The Elder Scrolls V: Skyrim – “期待”は超えないが応えます(1)

オープンワールド系RPGの最新作。前作からは数百年が経過しているので今作からプレイしても問題はない。今回は極寒の地スカイリムを舞台に、ドラゴンに纏わる物語が描かれる。囚人の主人公が処刑されそうになった時、突如ドラゴンが現れ、辺りを破壊尽くした。ドラゴンの脅威から運良く逃げ延びた主人公はドラゴンボーン(ドラゴンと同等の力を持つ戦士)としての素質を認められ、ドラゴンボーンの真髄に迫っていくというストーリー。冒頭に強制イベントが用意されているが、その後は自由に行動していいようになっており、メインクエストそっちのけで冒険しても問題はない。従来と同様に自由度の高い進行ができるようになっている。

プレイキャラの種族と見た目は自由に選択可能で、選択肢は広い。このシリーズの特徴として、フル3DになったTES3以降のキャラの造形はバケモノ揃いというのがあったが、今回はMODを入れていない状態でも人間らしいキャラを作成可能であり、イケメン率や美女率が高くなっている。顔面のカスタマイズ項目は相変わらず豊富に用意されており、自分好みのキャラを作れる点も健在だ。

キャラの成長は熟練度を上げることでレベルが上がるシステムのままで過去作と変わらない。ただし、レベルが上がるとヘルス・マジ力・スタミナのどれかを10ポイントアップとパークを一つ取得できるという風に変わっており、TES1~TES4とは異なる。スキルの中にはそれぞれツリーが用意されており、武器の場合なら威力上昇・消費スタミナ減少、魔法なら威力上昇・消費マジ力減少などの項目があり、それがパークになっている。つまるところ、TESとFallout 3を組み合わせたような感じだ。ステータスの幅が狭まっているのは歓迎できないが、パークはレベルが上がるのを楽しみにさせる作りで悪くない。作風的にシリアスを重視しているためか、パークの内容はFallout 3ほどオチャラケておらず、効果はあるものの地味である。

操作の挙動はTES4よりも改善され、地に足のついた感じが向上しており、キャラとの一体感も高まっている。これはヘッドボブ(頭の揺れ)や腕の動き(右に移動しようとすると左に腕が流されていく)によるところが大きい。戦闘はシールドバッシュやフィニッシュムーブが追加され、前よりもマシになっているのは確かだが、相変わらず命中感や打撃感は薄く、主観視点近接戦闘の最高峰であるArx FatalisやDark Messiahには及ばない。

MODを入れなくても二刀流ができるようになったのは改良と言っていいだろう。これにより戦闘のスタイルの幅が広がっている。魔法はキー一つで発動する仕様ではなくなり、武器のように装備してから使用するという方式に変わり、フェイバリットメニュー(好きな武器を登録して簡単に装備できる機能)や数字キーによるショートカットがあるとはいえ、作業量が増えているのは確かだ。ただ、武器として魔法を装備することで外見の魔法使いぽさが増しているのも事実で、長押し系や溜め系の魔法のバリエーションが増えているのは良い傾向だろう。

また、魔法を両手に装備することも可能であり、同じ魔法によるデュアルキャストは威力が倍になるという効果がある。もちろん、別々の魔法を同時に使用することもでき、極大消滅呪文だって可能であり、中二心をくすぐる。個人的には火炎放射機のようなフレイムの呪文がお気に入りで、武器を使用せず、ほとんどこれで戦っている。威力が足りない時はデュエル、通常は左手に盾、右手にフレイムというスタイルで、盾で攻撃を弾いた隙にフレイムを放射するのが楽しい。ただ、ショートカットキーで盾+魔法を装備する時は、一度両手を魔法にした後に盾を装備し直さないとうまくいかないので、この辺はどうにかしてほしいところ。

というわけで、打撃戦闘にはまだ不満が残るものの、魔法戦闘は前作よりも面白くなった。序盤からマジ力回復や消費マジ力を抑える手段があるので、TES4よりも魔法は断然使いやすい。思えばTESの魔法はシリーズを重ねる毎に使い勝手が向上しているような気がする。

