「 Deus Ex: Human Revolution 」一覧

Deus Ex: Human Revolution – 尻すぼみ(クリア)

28時間でクリア。後半に行くほど盛り上がりに欠け、尻すぼみ感が否めない。完全なステルスプレイが簡単に出来るようにしてしまっているせいか、初代のように敵が本気で殺しにかかってくる場面が全くなく、シビアさは原作とは程遠い。プレイスタイルの多様性も他のFPSに比べれば豊富なものの、Deus Exの続編としては物足りなく、手軽な部分で小奇麗に収まりすぎている。

貯めまくっていた銃弾を使う場所もなく、ラスボス戦はタイフーン二発で終了し、あまりにも消化不良すぎる。他のボス戦の方がまだマシ。せめてラスボス前に難所を用意するとか出来なかったのだろうか。まったく盛り上がらずに淡々と終わってしまった。序盤~中盤が75点だとすると、後半は50点くらいの出来。それと経験値のシステムは完全に失敗。

エンディングは4種類あるが、最後の選択で変わるだけなのでセーブを取っておけば簡単に全部見られる。エンディングはジェンセンの独白で終わっているのだが、スッキリしない終わり方でもやもやが残った。プレイヤーに想像させたり、考える余地を残しているようなエンディングは別に否定しないのだが、今までやってきた行いが報われないように感じてしまって、余韻は楽しめなかった。

あとエンディングではリファインされたDeus Exのテーマが流れるだろうと思っていたが、結局流れることはなかった。今風にアレンジしたものが聞きたかったのだが。


Deus Ex: Human Revolution – 目的化する手段たち(3)

プレイ時間は26時間を越えたがまだクリアできる気配のない人間革命。過去作に負けず劣らずのボリューム感だ。最近のFPSに比べると明らかに長いが、多様性のあるプレイで単調感を補っている。しかしながら、前々回から言っているように、ハッキングや敵を倒すことで経験値が得られるようになっている為、行動が制限されてしまう。

パスワードを入力してロックを解除すると経験値が得られないからハッキングせざるを得ないし、アラーム装置もハッキングすると経験値がもらえるからハッキングしなくてもスルーできる場合でもハッキングせざるを得ないし、敵を倒すと経験値がもらえるから倒さざるを得ないし、銃で倒すと10~20XPしかもらえないから50XPをもらえる気絶か暗殺を選ばざるを得ないし、ダクトを通ると探索報酬として経験値が100~300XPもらえるからすべて探索せざるを得ないというわけで、最善の方法を選択すると制約だらけの運動会と化す。

クリアするための手段が目的化してしまい、私としては気持ちよくプレイができない。初代と同じように経験値はクエスト報酬だけで良かったのではないか。すべての行動に何かしらの報酬を与えることでプレイヤーのモチベーションが高まるのは事実だが、本作ではそれが極端過ぎる。初代の主人公は初めは銃撃がまともにできず、戦闘力が低かった為、ステルスした方がスムーズに進めるので自然とステルスプレイをするようになっていたが、今回は初めから普通に銃撃戦をした方が楽に進めるほど強い主人公なのに、経験値という名の悪魔がステルスしろと命令し、ステルスプレイを半ば強制されているようなものだ。もはや何の為のステルスなのかが分からない。

ボスは光学迷彩して隠れながら移動する為、Mark&Trackでマークを付けると探す手間が省ける(ちょこまか動くのでマークしづらいが)。こちらも光学迷彩を使用すると相手は完全に見失うため、攻撃が容易になる。普通の銃だと音でバレてしまうが、サイレンサー付きのアサルトライフルやピストルなら見つからずに攻撃できる。色々と方法はあるが、光学迷彩&サイレンサー付アサルトライフルの乱射が一番スムーズに倒せる方法ではないだろうか。アサルトライフルのダメージを強化しておけば一瞬でカタがつく。

経験値システムは明らかに失敗だが、ゲームプレイ自体は意外と健闘している。Eidosなんて出涸らしの塊とばかりと思っていたが、ここまでやれることに驚いた。もちろん、初代を超えるような完成度や新規性はないが、今風のバランスに最適化されたDeus Exと考えれば悪くはない。普通のアクションゲームに完全に飽きている私が26時間ぶっ続けに近い状態で遊んでいるので、それほど夢中にさせてくれるものがあるのは事実。円高で価格自体が安いし、ボリュームは水増しされてたっぷりあるので値段分は十分遊べるだろう。しっかし、前にも言ったけどハッキング多すぎじゃなイカ。

有りがちと言えば有りがちだけど、あの人が「あいどる」だったのは驚いタナー。


Deus Ex: Human Revolution – 快感♥電子(2)

