気になる点
初期のRainbow SixやGhost Reconでは右下に銃が表示されない。銃が表示されるFPSに慣れた人は戸惑うかもしれない。私もGhost Reconを初めにプレイした時は銃が表示されないことに違和感を覚えたが、もう慣れてしまった。
移動中は照準が激しく開き、弾が散らばる。しゃんだ場合は照準が収束するようになっている。それゆえ銃撃時は停止、もしくはしゃがむのが理想だ。ただし、このゲームではしゃがみ移動が出来ないため、とっさの事態に照準コントロールが困難である。※続編のRogue Spearではしゃがみ歩きが可能。
また、リーンができない(※続編のRogue Spearでは可能)。そのせいで室内戦の難易度が高い。壁の向こう側を覗くには体を晒す必要があり、危険性が高まる。ほんのちょっと覗き込んだだけで相手に気付かれ、脊髄反射でやられてしまうこともしばしば起こりうる。