Darkest of Days 感想 – 人生を再考するタイムトラベルFPS

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もし過去に戻ることができて、歴史を変えられるとしたら、あなたはどうするだろう。つらいことがあったら、その前に戻り、違う選択をするだろうか。それとも一度決めたことには責任を持ち、その人生を歩むだろうか。日々の生活の中でやり直したいと思うことはたくさんある。ほんの些細な出来事から、大きな失敗まで数え上げればきりがない。しかし、気に入らないことがある度にやり直すのは果たして正しいのだろうか。なんでも自分の思い通りにできるのは確かに魅力的だが、本当にそれでいいのだろうか。

Darkest of Daysは過去へのタイムトラベルを題材にしたFPSだ。19世紀の騎兵である主人公のモリスはリトルビッグホーンの戦いで重傷を負い、命の危機に晒される。そこに突然、未来からやってきたというエージェントのデクスターが現れ、救助されるのだった。ワープした先にはマザーという管理者が居て、モリスは正史を守るタイムパトロールの役目を任命される。彼は歴史の記録に残らない死亡者だから都合が良いのだという。かくして、モリスとデクスターは正史の観察と失踪したコーエル博士の捜索を始める。そこで歴史改変の痕跡を発見し、それに他の組織が関与している事実を掴むのだが―――。

ストーリーはタイムトラベルに因んだ時間改変をテーマにしている。伏線がうまく散りばめられており、先の読めない展開にグイグイと引き込まれる。特にオポジションと呼ばれる敵組織が本格的に現れてからは非常に盛り上がり、展開に目が離せない。エンディングでは伏線の回収がしっかり行われ、納得のいく説明付け(タイムパラドックスの問題はこの際無視するとして・・・)もされている。ただし、続編を匂わすようなところで終わっているため、人によってはもやもやが残るかもしれない。大手メディアでは酷評されており、続編は出なさそうな雰囲気だが、是非とも続きを作ってほしいものだ。

リテール版、ダウンロード版のいずれも日本語訳が含まれているのでストーリーやミッション内容は問題なく理解できるだろう。ストーリー展開が魅力的なゲームなのでこれは助かる。ただ、字幕の右端一文字だけが見切れるのと文字がゲーム画面に紛れて見にくい点はなんとかして欲しかったところだ。文字色を変えられるが色が薄すぎるし、テキストウィンドウや文字の縁取りがあった方が見やすいと思う。

ゲームの舞台は第一次世界大戦、南北戦争、インディアン戦争、ポンペイ最後の日など、マイナーな戦争がフィーチャーされており、ユニークな体験が楽しめる。マスケット銃を持った歩兵の横列一斉射撃が見れるのはこのFPSぐらいではないだろうか。大量の歩兵がズラーっと並んでいる光景は圧巻だ。

ちなみに史実はそれなりに再現しているようだ。しかし、あくまで本作はタイムトラベルもの。普通に戦争をするだけでは終わらない。主人公たちは未来の兵器を使用することができ、危機的な状況に追い込まれるとそれのお世話になる。マスケット兵、ローマの兵士、ドイツ兵をアサルトライフルやショットガン、時にはロケットランチャー(ジャベリン)で殺戮できるのだ。あまりにも一方的すぎるのでシューティングゲームとしてはどうかと思うが、旧時代の人々を未来兵器で大量殺戮していく異常なシチュエーションは風変わりで興味深い。ゲームをクリアした後は好きな武器を所持してリプレイできるようになっており、思う存分「ウラーッ!(ロシア語)」が堪能できる。

ミッションはCall of Dutyのような一本道とFar Cryのようないくつかの目標を自分の好きな順番でクリアしていけるものに分かれる。割合的には前者のタイプが多い。ゲーム性はタクティカル寄りの設定になっている。武器が単発式のものが多いので一発撃つごとに隠れる必要があり、なかなかアグレッシブに攻めることができない。おまけに敵の数も多い。アクティブリロード(リロードした時にタイミングよくキーを押すとリロード時間が短縮される)が成功したとしてもリロード時間が長いため、物陰に隠れていることが多くなる。

ヘルスは自動回復方式だが、回復速度が遅く、死にやすい。移動速度は速いし、ジャンプ力が高いのでCall of Dutyタイプと思ってしまうがアクションシューター寄りではない。

だが、未来兵器を入手した時は別だ。アサルトライフルやショットガンで乱暴なプレイも楽しめる。とはいえ、前述した通り、回復速度が遅いし、開放的なフィールドが多いので複数の敵に狙い撃ちされるとあっさり死んだりする。油断は禁物だ。

青い光を放っている敵は歴史に影響を与える重要人物だ。この人物を殺さずに回収用のアイテム「チェイサー」で捕縛すると武器のアップグレードポイントを獲得し、性能を上昇させられる。このシステムは乱暴なプレイを抑制し、タクティカル性をより高め、ストーリー内容にも絡んでいるうまいアイデアだと思う。

ちなみにこの人物を殺すと他組織(オポジション)がワープしてきて主人公を襲ってくる。こいつらを撃退すれば未来の武器を入手できるので、敢えて挑戦するのもアリだろう。ただ、あるイベントが終わるまではオポジションは堅固なシールドを装備しているので倒すのは難しいかもしれない。

Darkest of Days 感想まとめ

タイムトラベルもののストーリーやマイナーな戦争のシチュエーションに興味がある人は楽しめるかもしれない。歴史体験アドベンチャーとして考えるなら、悪くない作品だと思う。個人的には最後までとても楽しめた。シューティングはクセが強く、テンポがゆったりとしている。のんびりとした戦争が好きな人には合うかも。逆にCall of Dutyのような軽快なアクションシューティングを求める人には合わないだろう。ミッションは一本道じゃないものもあるし、急かされるようなところは少ないが、全体的にやらされている感は強い。

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