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Duke Nukem 3D

角刈り、レイバン、コワモテマッチョ。ステレオタイプなアメリカンスタイルに心地良ささえ覚えるBuildエンジンの立役者。
悪態や悪趣味なジョークをつかせるなら間違いなくこの人であろう「デュークニッカム」ニイサマ。

かという私もゲーム中のデュークの口癖を口籠もりながら、よく真似したものだ。
「フー ウォンツ サム?」
「レッツ ロック!」
「ハイル トゥ ザ キング ベイビー!」
もちろん知人から白い目で見られていたのは明白な事実である。


□Duke Nukem?
Duke Nukem 3DはApogee Softwareが開発・販売していたDuke Nukemシリーズの三作目に当たり、3D Realms名義で発表されたタイトルである。元々、3D RealmsはApogee Softwareの3Dアクションゲームを担うゲームブランドとして設立されたものであったが、ゲーム市場の3D化への流れとDuke Nukem 3Dの成功から、発売以後Apogee Softwareは3D Realmsに吸収される形となった。

□Game Engine
Buildエンジン。Apogee Softwareと契約を結んだKen Silvermanによって開発されている。エンジン開発者でジョン・カーマックの次に挙げるとするなら彼の名前だろう。Buildエンジンは言わずもがな、Doomを意識して作られたもので、彼はそれ以前にもWolfensteinライクなFPS「Ken's Labyrinth」を開発し、商業化している。以下はBuildエンジンが使われたFPS。
・TEKWAR
・Witchaven
・Witchaven II: Blood Vengeance
・PowerSlave(西暦1999ファラオの復活)
・BLOOD
・Shadow Warrior
・Redneck Rampage
・Corridor 7
他FPSのエンジンがそのゲームのアドオン止まりの中、これだけ幅広く使われたのは異例。他より汎用性が高かったのか、ライセンス料が安かったのか。もしくはエンジンライセンス自体が当時は進んで行われなかったのかもしれない。(技術を流出しないために)


□Game Info
Duke Nukem1と2が横スクロールタイプのアクションゲームであったのに対し、Duke Nukem 3Dでは当時Doomライクと呼ばれていたFPSスタイルのゲームに変わっている。

一作目でマッドサイエンティストの野望を打ち砕き、二作目でエイリアンと対決。本作もエイリアンに捕らわれたベイブ達(美女)を救うというストーリーだが、特に話の繋がりがあるわけではない。

ゲーム本編の流れはキーを捜して道を開き、ゴールを目指すという至ってオーソドックスなタイプであるが、趣向や演出をそこかしこに凝らし高低差を付けたレベルデザイン、ユーモアに溢れた演出やキャラクター、そしてデュークその人の魅力が人気を生む結果となった。(もちろん、シューティング部分が秀逸なのは言うまでもない)

□Shooting
ダメージバランスがシビアな方で、かつ敵の命中率も高い。動き回って弾を避けるよりも、敵を視認して物陰に隠れヒット&アウェイを繰り返した方が得策なスタイル。難易度中(Let's RocK)でも、なかなかの手応えが感じられる。
敵の種類は少ないが、それぞれ攻撃方法が差別化されており、絶妙な配置バランスで飽きさせない。個人的にもオールドスクールなゲーム性ならば、敵キャラに明確な個性(行動)を持たせて簡略化した方が、デザインが異なるだけで同じ攻撃方法の敵をいくつも登場させるよりも良いと感じる。

武器はハンドガン、マシンガン、ロケットランチャーと基本的なものから、センサー爆弾にリモート爆弾、敵を凍らせるフリーザーや敵を豆粒程に小さくする(踏みつける事が可能)シュリンカーなど一風変わった武器も登場する。センサー爆弾とリモート爆弾は敵との駆け引きが面白く、うまく引っかかった時などは非常に爽快。
基本はハンドガンとショットガンで進んでいく。特にショットガンは銃撃感に優れていて、敵に一撃を放つ感じがしっかりと伝わってきて、とても心地良い。

お寒いヤツにはDukeキックだ! 唸る三連マシンガン!

