高校時代の友達から連絡があった。
彼とは高校卒業以来、会っていない。
約6年ぶりの再開となる。
私は高校からケータイを変更していないため(ちなみにD504iだ)、彼のアドレス帳に番号が残っていたようだった。
お互いの近況についてぎこちなく会話を交わす。
数分ほど話し、夕飯の約束をした。
その人とはあまり親しくなかったので、再開するのは気が重かった。
しかし、せっかくの機会だからと勇気を出したのだ。
いつもなら面倒くさがって、会おうとしなかっただろう。
そして、約束した場所で再開。
「全然変わってないね」
「そっちも」
店へと入り、ニラレバとフライドポテト、わかめスープを注文。
咀嚼時間を稼げそうなラインナップを選択した。
レバーは噛むのに時間がかかるし、フライドポテトは量が多いから時間が稼げる。
会社や友達のことなど、当たり障りのない会話をしながら時間が過ぎていく。
しかし、一時間半も経つと話題は尽き、水とホットコーヒーのおかわりで時間を稼ぐしかなくなった。
すると、突然、友達がある商品について話を切り出してきた。
「いま良い話があって、商品がものすごいんよ。絶対に驚く!」
「何の話?どうすごいの?」
「俺からは教えられない。ちょっと待ってて」
そして、彼はどこかへ電話をかける。
説明役の人が十数分後に到着するとのこと。
「わざわざ呼ばなくてもいいよ」と私は言ったが、「まぁまぁ。ちょっと待ってて」と宥められた。
十分そこらで説明役の人が来た。
年は三十手前だろうか。物腰穏やかで優しそうな人だった。
吉川晃司ばりのグラサンをして、金ピカのアクセサリーをジャラジャラ付けた中年の小太りおっさんが来るんじゃないかと内心ビクビクしていたが、一安心だ。
そして、説明役の人はプレゼンテーションを開始する。
彼はパワーポイントと実物を用いながら、丁寧に一つ一つ説明してくれた。
彼のプレゼン能力は達者で、たくさん場数を踏んできたことがわかる。
言葉巧みな話術には尊敬の念を抱くほどだ。
商品のことは少し知っていたが、まったく知らないふりをしてすべて聞いた。
要約すると彼の話は、とある商品を用いた連鎖販売取引だった。
商品を配って利用料を取ったり、子ネズミを作って紹介料を頂くというやつである。
契約内容を見ると、クーリング・オフのことについてしっかり明記されているし、還元率やシステムも比較的まとも。
しかし、つい先日、某電話会社がその商品に関連する事業の全株を譲渡したのを知っていたし、他に類似する商品が存在し、全然普及していないことも分かっていたため、先行きが暗そうなのは察しがついた。
断ろうとしたのだが、彼らの話はなかなか終わらず、うまく切り出せない。
年収数億の社長さんや芸能プロダクションの偉い人も参加していて、これを見た人は商品のあまりの素晴らしさにすぐに契約を結んだ、などの話をくり返し聞かされる。
まるで宗教信者のようだ。
その挙句、大規模な懇親会が今度あるから是非参加してほしいとまで言われた。
「参加するかはあとで返事する」と言い、なんとか帰宅することができた。
友人と数年ぶりの再開。
それはマルチ商法の誘いだった。
こんなことじゃなく、普通に会いたかったのに。
ビジネス目的で連絡してきたことが悲しかった。
Mass Effect 2とUKTSをプレイするはずだった時間を返してくれ。
コメント
なんというNHK
自分も同じ目にあったことあります
約4時間も喫茶店で拘束され延々と商品の素晴らしさを…
久々の友人との出会いだったので悲しい思いでした
ちなみに懇談会だけは絶対に行かない方が良いですよ!
僕を誘った友人もその類の会合で折れさせられてしまいましたから
本当に、OKを言わないと帰れないような状況に追い込まれるそうです
しつこく誘われても絶対断るべき
・・・マルチ商法って自分の中では都市伝説かと思ってましたけど、ホントにあるんですね。
自分はまだこういう事態に会った事はありませんが、
気をつけるように心がけようと思います。
プレイ時間(←重要)を取られた揚句にわけのわからん物を押しつけられて・・・
ホント、最悪ですね。
ありすぎて困る!(^o^)/
古い学友からの連絡は「9割それ系」と思っています<本当
事実、その手の連絡があったとき、私も対抗に一人連れて行きました。
場所指定を向こうがしてきたら怪しいですね。
私の方も「こっちのどこどこで会おうよ~」って、最初の場所とシマが外れる場所を指定しなおすと、渋ったりしますね。
実際に会ってみたらやっぱりな~、と。
精神的にきついと思いますが、元気出してください(^o^)/
なぜわかめスープを頼んだ
「グローバルTPS物語」みたいなのが身近で起きると本当に怖いな・・・。
お疲れさま。そんな心の隙を悪用して勧誘する知人とは見切りをつけないと駄目だ。はっきりNOと言うべき時だった。そんなトリッキーな勧誘で友人を巻き込んで金儲けしようなんて普通じゃない。
>>ishigennさん
よくある事例みたいですね。
仕事の人から誘われたことはありましたが、友達(友達というよりクラスメイトですが)からは初めてだったのでショックでした。
>>Urakageさん
久しぶりに知人から連絡が来たら気をつけて下さい。
>>Ruiさん
励ましありがとうございます。
>>匿名さん
わかめスープは大きなスプーンでちびちび食べることが多いので時間をつぶせるんです。
もし話題が切れて、沈黙が訪れたとしても「ぼくは一生懸命わかめスープをすすってますよ」アピールをすれば大丈夫なのです。
>>dfさん
ほんと人間不信に陥りそうです。
>>T5さん
その場で断ると気まずい空気が訪れたり、説明役のスペシャルエージェント(笑)の態度が豹変するのが怖かったので、あとで返事すると言った方が賢いと判断しました。
昔はそんなやつじゃなかったんですけどねぇ・・・。
目を輝かせながら、熱のこもった口調で「この商売すごいやろ」と話す姿に恐怖しました。
昔の知り合いからの突然の連絡ってそんなもんですよ
まあ、知ってても自分がそうなるって気がしないからびっくりするけど
はじめまして^^
ありがちだね。こういうセチュエーション。
久々なだけに、ガックリ。
だから、違う懐かしい友人が連絡を取ってくると、同じに見えてしまう、さびしい固定概念。自分に反省してます^^;
あまりのテンプレ展開にunkさん独特のPCゲーレヴューにおける長い前フリかと思ったのに…
どうも、いつもROMでレビュー読ませてもらってます
本当にこういう事ってあるんですね…
悪いのは向こうなんて、気にしなくて良いと思いますよ
気力があればなにかネタを交えられたかもしれません。
その日はあまりにもうんざりして、愚痴しか吐けませんでした。申し訳ありません。
もし私が丑の刻参りをマスターしていたなら、相手を呪い○しているレベルです。
>>mzさん
お心使いありがとうございます。
そのコメントに救われました。
よくあることですよ、俺もひさしぶりと思ったら・・・・・うわーんでしたw