宇宙をまたにかける男、コマンダー・シェパードを主人公とする銀河冒険活劇第二弾。今回も危機に晒された銀河を救うために命がけのミッションに挑むことになる。また、アクション性に磨きがかかり、より本格的なTPSを楽しめるのも大きな特徴になっている。
総勢12人の仲間達によるヒューマンドラマ
今作では総勢12人にも及ぶキャラクターが仲間になる。ゲームの一応の目的は銀河を救うことだが、どちらかというと仲間集めが主題で、そこに焦点が当てられていると言っても過言ではない。それぞれのキャラクターは個性豊かな面々ばかりで、一人ずつに専用のプライベートミッションが用意されている。そこでは血縁の問題や部族抗争、復讐劇や色恋沙汰などが描かれ、人物像が深く掘り下げられており、仲間に対する愛着を強める。ベタな展開が多いが、逆に言えば王道的。ヒューマンドラマに抵抗が無いなら間違いなく楽しめるだろう。
しかし、本来のメインミッションはボリュームが少なく、あっという間に終わってしまう。今作は物語の進展がほとんどなく、ミステリー要素も少ないため、前作のようなセンスオブワンダー(胸をときめかせる不思議感)に欠ける。また、サレンのような分かりやすいアンチヒーローも不在であり、メインストーリーだけに期待すると物足りなさが残るかもしれない。
さらに深まる世界観
前作では少ししか触れなかった、それぞれの種族の生態が深く描かれている。前作で疑問を持ったり、興味を持った生態をしっかり体験できるのだ。いろんなキャラクターに出会うことで、その種族に対する印象が変化することもあるだろう。異文化コミュニケーション体験がよくできている。
マップや建造物も一つ一つ丁寧に作られており、バリエーションに富んでいる。SFが好きな人なら胸をときめかせること請け合い。見せ方が非常に巧みで、つい立ち止まって注意深く観察したり、強く印象に残る風景が目白押しである。
秩序か混沌か
前作同様、会話や選択肢の分量が多い。まったく正反対の選択も用意されており、問題に対してなるべく平和的に解決することもできるし、逆に暴力的に強引に片付けることも可能になっている。今作ではQTE的なアクションが追加され、アイコンが表示されている時にボタンを押すとパラゴン(平和的)/レネゲード(暴力的)な振る舞いを行える。選択肢を選ぶよりも直感的で分かりやすく、文章のみならず行動まで選択できるようになったのは良い改善点と言えるだろう。
終盤にはコマンダーであるプレイヤーの選択が仲間の生死を分けることになる。前作のような絶対に避けられない生死とは異なり、今回はきちんとベストな選択をすれば全員生還も不可能ではない。プレイヤーの手腕と判断能力が試される熱い展開が待っている。
戦闘はより本格的に
前作も戦闘はリアルタイムなTPSだったが、今回はそれにさらに磨きがかかり、より本格的なTPSが楽しめる。遮蔽物へカバーしてから乗り越えることもできるようになり、アクションの操作感は改良されている。ミッションは仲間を二人選択して、計三人で挑むことになり、仲間へは逐次命令可能だ。仲間にバイオティックという魔法を使わせ、そこへプレイヤーが銃撃を加えるような協力プレイもできる。主人公のクラス次第では、自分もバイオティックが使えるので、単純な銃撃戦に留まらない点が本作の戦闘の魅力だ。私なんかはバイオティックで敵を吹き飛ばすのが楽しくて、バイオティック中心で戦っていたくらいだ。
レベル制ではあるが、スキルが簡略化されており、前作ほどレベル依存は高くない。そのお陰でミッション選択の自由が生まれ、どのミッションから挑戦してもいいという風になっている。だが、育成の楽しみが減っているのは確かで、キャラ育成が好きな人はマイナスに感じるかもしれない。
また、ハッキングや電子ロック解除はなんでも主人公ができるようになってしまった為、ミッションにおける科学者や科学技術のスペシャリストの存在感が薄くなっている感は否めない。ただし、ノーマル難易度はかなりぬるいバランスに設定されているので仲間の能力に頼らなくてもクリア可能。好き好きで選んでも問題はないだろう。仲間の力を借りたら少し楽になる程度だ。
装備品に関しても簡略化されており、アイテム数は減っている。しかし、前作の装備品は見た目が似たり寄ったりの色変えバージョンが多く、あまり個性を感じられなかったが、今作は数は少ないものの一品一品が個性的。命中率の高い三点バーストのアサルトライフルがあれば、フルオートだが命中率の低いアサルトライフルもあるし、装弾数は多いが威力が弱いサブマシンガンがあれば、装弾数は少ないものの一発の威力が高いサブマシンガンもある。ロケランや火炎放射器、ビーム兵器などの重火器はバラエティ豊かで戦闘を楽しませてくれる。今作では弾薬が有限になったことで武器の使い分けが重要になり、弾薬不足やリロード時間が戦闘の緊張感を高める。
防具は一体型のアーマーもあるものの、好みに応じて各パーツ(腕・脚・頭・手など)を取り替えるのが主流となった。前作のスーツはタイツのようにピッチピッチだったが、今回はアーマーらしくなっている。防具によるステータス補正は些細なものなので、見た目で選んでも問題はない。数値の高い装備を取っかえ引っかえしなくてもよくなり、外見を自由に選べるようになったのは大きい。
前作に比べてシステム全体が簡略化されており、RPG的な煩わしさが減少し、アクションゲームに近くなっている。アイテム管理や売買を無駄な時間と捉えている人には良い改善だが、そういう管理を楽しいと感じる人にとっては悪い変更点と言えるだろう。
誰が望んだ鉱物採掘
装備品や技術を開発するために鉱物が必要となる。その鉱物を入手するにはミッションで手に入れるか、惑星を採掘して獲得しなければならない。鉱物採掘はスキャナーに反応のあった場所に探針を打ち込むことで鉱物が得られる。ちょっとしたミニゲームなのだが、これが単調な作業で面白みに欠ける。
一部の惑星へは降下することができて、探索可能だ。前作のコピー&ペーストなダンジョンとは異なり、それぞれが異なる作りになっており、探索を楽しめせてくれる。探索車両のマコはなくなり、基本は生身で探索することになるが、一部の惑星ではホバークラフトのような小型艇を使用する場面もある。
完成度の高いARPG
スペースオペラが好きで、ヒューマンドラマに抵抗がない人はプレイすべき。ジャーナルにクエストの目的と指示がまとめられており、ギャラクシーマップにもミッションの注釈が書かれているので単語さえ分かればプレイは十分可能だ。だが、このゲームの魅力はダイアログ/ヒューマンドラマ/世界観にあるので文章がある程度理解できないと面白味が半減すると言っても過言ではない。前作同様、英語が苦手な人にとっては厳しい内容といえよう。また、前作からの続きものなので、まずは前作からプレイすることを推奨する。
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