FPS UnKnown

The Mark (2007-T7 Games)

■世の中には不条理なことも沢山あるのです

ホークとフレッチャー二人はいつでも一緒
本作のストーリーは、核発射を目論むテロリストの計画を阻止するというもの。有りがちと言えば有りがちである。類似したテーマのものが幾つか思い当たる。珍しい点と言えば、海兵隊員と傭兵が協力して敵に立ち向かうという展開だろうか。いや、それもどこかで見たような覚えがあるが、ここでは深く言及しない。

海兵隊のフレッチャーと傭兵のホークが協力して、テロリストと戦っていくのが本作の流れ。プレイヤーは各ステージをスタートする前にキャラクターをどちらか選び、その視点からゲームを進めることになる。共闘するところもあるが、独自のミッションもあり、一粒で二度美味しいマルチサイトシステムを採用している。これにより片方をプレイしただけでは良く分からなかった展開も別のキャラでプレイしなおすことで新たな発見も出てきて面白い。

意外なのがラストの展開である。そこに行き着く可能性があることは容易に読めたはずなのだが、フレッチャーとホークの関係がブラフをかましていることで、まさかそんな風に終わるとは想像が及ばない結果になっている。常識的に考えてそんなことは無いだろうという展開を敢えて実行している不条理に、プレイヤーは気持ちを踏みにじられるような後味の悪いエンディングであり、唐突過ぎて唖然とさせられる。もう少し主人公達が葛藤するシーンがあれば、まだ納得もいくのだがこれでは救いがたく、不快感が残る。

●HSを決めるのが気持ち良いアクションリアル系シューター

ステージ毎に使用キャラを選ぶ
先にも述べた様にまずフレッチャーとホークのどちらかを選んでからゲームは始まる。それぞれ独自の能力を持っており、フレッチャーはバレットタイム、ホークは一定距離の敵の居場所が分かる暗視を使うことが可能となっている。

ゲーム性は走るスピードは遅く、少し移動しただけでもレティクルは大きくブレるアクションリアル系のバランス。被弾ダメージは一発が大きいので、しゃがんでジワジワと慎重にカッティングパイしながら行動するのがセオリーとなる。

敵はプレイヤーがある地点に到達すると登場するトリガー式が大半。故に何も考えずにガンガン進んでいくと蜂の巣にされてしまうのが関の山である。敵は攻撃を受けると一瞬怯むのでヘッドショットでもなくとも、体にヒットさせることが重要。相手が銃撃する暇も与えずに攻撃していけば、ダメージは最低限に抑えられる。もちろんHSすれば一撃で倒せ、またヒット感があるので決まった時は爽快である。敵はほとんど同じタイプが登場するので、人によっては単調と感じてくるかもしれない。

被弾ダメージは大きいがメディキットは大量に落ちているのでバランスの帳尻は合っている。メディキットは拾った瞬間に回復するのではなく、6つ持ち歩いて好きな時に使用できるタイプなので、いちいち戻って回復するような煩わしさがなく、ゲームのテンポが良い。銃はハンドガン、サブマシンガン、ショットガン等あるが、アサルトライフル以外は使い勝手が悪く、武器を選択しながら戦っていく楽しみが少ない。また持てる弾の最大数が少なく、ステージ毎にリセットされるので余計に選択肢を狭めている。

ミッション内容はもう片方のキャラと共闘、単独行動が半々程度。ミッション内容は戦闘ばかりで似たようなシーンが多いが共闘、単独と交互にミッションが用意されていて、単調さを与えないようにしている。共闘する所は相棒がスタックせずにちゃんと付いてきてくれ、ライフが無敵に近いので(当方がプレイした限り一度も死ぬことは無かった)頼り甲斐がある。こちらが敵を倒すと声をかけてくれるので一緒に戦っているという存在感があり、擬似的なCOOP感覚を味わえるだろう。共闘ミッションでは敵の数が比較して多いので、相棒を先に行かせるのがベターである。

単独ミッションでは特殊能力を活かしながら、スローペースで進めていくのがベスト。間違ってもアサルトプレイしようものなら容赦なくやられてしまうだろうし、本作の意図したゲーム性ともかけ離れている。フレッチャーは敵が現れたと同時にバレットタイム発動、ホークなら暗視を常に使いながら位置を把握し、やってきたところを各個撃破していくことになる。敵はアグレッシブに攻めてくるので誘き寄せて倒す戦法が全編に亘って有効なのだ。ただ、アクションリアル系のこういうタイプのFPSだとリーンが使えるものが多いが、本作では用意されておらず、いちいち身を晒さないと覗けない等、不便な面が目立つ。これのせいで予期できない集中砲火を受けたりする場合もあり、迂闊に攻めることが出来ず、受け身中心の行動を取らざるを得ない原因となっている。

被写界深度効果
ホークの特殊能力。菱形のマークが敵だ
相棒は非常に頼りになる
このゲームではしゃがみながら銃撃するのが重要である
なんという死体置き場
ヘリが登場!でも弱いぞ



■無難な仕上がり。デモをやって気にいったのなら買い

オーソドックスな内容で特に革新的なところは見られない。可もなく不可もなく無難な出来。B級ゲーに有りがちなセーブとロードを繰り返して苦戦必死になるような理不尽に難しいところは見られず、バランスは取れている。まずはデモをプレイして欲しい。終始こういった感じが続く。

2007年8月15日 記

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