Anomaly: Warzone Earth – バス優先の街TOKYO(1)

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戦闘車両を誘導しながら固定砲台を潰していくストラテジーゲーム。タワーを作って防衛するゲームをタワーディフェンスと呼ぶが、こちらはタワーを破壊していくタワーオフェンスとでも呼ぶべきゲームデザインになっている。ストーリーは防衛軍がエイリアンの侵略を阻止するというもの。ゲーム中ではバグダッド(チャプター1~6)、東京(チャプター7~)、二つの舞台で戦いが繰り広げられる。

プレイヤーが実際に操作するのは偵察兵のみ。偵察兵は攻撃は行えず、物資を回収したり、支援を要請したり、状況を探る。そして、タクティカルマップから戦闘車両の進行方向を決定する。マップはいつでも開けることができ、曲がり角の方向を自由に変更することができる。すると戦闘車両はその方向に向かって自動で進んでいく。戦闘車両はレミングスのように前進するのみで停止したり、逆走することができず、攻撃範囲にエイリアンが入ると自動で攻撃を行うようになっている。プレイヤーがマップを見ながら上手く誘導してあげるのが重要になってくる。

実際のフィールドは丁寧に作りこまれているが、タクティカルマップは敵や味方の位置が分かりやすく可視化されており、状況を簡単に掴めてプレイアビリティは高い。なお、タクティカルマップを開いている間は時間が停止するので、リアルタイムだとあうあうあー(^q^)になってしまう人やじっくり派の人も安心してプレイ可能だ。

敵を倒したり、道を進んでいくと支援要請できるアイテムが投下され、これを回収することで支援要請が可能になる。支援要請は回復・囮・煙幕などがあり、回復は車両の体力回復、囮はエイリアンの注意を引きつける、煙幕はエイリアンの命中率を下げる。戦闘車両には体力があり、自動回復はせず、ゼロになると壊れてしまう。車両を作るには多大なコストがかかる為、一つ壊れただけでクリアは難しいと言っていい。そのため支援要請をして、敵の攻撃を最低限に抑えるのがプレイヤーの役目だ。

戦闘車両は装甲車、戦車、ロケラン車両、シールド車両などがあり、攻撃速度・威力・攻撃範囲・防御力などが異なる。シールド車両は隣接車両にシールドを張ることができ、シールドの分だけダメージを吸収してくれる。序盤は予め用意された車両しか出てこないが、話が進むと自分で車両を呼ぶことができ、好きな編成で攻めることができるようになる。車両の順列はいつでも変更でき、最大6車両編成まで可能だ。また、各車両をアップグレードすることで性能が上がる。

ただし、車両を呼んだり、アップグレードするにはお金が必要で、エイリアンを倒したり、マップ上に落ちているお金を回収しなければならない。エイリアンを全滅させる必要はないが、集金目的で倒した方が楽になる。エイリアンを連続で倒すとコンボが発生し、スコアボーナスが与えられるが、これは直接クリアには関係ないので無視しても構わない。もちろん、高スコアを目指すために最適解を探し、全国のプレイヤーたちとスコアアタックするのも一つの楽しみとしてある。

エイリアンは固定砲台化しており、動くことはない。種類は、細いビーム・極太ビーム・爆弾・電撃などが存在する。細いビームは素の状態でも余裕で勝てる。極太ビームは愚直に向かっていくとあっという間にマキシマムヤシマ作戦状態で体力を削られるが、前方向にしか攻撃できないので側面や後ろから狙う。前方向から攻める場合は囮を作るか、回復を置いてダメージと回復量を拮抗させてその間に倒す。爆弾は範囲が広く、威力も高いので反対方向に囮を置いて爆撃が当たらないようにするのがベター。電撃は隣接車両の体力をじわじわと削っていく為、これも囮や煙幕を利用したい。エイリアンはなるべく少ない数を相手して、徐々に数を減らしていくのが得策だが、何体も重なっている道路もある為、そこではプレイヤーによる支援要請がものを言う。支援を置く場所は的確に指示しないといけない為、この時だけは非常に忙しく、プレイヤーのクリック力が求められる。

一部のマップを除いて、チェックポイントは細かくセーブされ、すぐにやり直せるのでストレスは溜まりにくい。ミッションは目標地点到達、ジェネレーターの破壊、敵の殲滅、仲間を集めながら脱出地点を目指すなど、基本的にやることは一緒だがシチュエーションが異なる為、それほど単調には感じさせない。また、チャプター7からは日本が舞台になるので日本人としては嬉しい点だろう。看板に「広告媒体」と書かれていたり、道路にやたらとバス優先レーンがあるのは気になるところだが、酸性雨の降りしきるコンクリートジャングルTOKYOはまるでサイレントメビウスや鋼鉄天使くるみ零のごとく……ということで大きなお友達も要チェックだ。いや、もちろんブラックレインや二つで十分ですよファンもチェックして頂きたい。

視点をズームできないのは残念ではあるが、遠目で見たグラフィックは非常に美しく、Ghost Recon的な近未来的描写と相まって魅力的なビジュアルになっている。肝心のゲームプレイはRTSほど複雑すぎず、分かりやすくてとっつきやすい。どうやったら被害を最低限に抑えられるだろうかとマップを見ながら考えるのが楽しい。見た目は惹かれるものがあったものの、どういうゲームか分かりづらかったのであまり買う気はなかったのだが、Steamのセールでたまたま安かったため購入してみたら大当たりだった。キャンペーン以外にもやり込める別モードがあるそうなので遊び甲斐はありそうだ。

コメント

  1. >二つで十分ですよ
    結局半分も食べられず連れていかれましたが。
    原作派だけどレイチェルだけは有りです

  2. ショーンヤングといい、ルトガーハウアーといい、ガフの人といい、役者の存在感が凄かったですよね。
    原作だとデッカードにアンドロイド疑惑を持ちかけてくるブレードランナーが印象深かったです。
    あのシーンは信じていたものがドンガラガッシャンと崩壊していくようなPKD感覚を味わえました。

  3. お、原作も読了済みだったのですね
    映画から入る方も多く、大多数の方は映画と原作の共通点探しばかりしてしまいがちで評価が割れてしまうんですが(デッカードが妻帯者だとか)。
    私的には終盤での荒野で見つけたヒキガエルからラストへの流れが深く心にのこりました。

    で、全然ゲームから離れてしまう話題なのでここらにしておきます(^^;

  4. 設定が似ているところはあれど全くの別作品なので、私は別々に楽しめました。原作はPKDらしく、宗教色も強いですし。
    ブレードランナーのビジュアルは私のイメージしていた原作とはかけ離れていましたが、それはそれとして、別の魅力に溢れていました。
    個人的には、「少数報告」や「われはロボット」の原作レイプっぷりの方がイラッときました。
    いくつかのSF映画を見て学んだことは、SFは映像化すると概ね陳腐化してしまうので想像で楽しんだ方がいいということです。

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