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Penumbra:Black Plague(2008-Frictional Games)
少し残念なシリーズ完結編

不条理ランドへようこそ
Penumbra:Black PlagueはPenumbra:Overtureの続編。Black Plagueの物語はOvertureの終わった直後から始まっている。ゲームの基本的なスタンスはOvertureと変わらず、合理的な物理パズルは健在。今回もパズルは練り込まれている。どんなゲームなのかはOverture感想のページを参照のこと。以下では前作からの変更点、シナリオに関してだけ述べる。

まず、前作で作業感を拭えなかった犬が居なくなっており、武器もなくなってしまった。今回はステルスしか出来ないスタイルへと変更されている。新たな敵となるのはゾンビ。箱をぶつけると怯みはするが、犬のように倒すことが出来ない不死身の存在だ。登場はイベント的な場面が主で、いかにヤツらを機知を使って振り切るかとなっており、パズルの趣が強い。犬の時はどうしても作業的なプレイになりがちだったが、今回のゾンビ戦ではそれが払拭され、ゲームプレイに緊張感を与える強敵となっている。

前作では助けてくれる相棒がいたが、今回は別人が耳元でうるさく煽り立て、しかも登場する頻度が非常に高い。心理戦を狙っているようだが、いらいらさせるような言動ばかりでそちらに集中が行ってしまい、恐怖感を削がれてしまうことも。

今回、主人公の精神が参ってきたこともあって、現実なのかはたまた幻惑なのか分からない演出が多くなっている。前作は舞台が現実だったが、今回は突拍子もない場所でも進行していき、原理のよく分からないパズルも登場する。始めに登場する不条理な場所は、恐らく前作の最後に登場したトラウマのメタファなのだろう。悪夢のような空間の気味の悪さが出ていて、あのトラウマを実体験しているかのようである。

また、じわじわ心理的に来る恐怖よりも、瞬間的にビックリさせるようなお化け屋敷演出が中心になっている。ホラーの傾向が変わってしまっているが、後半は追い詰められていく恐怖感があり、主人公の神経がやられていくように感じられる展開は見事。現実と虚構の曖昧さ加減をうまく表現していると言えよう。

今回で話は完結するわけだが、エンディングがいかんせん読めてしまい、尻すぼみで終わってしまうのが惜しい。せっかくあそこまで広げておきながら、こんな畳み方はとても勿体なく感じる。クトゥルフ系の主人公では常套手段なのかもしれないが、これまで溜めてきた物を吐き出させてくれるようなしっかりした答えを所望したかった。胸にしこりが残りっぱなしでスッキリしない。

クトーニアンかわいいよクトーニアン
幾度となく使用するパソコン。大量の文章がキミを襲う
これは幻、それとも・・・
今回の敵ゾンビ~

謎がすっきりしないまま終わるエンディングは残念だが、アクションADVとしては優秀

相変わらずパズルは考えて作られており、解いていくのが楽しい。ボリュームは3時間弱程度で終わるが、パズルの質は高く、ホラーゲームとしても怖がれるはず。値段分はガッツリ遊べるだろう。しかし、エンディングに関しては残念としか言いようがない。謎を余すところなく解明してくれる三作目が登場することを願う。

2008年3月4日 記
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