FPS UnKnown

 

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Condemned - Criminal Origins

じわじわと迫り来る狂気にボクは圧倒されていた。

現実・虚構の一線が曖昧になり、精神の均衡を失っていく中、
唯一信頼できるのはその場しのぎの廃材だけ。

ここは現実なんだと強く認識するかのように、
いつしか手に食い込む程に強く角材を握りしめている自分がいた。

次第に罪悪感など捨て去り、凶行に快感を得る自分に気づく。
血潮が猛り、躍動が体中を駆け抜ける。
「目の前の敵を嬲り殺せ!」とDNAが轟き叫ぶ!

イカしたオタク集団・Monolithが送る―――
サイコロジカルホラー×メレーコンバットの新感覚FPS。


□Condemned - Criminal Origins
Condemnedは犯罪捜査サスペンスをベースにしたサイコロジカルホラー。
角材やパイプを使う打撃戦を中心に取り入れた意欲的なゲームスタイルのFPSである。

開発は版権物でも良作へと昇華し、オリジナルタイトルもクオリティの高いものを提供し続けるMonolith社。
Xbox360版は2005年11月に発売、PC版は2006年4月に移植された。

□Story
動物が異常な大量死を繰り返し、犯罪者が突如激増した都市の一角。
FBI科学捜査官の一員であるトーマスが連続殺人犯を追っている途中で、何者かの策略にはまり、警官殺しの疑いをかけられる事に。疑いを晴らすためにトーマスは心身を磨り減らしながら真犯人を探すために紛争する―――。

他のメディアではこのタイプのストーリーは見飽きた感が強いが、FPSジャンルに限るとそうでもなく、ガジェットを使ってプレイヤー自ら現場検証を行い、犯人の人物像を徐々に洗い出していく様は新鮮味が感じられ、生物を凶暴化させ・終いには死に至らしめるという不可解な現象は非常に求心力を掻き立てられるものであり、いやが上にも真相を期待してしまった。

結局のところ、背後の怪しげな集団の存在を臭わす程度に収まっており、人間離れした能力を持つ主人公の正体や、ある一帯の生物だけ脳が死んでいく現象、切り取られた口や特定の周波数ー音に関係するものがキーワードの様なのだが、それらがなんなのかを一切明かされない釈然としない終わり方となっていて、残念で仕方がない。

・浮浪者やホームレスが登場している時は、ゾンビのような敵が現れない。
・警察は浮浪者としか闘っていない。
・ローザはゾンビの姿を一度も見ていない。
・寂れた学校にゾンビ化した子供や給食のおばさんが登場する。

暗に示している上記の事柄はなんとなく納得がいくのでまだいい。
だが浮浪者を凶暴化、犯罪を急増させるという異常な現象を生み出した原因に対して、たとえ使い古された陳腐なものでもいいから、何かしらの合理的な説明が欲しかったところだ。

紫外線で証拠探し。現場検証の途中でも、敵に襲われる事はあり、気が抜けない。 心強い唯一の協力者ローザ。助け合う中年と熟女の姿…確かに現実的ではあるがストライクゾーンは絞られる。

□Horror
挿入されるカットシーンが、徐々に正気を失っていくトーマスの心模様をうまく表現しており、それによってプレイヤーに狂気を共感させてくれ、目の前のものが本当に現実なのだろうかと次第に分からなくなってくる点などプレイヤー心理を操るのが上手い。

廃墟化し、非現実と化した現実的なレベルデザインはディティールも細かく作り込まれていて次世代感を感じさせてくれるものであり、廃墟マニアには堪らない怖いモノ見たさ感をくすぐってくれる。ロケーションの種類は雰囲気を壊さない範囲で健闘しているのではないかと思う。

近くでゴトゴトと何かが蠢く音や何者かの息づかいに終始ビクビクし、神経が削られて、じわりじわりと伝わる心理的な恐怖感―――サイコロジカルホラーとしては上々の出来映え。動作が他のFPSに比べれば鈍いのも、TPSのラジコン操作のホラーものの怖さに通じるところがあり、打撃戦に重きを置き、スローペースなゲーム流れにしたのも成功しているのだろう。ホラーを主題にしたFPSは数あるが、近年においては最高峰の仕上がりではないかと個人的には思う次第である。

巧みなシークエンスがプレイヤーを狂気に引き込む。 敵=恐怖の対象であり、一歩たりとも気が抜けない。

□Combat&Progress
武器は角材、パイプ、切断機、ドア、マネキンの腕等多彩。武器によって性能が異なるので、その都度戦い方が若干変わるのは新鮮だ。移動キー(上下左右)のどれかを押しながら、攻撃するとモーションやダメージも異なってくる。
どの近接戦闘FPSにも言えることだが、距離感が掴みにくく、例に漏れずコンデムドでも理不尽に感じるケースが多分にあった。これが爽快感重視のアクションものなら、全面的に批判するところだが、恐怖を主眼に置いているコンデムドに関しては、この曖昧さが逆にプラスに働いているのではと思う。一撃のダメージも大きいため、攻撃を外したときの焦りは形容しがたいものがあり、慎重にならざるをえないわけで、戦闘面でも心理的な恐怖や圧迫感を感じるからだ。