デトロイトから上海へ。初代と同じく、上海は薄暗くて小汚い。全体的な雰囲気は初代を彷彿とさせるものがあり、原作に対する敬意を感じる。幸か、不幸か、生気を感じられないAIの動きも似ている。

全然関係ないが上海の掲示板に貼られている失踪者の写真が某フィギアスケート選手ぽい。

上海は立体的な作りになっているので落下のオーグメントがあると便利だ。落下時に左クリックを押しっぱなしにしていると地面を叩きつけ、周囲の敵を吹き飛ばす。これはアサルトプレイな人にオススメか。ただ、落下中はアニメーションが表示される為、過去作のように落下中に移動制御が効かない。完全な垂直落下しかできないのが辛いところ。落下中は反重力制御的な動作でふわっーと落ちていくのだが、どうせならこれは主観視点で体験がしたかった。ふわふわタイムを自分の視点で楽しみたかった。

主人公の記憶に関する話題が現れ、これは記憶屋ジョニイ的な展開があるのではと想像する。初代がニューロマンサーエンドだったわけで、今回はカウント・ゼロや記憶屋ジョニイをネタにしたとしても不思議ではない。主人公の名前がアダムなのだから、カウント・ゼロのごとく電脳世界にイブ的な存在が現れるとか、メーガンが思わぬ形で復活するといった展開もあり得る。

一度に二人以上を気絶させるマルチテイクダウンは発動しない時もあるのが怖い。普通なら二人を気絶させるには2スロットのエネルギーが必要になるが、そこを1スロットで一度に済ませられるのは便利なものの、発動しないこともあるのでは意味がない。

特定の壁を破壊するオーグメントは、破壊できる壁は決まっているものの、重要な場面でそういう壁が配置されているので取っても悪くない。壁の周辺に敵が居れば転倒させることもできるし。デトロイトか、上海かは忘れたが、壁を壊さないと到達できない場所に隠し部屋があって、そこにPraxisがあるので元は取れるはず。

グレネードは1個につき、1スロットが必要だが、威力が強力なので持っておくと何かと役立つ。人間相手ならグレネードを使うまでもないので、爆発や毒ガスタイプは重要ではないが、EMPグレは多脚ロボを一撃で破壊できるので使い勝手がいい。

小さなロボットはハッキングすることで味方にすることができるが、自分で操作できないのは残念。それにロボが敵を倒すと20XPの経験値しか手に入らないので有難みがない。気絶や暗殺で倒して50XPもらった方が得。アサルトプレイでは10~20XPで、ステルスプレイなら50XPもらえるという設定なのでもったいないシンドローム患者としてはステルス推奨。敵を10体倒したら300XPも差が出るのは大きすぎる。それにミッション中に一度もアラームを鳴らされなければ追加報酬で500XPももらえるのでステルスせざるを得ないだろう。

この仕様はプレイの幅を狭めている感が否めない。ボス以外の敵はステルスで倒せるようになっている為、もう15時間以上プレイしているのだがまともに銃撃戦をやった試しがない。あとロボットは破壊すると40XPもらえるので、ハッキングして仲間にしても最後は壊した方がいい。

ボスは消化器やグレネードを投げて、銃を撃つだけの簡単なお仕事。相変わらずというか、単なるゴリ押し戦で面白みに欠ける。初代のガンターやアンナ戦もそんな感じだったので原作へのリスペクトととれなくもないが、ここはもう少し頑張って欲しい。Alpha Protocolの方がよくやっている。

それとボスは絶対に倒さなければならず、避けられない。自由度としては過去作に劣る。ボス部屋には武器がたんまり置いてあって、ステルス用の人でも積まないようになっているがご都合主義的。何かの装置を作動させて倒せるようなルートもあった方がベターではないか。一番良いのは初代のようにボス的な存在でさえ無視できることだが。

インベントリを最大まで拡張したが、それでもスロットが足りない。クロスボウやロケラン、ミニガンは場所を取り過ぎるのでなくなく諦めて、店に売った。取捨選択もDeus Exの重要なファクターなのは重々承知しているのだが、VTOLに保管箱的なものが欲しい。それと格闘アニメーションが採用されたことで、近接武器がなくなり、窓ガラスを自由に割れないのはどうにかしてほしい。窓ガラスフェチの私としてはこの点は低評価にせざるを得ない。青龍刀やドラゴントゥースソードで窓ガラスをぶち割れないゲームのどこがDeus Exなのか。どうせやるなら窓ガラスを叩き割る格闘アニメーションも作って欲しかった。

