FPS UnKnown > PC Game感想 > Mercenaries 2: World in Flames


Mercenaries 2で学べ破壊学。
オープンエンドな世界で破壊の限りを尽くす爽快感

 Mercenaries 2: World in Flamesは家庭用ゲーム機で好評を得たMercenariesの続編である。PCゲーマーにとっては馴染みの薄いタイトルではあるが、前作のストーリーが尾を引いていない作りのため、今作から始めても違和感なく入り込める。本作を端的に表すならば、戦争を中心にしたクライムアクションゲームとなるだろう。どこか陽気な雰囲気の漂うベネズエラで様々な派閥に加担しながら、争いを繰り広げていくことになる。

 本作には、他のクライムアクションゲームのような生活感を得られる要素、それに通じるミッションなどは用意されていない。しかし、だからといって自由度の浅い作品だと一概に決め付けるのは見当違いも甚だしい行為だ。

 メインやサブミッションのほとんどが目標破壊や目標殺害(拘束)で、戦闘車両や戦闘機の種類、航空支援が充実していることから考えても分かる通り、本作の狙いは大規模な戦場の再現にある。

 車両を乗り回し、航空支援を頼りながら目標物をバッタバッタと破壊していく爽快感こそが本作の醍醐味といえるだろう。あらゆる物を破壊可能な物理効果満載の舞台、航空支援の圧倒的な破壊力、その際に巻き起こる目も眩むようなド派手な爆発エフェクトはこの為に用意されているといっても過言ではない。他のゲームでは行えないような破壊の限りを尽くせるのが本作の魅力である。10数階に及ぶ高層ビルも航空支援の一撃を加えれば、粉塵とともに一瞬で倒壊していく。思わずその光景の美しさと気持ちのよさにうっとりとしてしまうことだろう。

ベネズエラで楽しい傭兵生活

主人公の一人マティスさんは一番バカゲーぽさが似合っているかもしれない
  3人の主人公が用意され、それぞれ耐久力が高かったり、移動速度が速いなどの違いがあるが、その差は微々たるものでプレイスタイルが変化するほどのものではない。外見が気に入ったキャラを選んでも問題はないだろう。

 このゲームには5つの派閥があり、その派閥に加担しながら資金と情報を得て、ゲームを進めていくことになる。それぞれの派閥には敵対派閥が存在し、どこかに所属すると敵対派閥とは仲が悪くなり、出会うと攻撃されてしまう。そのため、どの派閥と敵対しているかでミッションの進行にも多少の影響が出てくる。だが、派閥との関係はお金を支払うことで友好を保てるので、どこに加担しようかとそんなに頭を悩ませる必要はない。仲が悪くなれば、お金をプレゼントすればいいのだ。

 主なお金の使い道は航空支援となる。航空支援といっても様々で、アイテムや車両の輸送もあれば、空爆の要請までも用意されている。ストーリーを進めていくごとに強力な航空支援がアンロックされ、ミッションの攻略が楽になるという具合だ。ただし、航空支援一発ごとにお金をかかるので、使いすぎには注意が必要である。ちなみに航空支援は装備して、発炎筒をポイッとすると、いかなる時でも駆けつけてくれる(SAMが近くにあると撃墜されてしまうこともあるが)。

次第に目に付いてくる大味さと単調さ


 どの銃を使っても弾が異様にバラけて、オートエイムが強制的に掛かるため、繊細なエイミングは必要ではない。ライフは時間が経つと自動で回復し、銃弾を数発一気に喰らっても耐えられる。敵AIの状況判断能力はあまり優れておらず、オツムが弱そうなルーチンワークを繰り返していることもしばしば。敵の放つ銃弾は目視で確認できるほど遅く、ジグザグに移動すれば結構避けられる。このようにカジュアルな味付けのアクションシューターとなっている。

船内の敵を倒すのが面倒なら、船ごと壊せばいいじゃない。
 序盤から大味な印象を受けるのだが、まだこの時点ではバランスは保たれている。問題は後半からだ。戦闘機が登場する辺りから火力のインフレ化が進み、それに対して敵を大量に配置してバランス取りをしようとしているのだが大雑把になりすぎるているきらいがある。それでも、戦闘機で攻め込めば一瞬で制圧できてしまうほど容易にミッションクリアできるため、インフレに対しての解決には至っていない。戦闘機は一機辺りのコストが安いため、もし壊れてもペナルティは少なく、あまり金銭的に気にせず戦えてしまう。ゆえに効率的なプレイをしていくと単調さが避けられず、どこまで自制しながら遊べるかが重要となってくる。

 本作はミッション攻略の効率的な方法を考える人よりも、いわゆる魅せるプレイをすることが好きな人の方が向いているゲームだ。目標物を破壊するために、車にC4を張り付けて突撃させてもいいし、航空支援でド派手な一撃を与えてもいい。RPG片手に生身で突っ込んでも、戦車で攻め込んでも自由だ。そのために攻めるバリエーションは沢山用意されている。どうやって壊してやろうかと手段を考えて実行し、思惑通りの作戦が決まった時のカタルシスは至極気持ちがいい。

 ミッションの内容は破壊系のものが占めているが、ややバリエーションに乏しい感は否めない。目標を破壊せよ、目標を拘束せよが大半で反復的な内容が目立つ。目標破壊のサブミッションが20も30も追加された日には思わず気だるさに襲われてしまうだろう。

 しかし、本作には2人まで協力プレイが可能なCoopが用意されており、一人でやると単調で退屈なミッションも誰かと協力して遊べば楽しいひとときに変わる。こんな時に誰かが居てくれれば助かるのに…が見事に実現されており、二人でわいわいと破壊を尽くすのは非常に楽しい。

 ホストとなる人間はシングルプレイそのままを引き継いだ状態で、クライアントはそこに加わり、稼いだお金が自分のゲームに反映されるようになっており、両方に利益がしっかりと用意されている。シングルプレイそのままの内容をCoopで遊べるようにしたのは特筆すべき点だろう。物理効果が満載のゲームではあるが、同期もきっちりと処理され、動的な世界を共有できているのは驚きだ。よくここまで問題なく同期させているものだと感心する。
 
Coopで遊べば楽しさも2倍、2倍!
時にはドライブ。気分はロスルE。
ハイジャック時のキーアクションはうんざりしてくる。
グラップルでヘリもハイジャック可能だ。
おバカなキャラ達の掛け合いが面白い。もっと絡みが見たかった。
ゆったり、たっぷり、のーんびり。



サクッと遊べる爽快なクライムアクション。Coopが好きならマストバイ。

 ミッションのバリエーションに乏しい点は残念だが、シングルプレイをそのまま遊べるCoopは楽しい時間を過ごせるに違いない。Coopが好きな人は購入しても損はない一品だ。

2008年9月21日 記
FPS UnKnown > PC Game感想 > Mercenaries 2: World in Flames