人気作家アランウェイクが不条理な出来事に巻き込まれていくアクションアドベンチャー。内容はObsCure(光と闇の要素)+バイオ4(照準がライト)+サイレントヒル(夢と現実の境界線が曖昧で不条理な物語)という感じで目新しさはなく、光と闇の要素はObsCureの方が上手く利用しているし、バイオ4ほど戦闘システムに深さがあるわけでもない。
敵の闇をライトの光で剥がし、そこを銃撃するというシンプルな作りで操作性はバイオやサイレントヒルのようなクセはなく、遊びやすさを重視している。バイオ4はレーザーポインターの点が照準代わりだったが本作ではライトの円が照準代わりとなっており、ライトの円を敵に合わせてさえいれば確実に弾が命中し、パッドシューターの趣きが強い。銃撃感や敵が死んだ時のエフェクトは爽快感があり、シフトキーを押すと回避が行えるのだがこの際にスローモーションが発生し、敵の攻撃を避けるのが気持ち良く、アクションゲームとしての感覚はよく出来ている(ただし、このゲームにそういう爽快感が必要かは疑問)。
大したことのないゲームなのかと言えば決してそうではなく、物語展開や演出が魅力的で海外ドラマのようにどんどん次が見たくなるタイプ。現実と虚構が交差した世界を舞台にしており、明確な答えが用意されているわけではないので何でもかんでも理屈を求める人には楽しみづらいかもしれないが、自分で色々と考える余地のある幻想的な物語が好きな人には合うだろう。音声もプロの声優によって吹き替えられており(英語音声も可)、まさに海ドラ気分で没頭できる。主人公の語りが大きな役割を担っているので日本語でプレイできるか否かが大変重要。
物語は書いた覚えのない原稿通りに不可解な出来事が起こっていき、別の世界にもう一人のアラン(原稿を書いている方)が存在するようで興味深い話になっている。メタ的なスティーブンキングの話が随所に出てきたり(殺人ブルドーザーも出てくる!)、ゲーム中のドラマ「ナイトスプリングス」では多世界解釈(量子自殺)や平行世界(鏡の中の自分・ドッペルゲンガー)の可能性を示唆しており、このあやふやな物語を紐解く上でヒントになるのではないかと思う。
まだゲーム途中なのでなんとも言い難いが、個人的にはネバーエンディングストーリーが頭に浮かんだ。ネバーエンディングストーリーは本の世界の主人公が実は本を読んでいる自分自身で夢と希望を失わなければ幻想世界の物語は終わることはないという話なのだが、妻を存在させる為に原稿を書き続けるアランと不条理な原稿の内容に翻弄されていくアラン(プレイヤー)の構図がなんとなくそれを思い出させた。今の段階ではアランは少なくとも三人存在しているように感じる。プレイヤーが操作しているアラン、原稿に書いた出来事が現実に影響を起こすと信じて原稿を書いているアラン(TVの中のアラン)、そして書いた通りの出来事が起こる世界を舞台にした小説を書いたアラン(ゲーム中には存在しない)。各々で解釈の仕方が違うだろうし、良い意味捉えればそれだけ色々な楽しみ方ができるということだ。
ただ、それだけ物語展開が面白いだけに大したことのない戦闘が本当に邪魔に感じる。アクション部分はクセがないので好きな人は好きだろうが、個人的には物語の方にしか魅力を感じないので戦闘なんかよりも続きを早く見たい。例えるならツタヤで海ドラを借りて、面白かったので続きを借りに行ったのだが全部貸出になっていたようなもどかしさ。個人的にはこの物語なら純粋なアドベンチャーゲームの方が良かったのだが、そうするとアクションゲーム好きには売れないだろうし、難しいところなんだろうねぇ。あと作家のスランプの悪夢が物語の一端を担っているので物書きは胃が痛い思いや共感するところがありそうだ。
それとエピソード毎に武器や弾薬をボッシュートされるので、エーテルやエリクサーを最後まで使わずに残しておく倹約プレイヤーはどうせボッシュートされるんだからと心置きなく使えるので都合が良い。
コメント
良い評判につられて私も購入したのですが、ライトで照らして銃撃というごくごく序盤のアクション部分で、どこに面白いとされている魅力があるのか疑問を感じてしまいました。
UnKnownさんの紹介を読まなかったら、先をプレイしてみようという気分にならなかったと思います。
ただ、私の場合、海外ドラマでも好みのジャンルとそうでないものが存在しますので、その辺をテイスティングしてみたいなと思っています。敢えて言うとしたら、どのドラマに近い感じなんでしょうね? LOST? スーパーナチュラル?
LOSTもスーパーナチュラルも見たことないんですが、海ドラならアウターリミッツ、トワイライトゾーン、X-ファイル、ツインピークス、
日ドラなら世にも奇妙な物語、幻想ミッドナイト、ココだけの話、とかでしょうか。
オムニバス形式の不思議なドラマに近い印象を受けました。私はそういうのが大好物なので序盤から惹きこまれましたねー。
初めの時点で興味を惹かれなかったら合わないかもしれません。
チェックポイントが多く、敵が背後から出現する時はスローモーションで知らせてくれたりして親切設計で難易度自体は低めに抑えられていますのでノーマル難易度なら苦戦することはないかと思います。
ただ、エピソード3辺りはやたらと闇のおっさんが出てきて、テンポが悪く感じられることはありますね。戦闘自体に魅力がありませんから。
森の中を延々と歩かされるのもそういうシチュエーションが好きじゃないとキツイです。ポットと原稿探しで余計に間延びしますし。