FPS UnKnown >> PCゲーム感想 >> F.E.A.R. 2: Project Origin 感想

F.E.A.R. 2: Project Origin (2009 - Monolith Productions)
丸くなり過ぎた大作

  F.E.A.R. 2: Project Originは洗練された大作FPSだ。一定水準をしっかり満たしており、安心して楽しめる作品に仕上がっている。ロケーションの作り込みや多彩な演出などは前作と比べて遥かに豪華になっており、外見部分には確実な進化を感じられる。
 
 しかし、不満を感じる部分もある。F.E.A.R.シリーズに重要な“銃撃戦”が前作に比べて劣っており、煮えきらない戦闘が延々と続く。前作のような“熱い駆け引き”を期待すると肩透かしを受けることだろう。

仲間と共闘する場面が少しだけあるよ。ストークスさんが可愛いんだ。

 基本的なシステムは前作を強襲している。前作からの大きな変更点はリーン(覗き込み)が廃止された点だ。リーンができなくなったことで遮蔽物に隠れながらの索敵や銃撃ができなくなり、戦術の選択肢が狭まっている。

  レベルデザインはプレイヤーに有利な部分が多く、四方八方から敵に囲まれる場面は少なくなっている。敵の攻めてくるルートは限られており、よっぽどのことがない限りは裏取りされる心配はないだろう。ようやく後半でF.E.A.R.らしい激戦が味わえるようになってくるが、それはほんの一部分に過ぎない。

 一番問題なのはバランス調整が疎かになっている点だ。敵の攻撃力が弱い(主人公のアーマーが頑丈すぎる!)癖に、アーマーや回復アイテムが過剰に配置されている。ノーマル難易度なら回復に困ることなく、アッサリとクリアまで進めてしまうだろう。

  後日、パッチでハード難易度に調整が施されているが、抜本的な解決には至っていない。ダメージ量を変更するだけでなく、回復アイテムの配置やレベルデザインを見直さない限り、前作のような激しい戦闘を演出するのは無理だと思われる。どの層に向けてバランス調整したのかは定かではないが、駆け引き性は前作よりも劣る結果になってしまった。“銃撃戦”がF.E.A.R.の一番のウリだっただけに非常に残念だ。

手応えの薄い銃撃戦が続く…。

FPS史上、未だかつてない衝撃の結末

 今回の主人公はベケットという人物。前作の主人公とは別人だ。時間設定は前作後半からとなっており、別の視点から事件の真相に迫っていく。

 今作でもアルマは健在。ナイトメアシークエンスとして主人公の前に度々姿を現す。今回は成体アルマの登場シーンが多い。成体アルマは単に脅かすだけではなく、様々な姿を見せる。

 なぜ成体アルマの登場が多いのか。それは最後に明らかになる。ラストはFPS史上、未だかつてない結末が待っており、誰しも驚くことだろう。ある人には恐怖を与え、またある人にはトラウマを植えつけるようなエンディングが用意されている。

実はアルマさんの…

単体として見れば優秀な作品。前作と比べると難有り

 隅々まで作り込まれたロケーションは散策するのが楽しく、趣向を凝らした演出のお陰で移動シーンに単調さは感じず、最後まで遊ばせる魅力はある。しかし、銃撃戦の出来が前作に及ばぬ出来だったのが惜しい。続編だからといって「前作よりも銃撃戦はパワーアップしてるはず!」と期待するとガッカリしてしまうだろう。前作と比べられるのは続編の宿命だ。残念ながらF.E.A.R. 2は前作を忘れさせるような出来ではなかった。

・これまでの日記
2009年4月9日 F.E.A.R. 2: Project Origin - イージーかつノーフィア
2009年4月8日 F.E.A.R. 2: Project Origin - 泣かないで一人で
2009年4月7日 F.E.A.R. 2: Project Origin - FEAR改
2009年4月6日 F.E.A.R. 2: Project Origin - 罵られたい前線

2009年4月17日 記