主人公のビショップ。性別、姿が変更可能だ。今作では装備品も変更出来るようになっている。
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これまでのシステムを一新し、旧来のRainbowファンにショックを与えたものの、新規開拓は見事に大成功に終わったVegas。それから一年弱、早くもVegasの遺伝子を継ぐ続編が登場。これで前作で起こった事件は完結となる。
今回の主人公はブラボーチームのビショップだ。前作の主人公であるローガンとは別チームで異なる視点から事件を追っていく。前作は尾を引くようなラストで終わってしまったが、今作では後腐れなく決着が付けられている。
しかし、ハラハラドキドキの連続だった前作のシナリオ展開に比べて、今回はやや地味でスケールダウンしている印象だ。これはビショップ率いるブラボーチームが裏方の仕事を担当しているのもあるだろうが、演出がこじんまりとしてしまっている感は否めない。
前作では仲間にまつわる二転三転のエピソードと明確な悪役の登場によってドラマ性を高めていたが、今回は淡々とテロリストの犯行を防いでいきながら前作のシナリオをなぞっていく、あくまで副次的な内容に留まっている。また、テロリストの犯行は前作でとことんまでやり尽くしてしまっているため、今作はインパクトに欠け、結末にしても類型的で尻すぼみだ。
ゲームのシステムは基本的に前作を強襲している。前作をプレイ済みなら操作もすぐに慣れるだろう。変更点としては、ダッシュが出来るようになり、よりスピーディな移動が行える。隊員にグレネード投擲の指示がいつでも出せるようになり、自分では狙いにくい場所へリスク無しに投げられる。壁抜きの要素が追加されたことで、壁に隠れたからといって100パーセント安全とは言い切れなくなった。薄い板などでは貫通してやられてしまう可能性がある。逆にこちらが狙い抜きも可能だ。そして、短時間だけ俯瞰視点でのサーモスキャンが導入され、隠れている敵や壁の向こう側が把握し易い。以上のような改善が行われ、ゲームプレイが快適になっている。
指示を出して隊員と協力していこう
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前作は室内戦やショートレンジのシチュエーションが中心だったが、今作は高低やロングレンジ戦が多く取り入れられている。これにより銃撃戦に変化が感じられ、前作に感じた単調さをうまく拭っていると言えよう。敵のAIは改善が見られ、キャンパー体質が少し緩和され、アグレッシブに移動してくる場面が増えた。適度に姿を晒してくれるようになり、キャンパーだらけでじりじりした展開ばかりではなくなった。スナイパーのエイミングは正確に補正されており、気付かれてしまうと一撃で頭を抜かれる危険性が増えている。
敵のスポーンは今回も健在で目の前に登場することも度々起こり、興醒めする場面がある。別にスポーンは構わないが、あからさまに湧いてきて情緒を壊すような行為はするべきではないだろう。湧いていると感じさせない努力を払うべきだ。
サーモスキャン機能、補給場所の豊富さ、選択肢の増えたレベルデザインによって、難易度は前作よりも全体的に低めに収まっている。基本的には最高難易度でプレイしても詰まらずにクリアできるはずだ。
しかし、単独行動は今回も用意されており、ここは前作にも増して難しい。これは夜のミッションのせいで視認性が落ちて、敵を見つけにくい。マップが一本道で嫌らしい構造。チェックポイントの間隔が長く、失敗すると長い振り出しに戻る。以上のことが関係して、ここだけは突飛して難易度が高い。それだけに次のミッションでは仲間の有り難味が実感できるのだが、ここにまるまる一つのミッションを費やしており、あまりよろしくない構成から間延びしているように感じられる。
二階から援護射撃 |
沸いてきた敵。どんだけ |
シールド持ちは厄介。一気に距離を詰めてくる |
ゴースト広告。他にファークライ、ペルシャ、スプリンターセル |
ベガスの街並。前に比べると… |
高低差を活かした攻略を |
前作をうまく料理し直した堅実な内容
レベルデザインに工夫があり、銃撃戦を存分に楽しめる。前作のファンなら間違いなく満足できるだろう。及第点はしっかり満たしており、外していない。しかし、続編と言えども前作の下地ありき。拡張パックの趣は否定できず、大きな違いを求めている人は肩透かしを覚えるかも。
あと、ラスベガスの雰囲気は前作の方が巧みだ。今回は工場跡やショッピングモールが中心。カジノカジノした雰囲気は薄れているのでご注意を。
2008年4月23日 記