Jagged Alliance: Back in Action – 戦略部分に不満が残る(1)

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ターンベースRPG「Jagged Alliance 2」を元ネタにしたリメイク作。ただし、今作では時間がリアルタイム(タイムライン式)であり、世界設定やキャラクターなどはJA2を引き継いでいるがゲームシステムはかなり変更が加えられており、別物のゲームに仕上げられている。物語はDeidranna女王によって独裁されているArulco国を救う為、主人公が傭兵を雇って女王に立ち向かうことになるというもの。

○JA2とここが違う。傭兵は買いきり

まずは40,000ドルを持った状態からスタートし、傭兵を雇って送り込むことから始まる。傭兵はA.I.Mのサイトから雇うことができ、雇用は買いきりとなった。JA2では一日毎に更新料を支払う必要があったが(二週間分を一気に支払ったりも可能)、BiAでは一度お金を支払えば二度と請求されることはない。つまり、初めから能力の高いキャラクターをいきなり雇用し、ずっとそのキャラを使い続けることも可能である(信用が低いと雇えない場合もあるが)。

JA2では低額のキャラを段々使って行って、お金が貯まってきたら性能の高いものへと順次切り替えていくといった使い捨てでの使用が問われ、これこそまさに傭兵の世界という感じであったが、今回はその限りではなく、一度雇用したら最後まで使うことになると思われる。また、自分でキャラクターを作成するI.M.Pシステムはなくなり、A.I.Mから雇うしかない。

○JA2とここが違う。自由にどこからでも攻められるがクエストを取り入れ、順路が決めやすくなった

JA2はOmertaへと降り、そこからはご自由に攻めて下さいという形式であり、クエスト的なイベントもあったが、クエストという枠組みがなかった為、隠しイベントに近いものが多かった。BiAではDrassen Airportの奪還からまず始まり、PubloからAirportの仕組みを教えられ、その次にDrassenを奪還し、FatherとIraに出会い、解放軍リーダーを探せというクエストをもらう。このクエストをやるかどうかはプレイヤー次第であり、別にやる必要はないが、このように初めは順路立てて進むので初心者や一見さんにも分かりやすく、クエストログで逐次クエストが管理され、今何をすべきか、これから何をやるべきかが明示化されており、ゲームの内容も少し忘れてもクエストを読めば思い出せる。Drassen以降はJA2と同様に自由に進むことが可能であり、道筋をはっきりとさせたことで昨今のゆとりゲーマーにもプレイしやすい環境を作っている。

○JA2とここが違う。戦略マップがただのマップ

戦略マップでは部隊の移動しかできない。Militiaもできなければ、セクターインベントリーもなく、Trainもできない。移動経路は細かくプロットを置くことができず、目的地に向かって直線移動(ダイレクト)、回りこんで進むかしか選べない。細かく移動したい場合は部隊をA地点にクリックして、A地点に着いたらB地点に行くようにして、B地点に着いたらC地点に行くように指示するといった無駄な作業をしなければならず、どうしてこういう仕様なのかが理解不能。知らない人には何を言っているか分からないかもしれないが、触ってもらえればなんだこれは・・・と理解してもらえると思う。

Militiaもできないので自分で民兵を鍛えて守らせることはできない。ただし、マップを制圧した時点で1~4人のフリーな人間が居て、こいつに銃を渡せば街を守るようになる。いちいち自分で武器を持って行って、一人一人に分配しなければならないので非常に面倒であり、序盤だからかもしれないが4人以上守る人が増えず、Roadblockに敵が6人程度で取り返しに来てアッサリと奪われてしまう。敵が取り返してくるような場所には傭兵を常に置いておいて自分で戦闘を展開したり、もしくは地雷をばら撒いて民兵まで到達させないようにするのがコツのようだ。