ロックピッキングはハッキングへと集約された為、ハッキングさえ鍛えておけばほとんどの扉は開けられる。初代では取捨選択しなければならない場面が多く、開けられない扉がたくさんあって、後ろ髪を引かれる思いをしたのだが、今作ではそういった傾向はない。しかしながら、探索すればするほどボーナス経験値が入るので、さっさと先へ進みたい場合もすべて探索してからじゃないと先へ進みづらい面はある。

ハッキングのミニゲームは、こういうミニゲームの中ではよく出来ていて面白い。Bioshockの水道管ゲーは短絡的で、作った人間の頭を疑うほどの出来だったが、こちらは複数回のプレイに耐える内容。しかしながら、ハッキングの数が尋常ではない(マジで!)のは流石にどうかと思う。ロックピッキングが無くなったので、その皺寄せが集まっているのだろうが量が多すぎる。あとメールの量も莫大。これは日本語版じゃないと読む気がしない。


Deus Ex: Human Revolution – 決して悪くはない(1)

サイバーパンクを題材にした近未来FPS/RPG。Deus Ex、Deus Ex:Invisible Warの続編になるが、ストーリーは一作目のDeus Exの前日譚に相当し、オーグメンテーション(義体化技術)が話の中核となる。

今回の主人公はアダム・ジェンセン。義体技術を研究しているサリフインダストリーのセキュリティを担当していたが、ある日武装集団の襲撃に遭い、半殺しにされる。恋人のメーガンの助けによって死は免れたが肉体は半壊していた為、全身義体化で命を取り留めた。ジェンセンはサリフインダストリーの依頼を受けながら、テロの鎮圧や揉み消された事実を探っていく内に世界の陰謀に巻き込まれていくというストーリー。

Deus Exの特徴である”自由度”は今回も健在といっていい。アサルト/ステルスどちらでも攻めることが可能で、マップ内のルートも一本道ではない。銃撃で真っ向から戦うか、一人ずつ暗殺していくか、天井やダクトをを通ってスルーするか、どれを選ぶかはプレイヤー次第。エリアの規模はIWと同じくらいだが、ロード地獄のIWとは異なり、こちらは一つのエリア内ではロードが発生せず、スムーズなプレイが可能となっている。

ただ、スケールが大きく立体的な作りだったDeus Exに比べると、本作はこじんまりとした印象は否定できない。クエストエリアと街エリアは地続きで、ストーリー的に戻れない状態を除いていつでも行き来できる。クエスト途中で弾丸が無くなったので武器屋で補充なんてこともできる。

一番初めのミッションでは会話の選択肢によって装備が変わってくる。アサルトプレイの場合はアサルトライフル、ステルスで遠距離戦の場合はトランキライザーガン、ステルスで近接戦の場合はスタンガンという風に自分のプレイスタイルに合わせた装備品が支給される。それ以降も選択肢によって条件が変わったり、サブクエストを引き受けるか否かも選択可能。

また、テロリストと交渉する場面でも選択肢で結末が変わる。テロリストを上手く説得して止めさせるか、それとも火に油を注いで人質を殺害させるかもジェンセン次第だ。交渉シーンは緊迫感があって面白いのだが、キャラクターの造形は最新ゲームらしい作りの癖にフェイシャルアニメーションが前時代的(IW以下じゃないか?)で顔の表情が固く、声と表情がいまいち合っておらず、会話シーンが非常にぎこちない。会話が多いだけにこれは致命的と言わざるを得ない。義体化技術が未発達で表情の研究が進んでいない為、サイボーグは表情が乏しく能面というのなら納得できるのだが、生身の人間も顔筋が死んでるから困る。身振り手振りが過剰なだけに余計に顔面死亡が目立つ。

例えば、暗殺時の首絞めアニメーションなら、焦って苦しそうにするとか、驚いた表情をするとか、いくらでも出来るはずだ。しかし、本作はまったく努力が見られず、首締られようと殴られようと”真顔”か”目をつむる”くらいである(苦しそうなアニメーションもあることにはあるが真顔パターンが多いために真顔が目立つ)。クールにもほどがある。2020年代にはサイレントチルドレン症候群が流行しているとか、そういう設定なのか。

現実的にそういう状態の場合、真顔が正しかったとしても、映像表現でそれはあり得ない。主役に斬られたら、切られ役は大仰に苦悶の表情を浮かべながらバッタリ倒れる、それは当然のことだ。これがスプリンターセルなら、口を食いしばって半目とか、アヘ顔ダブルピースくらいの芸当はする。FPSの癖にドヤ顔で客観視点の暗殺アニメーションをするくらいなら、そこはちゃんとやれ。まともなアニメーションすら出来もしない癖に中途半端なことするな。主観視点に徹しろ。余計なことして没入感を殺すな。