今作の大きな特徴としては、ドラゴンが敵として襲来するところだろう。イベント戦もあるが、テキトーにぶらぶらしている時に襲ってくる場合があり、そのランダムな登場がこの世界に躍動を与えている。ドラゴンとの戦闘はファンタジー好きなら誰しも憧れるシチュエーションであるが、うまく実現したものとなるとなかなか無い。その点、本作は自由度の高さはそのままで、見事にドラゴンとの戦いを実現させている。

しかし、ドラゴンは実際のところ、それほど強くない。序盤の一番の強敵はFallout 3のスーパーミュータントを彷彿とさせるジャイアントだ。ジャイアントはこれまた強いマンモスと一緒に行動しており、強力な攻撃で即死させてくる。見掛け倒しのドラゴンなんかよりもよっぽど恐ろしい。

NPCたちはプレイヤーが近付くといきなり会話を始めることが多い。予め仕組まれたような会話が目立つが、TES4のような無差別連続挨拶(同じ人物に何回もHiを言いまくる)をしなくなっているのは良い。

今作では子供が登場し、老若男女が存在する世界になった。非実在青少年への暴力を防ぐとかいうワケの分からないいちゃもんをつける、ゲームと現実を混同したアホな団体のせいで、こういったオープンワールド系のゲームでは子供を登場させずに済ませ、大人だらけの歪な世界になってしまうことが多々あるのだが、批判よりもゲームの世界観を優先させたベセスダの中の人はとても偉い。

子供は無敵設定になっていて、襲えないようになっているが、子供が居るか、居ないかだけでも世界の見え方が違ってくる。本来なら子供へも攻撃できるのが適当であり(私は子供だろうが大人だろうが、善人に見えるNPCはなるべく襲わないようにしているし、襲うつもりもないが)、大人だから攻撃してもOK、子供はNGという区別には納得できないが(暴力がダメなら大人だろうが子供だろうが関係ない)、そこはまぁ致し方ないのだろう。ただ、人間の子供しかいないのはおかしい。カジットやアルゴニアンの子供もいるのが当然だろう。私が見つけていないだけでどこかに居るのだろうか。カジットの赤ちゃんをもふもふしたい。

グラフィックの質はTES4と比べてそれほど進化はしていないが、被写界深度やソフトパーティクルの使い方がうまく、遠景が改善されている。天候の変化もよりダイナミックに生じ、夜にはオーロラが見えたりと、TES4で欲しいと思った要素(MODで実現されているのも含めて)はきちんと導入されている。また、今回は寂れた雰囲気が良く出来ている。TES4が正統派ファンタジーぽい見た目でウンザリした人も体験の価値ありだ。だが、新雪の上を歩いたら足跡が残るようにして欲しかったかな。ここはMODに期待するしかない。

ダンジョンのコピペ感は無くなり、それぞれに特徴がある。お宝もたくさん用意されていて、肩透かしということもない。単にレバーを引いたりするだけではない、凝ったパズルが用意されていて、頭を使うのも楽しい。

驚くような新規性はないものの、「これくらいはできて当然だろう」という期待値にはしっかり応えている。今年は大作の続編ものが多数あったが、ほとんどが残念な出来。シューターに至っては全滅と言っていい。アタリなのはThe Witcher 2くらいだったが、それに次ぐのがようやく出てきたという感じだ。万人にオススメできる安定感の高いRPGなのではないか。

しかし、私はTES1は一つ目の欠片を集めたところ、TES2はクイーンに連絡したところ、TES3はVivecに着いたところ、TES4はカヴァッチを開放したところで飽きてしまうという有様であり、未だにTESシリーズはメインクエストをクリアした試しがなく、スカイリムがどこまで到達できるかが楽しみである。メインクエストをクリアするということは、それほどの魅力があるというわけで、その辺りにも期待したい。

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