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□壮観な風景 ゲームが始まった途端、目の前に広がる広大な地形。本作は2000年に発売されたゲームだが、その開放的な風景はいまみても十分に爽快な印象を与える。それもそのはずフライトシミュレータ用のエンジンを使用しているため、広大な地形の描画には自信があるようだ。雪のレベルでは雪がちらついたりと雰囲気作りも良い。見えない壁もなく、どんどん進んで行けることに驚かされるが、如何せんゲーム性に余り活かされていないのが悔やまれる。広さに反して、ミッションの内容は非常にこぢんまりとしていて窮屈というか、不自由さが余計に際立ってしまっている感じがする。
□ストイックなゲーム性 基本は敵基地への隠密で侵入するミッションがほとんどでスパイものと捉えていい。敵を自動で認識する双眼鏡で配置を掴み、ズーム機能があるMP5(なぜサブマシンガンなのか)で各個撃破して、じわりじわりと目標をこなしていくのが大筋の流れ。双眼鏡を使って攻略に考えを巡らせるのは楽しく、プチプチとヘッドショットを決めていくのが爽快。 AIは音を認識しない、仲間が倒れても無反応など、他のFPSと比べると問題ありの出来だが、カメラが作動している場所で敵が倒れると警報が鳴り、増援が現れるので敵を倒す場所には気をつけないといけないようになっている。コンピュータを操作して、カメラを一定時間停止させることが可能で、パズル的に考えてレベルは作られているし、個人的にはこれはこれでゲームとして成り立っているのではないかと思う。(アラームが鳴っていると延々と同じ所から無限リスポーンするのは萎えるが。もう少し自然な登場の見せ方は無かったものか)
□プレイアビリティに欠けたゲームバランス まず挙げられる不満点はセーブが用意されていないこと。序盤は対処法を考えながら試行錯誤のプレイにセーブが無くとも楽しみを見出せたが、中盤辺りからヘリや戦車が強襲してくる受身なプレイの強要がマズい。せっかく緻密に進めてきたのに、突然現れたヘリに一撃で葬られた際は脱力感に襲われた。進んでいくにつれ、その傾向は強くなっていき、ラストは室内だけのミッション。『ラストだから特別なコトを・・・』このゲームもご多分に漏れず、他のゲームと同じ轍を踏んでしまっている。 対処法が分からずにリトライの泥沼化には一番参った。またはじめから同じ事を繰り返すのはストレス以外の何者でもない。開発者本人は解決方法を知っているので、難なくクリア出来るのかもしれないが、プレイヤーはそんな事は露程知らないということをきちんと認識すべき。このゲームはプレイする人への配慮に欠けてしまっている点が多く見られる。「いつでもセーブができると緊張感が薄れるため」ということらしいが、リスタートから生まれる冗長感の方がよっぽど問題。せめてチェックポイント式のセーブなり導入していればゲームの印象は大きく変わったことだろう。
□素材は良いが、調理が・・・ 序盤はストイックなプレイから生まれるカタルシスを味わう事が出来るし、ポテンシャル自体はなかなか良い物を持っている。ただし色んな事を盛り込もうとして、まとめきれずにゲーム性が破綻。ゲームを進める度になにを目指しているのかが曖昧になってくる内容が大きな問題。方向性をしっかりと見つめれば、良いゲームに変化を遂げそうである。続編では改善している事を望みたい。
2007.1.12 記 |