敵は武器を拾って変えることがあり、微妙に攻撃のタイミングがズレてきたり、先に銃を拾われてハラハラさせられたりと戦闘をより面白くしている。AIの行動も見かけたら突進してくるタイプだけでなく、物陰に隠れて近づいたところを奇襲してくるなどの戦法を取ってくる。確かにバレバレ、頭隠して尻隠さず状態も見られるのだが、潜んでいるのに気づかずに不意に一発をもらったことも何度かあった。

行き当たりばったりに武器を拾って切り抜ける、フェイントをかけてくる敵に対して、うまく見切ってガードで体勢を崩し反撃、ステップインアウト・ヒットアンドアウェイで隙をつく駆け引きは非常に面白く、懸念していたのだが最後まで飽きずにプレイすることが出来て、満足している。

恐怖の弾切れ。同士撃ちを狙って、少しでも漁夫の利を。 トドメは何に致しますか?やっぱりジャンケングー♪(パンチ)
弾数には気を付けたいけど、トリガーハッピーが止まらない! 敵のアニメーションは重量感が伝わってくる。

ゲーム序盤からテイザーガンを使用できるようになるが、チャージに時間が少しかかるものの針数制限は無く、強力すぎるきらいが有る(現実的ともいえるが)。さらに後半でより強力化するのだが、敵をほぼ戦闘不能にさせることが可能で疑問符が浮かぶバランス。確かに後半は銃を使う敵や敵の数が増えてくるので厳しくなってくるのだが、ダメージを与えずに一時痺れさせるだけで十分だろう。

大半はシークレット的な扱いではあるが、銃を使える場は思っていたよりも多い。打撃武器中心のゲームで、弾も拾うことが出来ずに使いきりとなるため、それゆえに他のFPSでは味わえないカタルシスを、爽快感を味わえる。

進行は努めてリニアで、進行方向も努めて分かり易いストレスを感じさせない親切な作りになっているが、敵の隠れられる場所はたくさん用意されているし、スロータイプなゲーム性のため、サバイバルゲーム感覚も十分に楽しむことができるはずだ。

問題は進行を妨げる障害の存在で、たとえば壊れかけのドアなら斧で叩き切る、鍵ならハンマーで壊す、配電盤はバールでこじ開ける。というように特定のアイテムでしか壊せないようになっているパズル要素。武器はひとつしか持てない、ハンマーや斧は扱いづらくて戦闘に不向きというのは恐怖感を孕むのだが、いちいち探す煩わしさの方が優ってしまう(特にお気に入りの武器、銃を持っている時は)。別ルートからも進めるようにして、障害を壊して進んだ場合はショートカットできるよ程度に納めた方が良かったのではないだろうか。
2週目を進めてから、少し考えを改めた。わざわざ道具を使って、障害を排除するというスタンスを取っているのは”廃屋を探索・探検している”という感覚をプレイヤーに認識させてくれるし、障害の存在も極めて合理的であり、単調で感じてくるであろう移動に多少なりとも変化を与えている。ただ、それらのアイテムをもっと有効活用できる場があれば良かったと思う。

シャベルで配線切断。作業感が否めない。 テイザーガン。最強の非殺武器と呼ばれるだけはある。

□近年希にみる良ホラーFPS。だが、やはりオチには・・・

打撃戦を中心に据えた戦闘は文句なく楽しめた。二週目をプレイしても楽しめそうだと感じるくらいに気に入っている。

今までTPSの十八番と言われていたサイコロジカルホラーをFPSで巧みに表現した点を評価したい。昨今ビックリ系一辺倒だったり、ホラーと言いつつも失笑を覚える内容のFPSが多い中で新しい風を吹き込んだと言える。犯罪捜査サスペンスとしてもしっかり出来ており、連続殺人者達のプロファイルが徐々に解明され、真犯人を追いつめていく駆け引き、息をもつかせない展開はハラハラさせられたもの。

だが、なぜここに至るのかというバックグラウンドがぼかされたままの結末には納得がいかない。鉄骨格のアレは意味を含ませて散々煽った挙げ句になんだったのか・・・ただの狂気や内に潜む悪の象徴だけで済ますのだろうか。

外注委託でもいいので、もう一人の視点(ローザでもいい)から事件の原因・全容を追う拡張パックを望みたい。もっと打撃戦を楽しみたいというのもあるし、このもやもやした気持ちを晴らしたい。せめてSDKだけでも公開して欲しいものだ。

思わずヒヤリとする演出も随所に。 追う者、追われる者の駆け引きが面白い。

□Link
Condemned
Monolith

 

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