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Tomb Raider Legend(2006-Crystal Dynamics)

■再起を目指し、方向性を一新した新生ララ・クロフト

CGの美女(美少女)と言えばあなたは誰を想像するだろうか。ブラウン管で笑顔を振りまくメディアに作られた生身のアイドルよりも、仮想世界に生きる彼女達は清らかで純潔な存在であり、それゆえとても美しい。例えばヴァーチャルアイドルの第一人者「テライユキ」、人外と戦う「アヤ・ブレア」、あるいは幼馴染な「ティファ・ロックハート」は琴線に触れるものがある。上記は私の趣味なので忘却の彼方へ追いやって構わないが、CGアイドルを語る上でトゥームレイダーの主人公―「ララ・クロフト」を避けては通れないだろう。サードパーソンシューティングの基盤を築いたトゥームレイダーと共にやってきた彼女は生まれのイギリスのみならず欧米のゲーマー達の心をつかみ、熱狂的に支持された事によって社会現象にまで発展し、一大ムーブメントを生み出した。映画も「ゲーム原作は失敗する」というジンクスを見事に破り、異例の大ヒット。日本ではゲームはあまり受けなかったが、映画は成功を収め、今ではトゥームレイダーの名は幅広く周知されている。

そんな人気作の「トゥームレイダー」はファンの声に応えるべく続編が次々と生み出され、長寿タイトルの一つとなっている。しかし、このところその人気にも陰りが見え始め、特に6作目Tomb Raider The Angel of Darknessはマンネリ化を防ぐべくした試みが全て裏目に出てしまい、出来の悪さからファンにも非難され、販売元Eidosの凋落に勢いをつけてしまった。
窮地に追いやられ、選択を迫られたEidosはこれまで開発を担ってきたCore Designから開発元をCrystal Dynamicsに変え、システムをいま一度見直し始める。ファンの求めるトゥームレイダーとはなにか。どうすれば彼らは満足してくれるのか。そんなファンの期待に応えるべく満を持して発表したのがシリーズ7作目Tomb Raider Legend(TRL)となる。

今回のストーリーはアーサー王伝説に纏わる聖剣エクスカリバーの謎が本題となり、伏線としてララ・クロフトが墓荒しを始めるきっかけとなった幼い頃の飛行機事故、母親の死の真相、冒険の途中で失った親友の記憶が折り重なり、メロドラマさながらに展開していく。そこらのいわゆる洋ゲーシナリオとは異なり、堂に入った演出が起承転結をはっきり明確に掲示し、アクション映画的なエンターテイメントに仕上がっており、肩肘張らずに楽しめるだろう。やはり映画化されるゲームにはそれなりの理由があるということか。なおこれまでの設定を引き継いではいるが、オムニバスなシナリオなので今作からプレイしても問題はないだろう。

少女ララ。面影がありますね。
かつての親友アマンダ。いわゆるビッチ。

ララもシェイプアップして綺麗になって帰ってきました。
聖剣エクスカリバー。パじゃない、バーニア噴射のバ!

トゥームレイダーの醍醐味はなんと言っても遺跡の探索、冒険心をかきたてるアドベンチャー要素にある。遺跡の奥深くに眠る秘宝に、どうすればそこに辿り着けるのかを己の勘を頼りに迷宮を試行錯誤しながら探検し、到達できた時の喜びと冒険心で心を満たしてくれるのがこのシリーズの特色である。

ララ・クロフトと言えば、遺跡荒らし。遺跡荒らしと言えば、ララ・クロフトというわけで、今回も世界をまたにかけ、手当たり次第に遺跡を荒らしていく。人並外れた運動神経を活かし、時には知恵を絞って仕掛けられた謎を解きながら。ボリビア、ペルー、東京、イギリス、南アフリカ、カザフスタン、ネパール。一撃死のトラップと謎がたんまりとあなたを待ち構えている。しかしながら、今作TRLは先にも述べたようにシステムや仕様が一新されており、旧作とは趣が若干異なる。いきなりステージに放り出され、どこへ行けばいいのか分からず、漠然としたまま道を探すというのもまたトゥームレイダーのひとつの楽しみであったが、TRLではリニアで道筋も分かり易くなっており、これまでのような探検しているという感じは薄れている。謎を探すという手順を省き、目の前に難関を持ってきて、謎を解かせる事に集約させているのだ。それによってプレイヤーに飽きる暇も与えないノンストップでテンポが良い、ゲーム進行を生み出している。

ゲーム市場の嗜好は時間が経過していけば、変化していくもの。いつまでも同じスタイルがまかり通るとは限らない。ファンのみならず、万人が楽しめるアクションアドベンチャーゲームを模索した結果、行き着いたのがTRLだった。確かに旧作のような「探検」している感触は無くなってしまったが、遺跡を「冒険」しているという雰囲気は今作でも健在である。崖から崖へ飛び、水中を泳ぎ、古代遺跡の番人と戦う。そこには冒険心をくすぐるロマンがある。そしてララ・クロフトファンもきっと納得のカッコイイアクションシーンも満載。Eidos及びCrystal Dynamicsが下した決断は英断だったと言えよう。

運動神経抜群のララさん。見ているだけで惚れ惚れします。
崖から転落死を防ぐアクションが増えたのは有り難い。
銃撃戦はイマイチ。次はここが課題でしょうか。
敵の頭に向かってジャンプすることでバレットタイム発動!
ワイヤーを引っ掛けるところは無いか。よく周りを見ましょう。
カットシーンの途中で咄嗟のキー要求もあるのでご注意を。
東京。うわ~い。ガイジンさんの作ったTokyoだ~。
シークレット大仏。日本人なら誰しもMy大仏持ってます。
2回もあるバイク戦。長すぎてダレてくる。
ハイライトとして必ずステージ毎にボス戦が登場。



■初めての方も入門用に最適

トゥームレイダー=高難易度というパブリックイメージがあるが、今作に関しては優しい難易度に納まっており、手軽に冒険している雰囲気を味わえる。このシリーズに疎い私だがストーリーはシリーズ全作をプレイしていなくても楽しめ、助かった。1作目ではピンとこなかったララ・クロフトの魅力にも芽生え始めた始末だ。そしてガイジンさんの作った東京はとても心地が良い。惜しむらくはボリューム不足なところ。小気味良く進行していくゆえに余計に短く感じられる。

2007年6月3日 記

□Link
Tomb Raider for Japan
Tomb Raider Tour Guides Page
ララの冒険日誌123Plus!
Tomb Raider Chronicles inc.
Lara Croft Online

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