過去作のバイオモッド要素はすべてオーグメンテーションに吸収された。オーグメンテーションは21種類用意されており、エイム強化・防御強化・落下ダメ無効化・光学迷彩・インベントリスロット増加・ハッキング強化・レーダー強化・ジャンプ力・スピード強化・雑音低減・腕力強化・エネルギー強化などがある。

アクティブ系のものはエネルギーを必要とする。エネルギーやヘルスは自動回復の為、回復には困らない。回復アイテムはお馴染みのチョコバーやジュースなどがあるが、速攻で回復したい時に必要になるくらいで、過去作よりも必要性は大幅に下がっている。

エネルギーは暗殺時(なぜ首を締めるだけなのに必要なのか。サイボーグの癖に生身の人間よりもひ弱じゃないか)に一スロット必要になる為、序盤は暗殺の連発ができないようになっている。ただし、暗殺はボタン一つで確実に殺せる為、これぐらいじゃないとバランスが吊り合わないという判断だったのかもしれない。

大きくて重いオブジェクトを運べるようになる腕力強化は過去作に比べると使い勝手が良くなっている。今までのシリーズでは腕力強化はコストに見合わず、利用価値は低かったが、今回ようやく本来意図した使い方ができるようになったとみていいだろう。足場を作って壁を乗り越えたり、敵にレーザープリンターをぶつけて転倒させたり、大きな音を立てて引き寄せたり、入り口に自動販売機を置いて出入りできないようにしたり、色々と使い道があり楽しい。すべてのオブジェクトを動かせるわけではないが、触れるものやアイテムは黄色い輪郭線が表示されて知らせてくれる。

オーグメンテーションは経験値を獲得したり、Praxisアイテムを入手することでポイントを分り振れるようになっている。経験値はクエストをクリアするのはもちろんのこと、脇道や隠し部屋、ハッキングや敵を倒すことで手に入る為、敵は片っ端から倒した方がよく、コンピューターのパスワードを知っていたとしてもハッキングで解除した方がいい。ただし、敵をスルーすると殺害した時の経験値が手に入らないので、プレイの幅を制限しているような感じもする。

倒した敵は引きずることができて、他に見つからないように隠せる。死体からアイテムをルートも可能で、使っていた銃は必ず地面に落とすようになっている。

私は銃を使っていた敵を倒しても銃が手に入らないような非現実的なゲームが大嫌いなのだが(敵を倒したら身ぐるみをはがせるのが当然という考え。剣士が剣を落とさないとか絶対におかしい)、本作ではそのあたりはまとも。ただし、銃は一つしか持てなくて、重複する場合は弾丸のみ手に入る仕様。

敵のAIはステルスプレイもできるように鈍感なバランスで、背後から近づけば100%見つからず、視界の範囲も狭い。警戒状態もすぐに解けるのでステルスを維持しやすい。また、右クリックでカバーができることで壁から壁への移動が容易になり、客観視点によって周りの状況が探りやすくなったのも難易度低下に繋がっている。それにより過去作よりも難易度はかなり低く、このあたりは批判があるかもしれない。

私はステルスで攻めているのでアサルトに関してはまだ不明。銃弾がたんまり手に入るし、ヘッドショットなら一撃なので強引にいけばサクサクいけそうな気がする。一発のダメージ量が大きく、連続して攻撃をくらうとすぐ死ぬようになっているが、防御強化してカバーを駆使すれば耐えられるだろうし。

これまでおもちゃっぽい銃撃感だった点は、今作でだいぶん改善された。銃声は篭り気味ではあるが迫力はあるし、マズルフラッシュも派手で綺麗、マシンピストルやアサルトライフルを連射すれば銃身も跳ね上がる。

インベントリはお馴染みのスロット方式。初めは半分のスロットしか使えないが、オーグメンテーションを強化することでフルスロットになる。武器はアタッチメントを装着することにより強化が可能。好きな武器を強化していけばいいだろう。武器の取り扱いは初めから普通に使えるレベルで、Deus Exのようにスキル値で命中率は変わったりはしないので、好きな時に好きな銃で戦えるようになっている。Deus ExのようなRPG的制限が好きな人には不評かもしれないが、シューター好きな人には今作の方が好まれるだろう。

どうせ残念な結果にしかならないだろうと期待値をゼロにしてプレイしたが、昨今の残念な二番煎じゲーに比べればマシな出来。無難な作りで新規性はなく、冒険はしていないが、過去作への敬意は感じられるし、原作レイプにはなっていない。しかしながら、過去作に比べるとお手軽感が強いのは否定できない。ステルスアクション自体が少ないので、そういったゲームをお望みの方やFPS/RPGが好きな人ならそこそこ楽しめる作品に仕上がっているのではないだろうか。