■色んな意味で後一歩
原作はチェコの作家が書いているらしいが… |
その状態を危険と判断した企業は惑星を完全に閉鎖する措置を取るが、一攫千金を夢見るならず者達は不法に侵入を繰り返した。主人公のアーノルドは連絡が取れなくなった友人を探す為に、自らもAlpha Primeへ向かうことになった―――というのが今作のあらすじである。
主人公もまた欲に目を眩ませた者達の争いに巻き込まれていくのだが、ストーリー展開は起伏が弱く、淡々と進んで当たり障りのないものに収まっており、ついつい先が見たくなりプレイヤーの心を高揚させてくれるような求心力は感じられない。最後の結末にしても予測の範囲内で、「ああまたか」といった後味の悪いB級映画のようなエンディング。
今作異様にカットシーン(会話シーン)が多く、しかも会話内容はどうでもいい内容で(当方が会話を生半可にしか理解してないのもあるが)、わざわざダラダラと時間を費やす必要はあるのかと問いたくなる。カメラアングルの見せ方もイマイチで見ているのも退屈であり、やたらと長いせいでゲーム全体のテンポが悪くなってしまっている。
●バランス配分が歪でストレスの溜まる戦闘
生き延びたければ嫌らしい戦法で… |
敵のAIは物陰からカバー、ブラインドファイヤ、リーン、飛び込み前転、後方へ走りながら片手で銃撃等…行動が多彩。定められたウェイポイントをやたらと行き来して不自然、状況判断能力がやや低いのが気になるが、FEARのそれに近い行動を取ってきて、東欧系と括らなくても十分優秀な部類に入ると言っていい。ただ、命中率やダメージが異常で物凄くシビア。これが難易度を引き上げている原因であり、アクション性の強いスタイルをこちらが取ることを許さない元凶である。
少しでも姿を晒すとガシガシ削られて、例え一人相手でも数秒でやられてしまう為、被弾を防ぐには角からリーンして銃撃というチマチマした行動を取らざるを得ず、爽快感に欠ける。また基本的に攻めることが出来るのが一本道でプレイヤーに不利な場所が多く、一度に登場する敵も複数なのが難しさに拍車を掛ける。一人相手なら突っ込みながらでも、なんとか対処出来るのだが、大抵は複数集まっているので蜂の巣にされるのがオチである。回復アイテムも数が少なく、ゲームの難易度とは不相応。
バレットタイムが用意されているが、ただのスローモーションで加速機能はなく、照準合わせに使える程度。複数相手の状況で突っ込んで戦えるような行動は取れない。ゲージは自動回復ではなくアイテムで回復する為、使い勝手も非常に悪い。
セントリーガン、カメラ、リモート爆弾、機械をハッキングして操作出来るシーンがあるが局所的で活用出来る場面が少ない。ゲーム展開を楽にさせるようにもっと活かせれば良かったと思うのだが、とりあえず導入しただけように見える。
バレットタイムは使い勝手が悪い |
AIの動きは多彩で十分合格点 |
カメラハック。もっと有効活用出来る場所があれば… |
地表を駆け抜けろ!…操作性がかなり悪いのです |
セントリーガンハック。もっと有効活用出来る場所があれば… |
長ったらしい会話シーン |
■グラフィック、AI、STG感。FPSの基礎となる部分は合格点ながらゲームとしてのバランスに問題あり
グラフィックは美麗かつ動作も軽い。武器の銃撃感もしっかりしていて、AIの行動も優秀。ただし、お国柄なのかゲームバランスが妙で台無し。ストレスの溜まる戦闘でイライラする場面が多く、ゲームとしての完成度に問題が残る。またあっという間に終わるのでボリューム不足。チャレンジする時はイージーでやるのが懸命。これ忠告。技術力の高さは東欧系でも一歩抜き出ているので今後に期待したい。
●サウンドバグに関して
Vista&SB X-Fiでプレイすると一部サウンドが聞こえなくなる現象が起こる。対処方法はEAX Advanced HDを一度OFFにしてから、3D Sound QualityをLowに設定、再びEAX Advanced HDをONにすればEAXは有効になり、サウンドも聞こえるようになる。
2007年8月6日 記
□Link
Alpha Prime