□Level design
舞台の基本はLAの街が舞台の為、同エンジンで言えばTEKWARのような現実的なレベルデザインから始まり、月(宇宙船)や基地へと及んでいく。現実的とは言ってもDukeは'80の映画を意識したかのようなドロ臭さやバブリーな印象、アメコミ特有のアクの強さを持っていて、良い意味でゲームナイズされていると言える。
3D Realms十八番のエログロさや外連味は端々に感じられ、疑似3Dである為、余計にそれを助長させている。完全な3DFPSしかない今では味わえない良さである。もちろん好きな人には堪らない勘違いジャパニーズも用意されている!(同エンジンのShadow Warriorに至っては、更に発揮(爆発)されている)

映画鑑賞はいかがですか?シークレットの中にはシークレット。シークレットのマトリョーシカ。
エイリアンに寄生されたベイブ。「Kill ME…」言う通りに従うと…

グラフィックはDoomと同じく疑似3Dと呼ばれる手法だが、高低差を上手く表現していて、アイテム「ジェットパック」で空中戦を展開出来るなど、制約を感じさせない造りで健闘している。マップに配置されたオブジェクトにはそれぞれ仕掛けが用意されており、プレイヤーをゲームに引き込むのに一役買っている。ゴミ箱や窓は攻撃すれば壊れ、消火栓を潰せば水が流れたり、水飲み場の蛇口を捻って水を飲みヘルスを回復するなどプレイヤーの行動に対して、いちいち帰ってくる反応が心地良い。
シークレットも様々な所に隠されていて、有用なアイテムが手に入るのはもちろんのこと、某ゲームや某映画を皮肉ったような台詞やキャラクターの亡骸などが登場し、シークレット探しが楽しいFPSでもある。DoomやQuakeネタに、スターウォーズやインディジョーンズなどかなり際どい表現もままあり、思わずニヤリとする場面も。

本編は3エピソード構成で、各エピソードの最後にボス戦が用意されている。どのボスも強大で迫力があり、非常に手強い。ゆえになんとか倒せた時の感慨は一塩だ。ボスを倒した後のアニメーションムービーもいかにもデュークらしい展開(悪く言えば悪趣味)で、これもファンを惹きつける一因なのだろう。

言うこと聞かないエイリアンにはお仕置きしてやるぜ!

□Addon
本編の続きとなるエピソード4 Plutonium Pak(拡張パック)が3D Realmsから発表、本編と拡張がセットになったAtomic Editionも後に発売されている。展開は同じくLAから始まり、基地に潜むエイリアンの親玉The Queenを撃退するという流れ。


□Play
いま多くのDOSゲーを動かすのは困難だが(エミュレータで動かすとしてもアクションものは辛い)、有り難いことにDuke Nukem 3Dには二つのWinポートが開発されており、WinXP環境でも問題なく動作する。
JFDuke3D
EDuke

HRP Packは高解像のテクスチャをセットにしたもので、上記ポートで導入する事が出来る。また違った印象を受けて楽しむ事が出来るだろう。(デフォルトのテクスチャは粗いゆえに良いというのもあるが)
HRP Packは個々の環境によっても違うが、ロード時間が長くなるので導入の際は注意して欲しい。

エイリアンもお色直し。

□Modification
Duke Nukem 3Dにはエディターが付属していて、ファイル自体も改変を加えやすいため、ユーザーコミュニティが非常に盛んである。
エイリアン、スタートレック、スターシップトゥルーパーズ、プレデター、シャイニング、スターウォーズ、スパイ大作戦、メンインブラックなどの映画ネタ。
Quake、Doom、Unreal、Dark Force、トゥームレイダーなどのゲームネタ。
バブルガムクライシス、マクロスなどのアニメネタなど。
TC(トータルコンバージョン)MODやパッチ、MAPが遊びきれないほどに盛り沢山で、向こうのコミュニティの広がりには本当に驚かされる。

StarWars MOD

□Duke Nukem Forever!!

長らく期待されている続編の Duke Nukem Foreverは未だ"When it's done"のまま。当初はQuake2エンジンで開発が始められたものもUnreal、Unreal2.5へと変わっている。当時の開発者は既に居なくなり、3D Realms自体が監修や販売の立場になっているため、もしかしたらPreyのように外注委託で突然現れるかもしれない。

いま見てもグラフィックのクオリティは高い。

□オモチャ箱のようなFPS。キミがDoomを愛するなら、ボクはDukeを愛します。

この文章を書くためにプレイを始めたが、ついつい夢中になってエピソード1をクリアしてしまった。手強いシューティングの面白さもさることながら、色んな所に仕掛けられた演出が楽しませてくれる。他のFPSでは無駄だと感じるキー探しも苦痛と感じさせないサービス精神に溢れたFPSだ。現在は入手が困難だがオークションやワゴンで見つけた暁にはWinポートを導入して、この世界を存分に味わって欲しい。

チップははずむぜ!ホラ、もう一枚!
エイリアンとアメフト対決。ベイブの応援が心強いぜ!

□Link
pallas d
DOOMaism
Planet Duke
3D Realms
Jap in Box
Duke Nukem Jam

 

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