FPS UnKnown > PC Game感想 > Crysis Warhead


宿敵リー大佐。ナイスミドルな中田譲治さんが渋い声で演じている。
Crysisの不満点を実直に改善した拡張パック

 Crysis Warheadは美麗なグラフィックスで話題を呼んだCrysisの拡張パックである。ただし、Warhead単体で動作するため、Crysisを持っていなくともプレイが可能だ。今作、WarheadではCrysisで脇役だったサイクス軍曹(愛称サイコ)が主人公となり、別の視点から北朝鮮との争いが描かれている。

  Crysisではノーマッドの視点から描かれていたが、今回は客観視点のカットシーンが挿入され、ドラマ性が高くなった。自分のスタイルを貫くサイコ、仲間を助けるためなら命令違反も厭わないVTOLパイロットのオニール、軍の規律を重んじるエマーソン中佐、北朝鮮軍に属するリー大佐など、それぞれのキャラクターの個性がしっかり描かれていて、熱い展開が繰り広げられる。ラストは、俺達の戦いはまだまだ終わらない的なCrysisとは違い、後腐れのない満足のいく締めで達成感がある終わり方だ。

 圧倒的な能力を有するスーツ機能はCrysisと同じく、今回も様々な機能を駆使しながら戦っていくことになる。追加された要素は、二丁持ちできるサブマシンガン、連続して擲弾を射出できるグレネードランチャー、車内から機銃を操作できる装甲車両だ。サブマシンガンはプライマリ、セカンダリボタンで両方を一気に射撃、グレネードランチャーは6発の擲弾を素早い間隔で射出し、装甲車両は姿を晒さずに安全に機銃で攻撃できる。強力な火器が満載な事から分かるように、WarheadはCrysisに増して戦闘が激しい。

グレネードランチャーはトリガーハッピーさんにはたまらない武器だ。
  ミッション進行はCrysisと同様にある程度の自由がプレイヤーに委ねられているが、リニアさは増して強くなっている。ただし、一見リニアに感じるミッションでも、それに背いて進めることが可能。例えば、線路を走る列車を護衛するミッションがあるのだが、この列車に乗りながら備え付けの機銃で敵を薙ぎ倒しても、列車は放って置いて敵と戦ってもいい。このようにリニアとノンリニアが共存していることにより、各々のプレイスタイルに応じた遊び方ができるため、やらされている感じを与えないように作られている。

  Crysisの場合は前半は自由、後半はギチギチに縛られた進行でゲーム性がガラッと変わってしまい賛否を生む結果になったが、Warheadではそれに対して上手く対処していると言えよう。今回はリニアな進行に従うか、箱庭プレイするか選択のできる場面が多く用意されている。

 また、Crysisよりも敵の量やイベントの数が多く、時間当たりの密度が濃い体験ができる。イーグルチームとの共闘は部隊ものの雰囲気が味わえ、北朝鮮とエイリアンが激突する三つ巴戦はいかにして戦うか戦術が問われる。どちらかが決着が付くまで待つか、積極的に攻め込むのもいいだろう。このように新鮮味のあるバリエーションに富んだ戦いが用意され、展開は目まぐるしく変わることによって、短時間ながら内容が凝縮されている。演出をチョイチョイ挟みつつ、箱庭プレイの自由さも孕んでいるバランスの良い構成により、中だるみを生まず、ゲーム全体のテンポがいい。


イベントが適度に挿入されるので飽きさせない。
装甲車両はかなり強いぞ。
サブマシンガンはリコイルが激しく、近~中距離専用。
今回はナノスーツ兵とエイリアンとの三つ巴戦が楽しめる。
イーグルチームはこちらの邪魔をせず、アシストに努める。
サイコの熱い性格が魅力的だ。



Crysisが好きなら間違いなく買い

 Crysisでの不満点を改善を加えることで解消しており、“好戦的なゲームプレイ”という方向性がしっかりまとまっている。Crysisもこのテンションで作って欲しかったと思わずにはいられないほどの優秀な構成。Warheadは買っても損はない、当たりの拡張パックだ。

2008年9月27日 記
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