セクターインベントリーもなく、探索して取り忘れたアイテムをまたえっちらおっちらマップ内を歩いて取りに行かなければならない。どうもフォーラムを見ているとセクターインベントリーらしきものがあったようなのだが、いつの間にか無くなってしまったようだ。JA2よりもBiAはマップ内に有用なアイテムが落ちているのはいいのだが、セクターインベントリーがないせいでアイテム集めが正直しんどい。セクターインベントリーと民兵管理画面がなぜないのか。変なところを簡略化して必要な場所に必要な機能がないのはどういうことなんだろうか。

○JA2とここが違う。タイムラインを導入したリアルタイム戦闘

戦闘は前述したようにBrigade E5や7.62 – High Calibre系のリアルタイム戦闘であり、ターン制ではない。ゲーム的にはCommandosのプレイフィールに近く、JA2とは別物と考えて良い。どういった内容なのかはデモ版が出ているのでそれを触ってもらった方が良いが、あのデモ版よりかは製品版は簡単になっていると思っていい。デモ版をクリアした人なら製品版のあまりのヌルさに高難易度バージョンはないのかと考えるところだが難易度の変更は今のところできない。

ではまずデモ版はなぜ難しかったのか。それは敵が精鋭部隊(後半の敵)であり、グループ行動をしていて、装備品もきちんとしていたからである。それに対してこちらは4人組であり、2人しかライフルを持っておらず、性能的にはMagicくらいしか使い物にならず、それで大量の敵と戦えるわけがない。敵に見つかった途端に蜂の巣にされ、何度もリトライせざるを得なかったが、製品版ではそこまですぐ決着はつかない。

自分も敵もハンドガンで戦うし、キャラクターの性能も低い。敵が一人一人隙を見せているので一人ずつゆっくり片付けられる。それに敵が死体にも反応しない。デモで死体に反応したのに、なぜ製品版では反応しないのか。確かに意味が分からないのだが、恐らくデモだと死体に敵が反応すると警戒状態が解けず、難易度が上がってしまったせいかもしれない。もしくは序盤の敵はインテリジェンスがアホなので死体を見ても肉片が落ちている程度にしか思わないのかもしれない。

いずれにせよデモをプレイして「BiAむずけーなー」と思っても安心して良い。最初は敵をあんなに配置していないし、能力や装備品の性能が低いのですぐに決着はついたりしない。ピストルにサイレンサーを付けて完全にステルスプレイで殲滅することも可能だし、遠くからサブマシンガンやライフルを撃って倒していくことも可能である(DLCや初回特典のSCARが強い)。序盤の敵は斧とピストル、ショットガン程度しか装備していないし、後ろから近付いてもステルス能力さえ高ければ余裕で首切りできる。マップのスケール感は思っていたよりも原作を意識しているのは意外だった。こういうゲームの場合、やたらとマップを大きくしたがって時間がアホみたいにかかるが、BiAはそういうところをしっかり弁えていて、こじんまり(褒め言葉)としている。なんでもかんでも大きくして水増しすればいいというものではない。

○戦闘は面白く、序盤の金銭マネージメントは良し。後半のバランスは疑問。一方、開発はやる気があり、MODも活発でこれからにも期待できるか

とりあえず5時間ほどプレイしてみたが、戦闘は7.62系のようなクセがなく、アサルトでもステルスでも自由なプレイスタイルで遊べて思ったよりまともな作り。しかし、部隊で行動させるより一人のキャラを操作して動かす方が楽でJAぽくはないのだが、もう少し進めば傭兵同士力を合わせる必要も出てくると思われる。序盤はお金がなく、少数の傭兵を操作して敵の装備や物を漁り、商人に売ってそれで使えるものを入手していくという感じでJA1のサバイバル生活に近い。JA2では商人がほとんどいなくて、おまけに通販アイテムが一番使い勝手が良かったので、人からアイテムを買ったり売ったりすることはほとんどなかったが、BiAではその辺のバランスがうまい具合に調整されていて、自給自足の戦いを再現している。ただ、いずれお金が溜まってくると通販頼みになりそうだし、BiAは傭兵買いきりだし、民兵にお金を使わないし、後半はJA2と同様に通販くらいしか使い道がなさそうでどうなのかなという具合だ。

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