今日はああ素晴らしきMOD文化!知っておきたいゲームの改造のコトということで、ゲームの改造文化について話していきたいと思います。
まずタイトルのMODですがこれはmodification(改造する)の略になります。PCゲームの世界ではMODが一つの文化となっており、ここから新しいゲームが生まれることも少なくありません。今日はそういったMODの歴史を紹介します。
PCゲームの世界ではプログラムを解析して、データを書き換えたり、新しい機能を加えたりと言った改造がユーザーによって行われていました。
それが大きく広がるようになったのはネットの登場です。人気のゲームを解析して、簡単にデータをいじれるようなツールをユーザーが作り始め、掲示板で他の人に広めるようになりました。
ゲームの開発者たちはその活動を見て、開発に使っていたツールを配布するメーカーも現れます。DOOMで有名なid Softwareのプログラマー、ジョン・カーマックは「ぼくたちのゲームを改造する熱心なファンの活動には本当に驚いた。まるで昔の自分のようだって思ったよ。次のゲームは改造しやすい環境を整えたい」と言っています。
ゲームのMODはグラフィックやサウンドを差し変えるものから、新しい敵やマップを追加するもの、全部を作り直したトータルコンバージョンというMODも出てきます。開発者にとってMODはゲームの寿命を伸ばしてくれる活動として歓迎するメーカーも多く、有名なMOD作者は開発メーカーから雇用されたり、MODが販売メーカーの目に止まり、販売される例も出てきます。
特にMODに積極的にサポートしていたメーカーとして、id Software、Epic、Valve、Monolithなどが存在しました。自分たちのゲームエンジンはこういうことができるというアピールの意味合いもありましたし、MODのサポート具合がゲームの購入動機になっているユーザーもいたからです。既製品で遊ぶのは楽しいことですがそれを改造するのも一つの楽しみなのです。
対戦ゲームのルールを改造し、それが公式のルールよりも人気になることも少なくありません。Half-LifeのMOD「Counter-Strike」は5人1組で、別のチームと対戦するルールです。
Half-Lifeではみんなで対戦するデスマッチ、チームに分かれて対戦するチームデスマッチなどのルールが存在しました。Counter-Strikeはそれよりも緻密な戦術が求められ、チームの協力が要求される競技性の高いゲームデザインで大流行します。
Counter-Strikeの敵チームを近接戦闘のみに変えたルールも存在します。これは後にLeft 4 Deadというゾンビゲームの発想に繋がります。4人の人間がゾンビの群れを倒していく協力ゲームです。
The HiddenはHalf-Life2のMODです。一人のプレイヤーが特殊能力を持ったHiddenとなり、残りのプレイヤーは特殊部隊となりでHiddenを始末しなければなりません。Hiddenは透明人間で移動能力が高く、人間を透視できます。
しかし、攻撃方法はナイフと爆弾しかありません。特殊部隊はHiddenの姿が見えませんが銃を装備しています。プレイヤーの能力が非対称な設定のMODは他にも多くありましたがこのジャンルが大流行するのは13日の金曜日やDead by Daylightまで待つことになります。
Warcraft3というリアルアイムストラテジーゲームでは、DOTAというMODが人気となります。RTSは複数のキャラクターを同時に操作して相手と戦うルールですが、DOTAは一人のキャラクターを操作して、チームメイトと協力し、相手チームと戦うルールになります。今ではRTSよりもDOTAの方がプレイ人口が多く、MODから生まれたルールの方が主流となっています。
E-Sportsの人気ジャンルとして、バトルロイヤルのゲームがありますがこれもMODから生まれたジャンルとなります。元はMinecraftでハンガー・ゲームを再現したのが始まりです。
ハンガー・ゲームは生死を賭けて争うサバイバル小説ですがこの要素をMinecraftに取り入れ、プレイヤーたちは生き残りを賭けて戦います。プレイヤーの行動を制限する死のエリア、物資を集めて強化していくサバイバル要素はここで出来上がり、それをより戦術性を高くしたのがPUBGやFortniteになります。
日々、複雑化していくゲーム、大きくなっていく規模、開発にかかる時間も長くなり、個人で大作ゲームのMODを作るのは難しくなってきました。著作権やリバースエンジニアリングの問題もあり、リスク回避の為にMODをサポートするメーカーも昔に比べて少なくなってきています。
そこにゲームエンジンを無償で提供するゲームエンジンメーカーが現れ、個人や小規模なチームでオリジナルのゲームを作る人達が出てきます。ゲームエンジンとはゲームを作る為のツールの総称で、2Dや3Dを表示する為のシステム、マップを作ったり、プログラミングする環境のことを言います。
ゲームエンジンを使うのは無償ですがもしゲームが完成したらライセンス料として、一本売れたら何%をゲームエンジンのメーカーに支払うという契約になっています。昔からゲームエンジンを他の会社や個人が使えるようにライセンス販売していたメーカーはあるのですが契約料が高いなどの理由で誰にでも利用できるようになっているわけではありませんでした。
それがここ数年で利用するのは無料、お金が儲かったら分け前を分けるという形に変化していきました。ゲームエンジンを利用してもらうのがまず重要で、お金の話はそれからということですね。その流れもあり、ゲームを作るハードルが下がり、遊ぶ側だった人間がゲームを作るようになり始めました。
個人や小規模なチームで開発する人たちをインディーと呼び、インディーゲームから独創的なものが生まれ、大ヒットとなった例もたくさんあります。小規模だからこそ色んな挑戦がしやすく、大手メーカーでは承認が降りないような企画や作家性の高い作品を作れるところにインディーの強みがあります。大手メーカーに勤めていた人たちも自由な作品作りを求めて、インディーへと転身する人も出てきました。
インディーメーカーの中にはMODをサポートすることでコンテンツ不足を補うところもあります。大手メーカーのMOD対応が難しくなった分、インディーがその受け皿となっているのです。
今日はMODの歴史について話してみました。
あなたのお気に入りのMODはなんでしょうか?
ご視聴ありがとうございます。